【大塚角満のヴァナ・ディール日和(仮)】第2回「かぶらぬように」

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【ヴァナ・ディール日和(仮)】まとめ

かぶらぬように

サーバーが安定するまで、若干こわごわ遊んでおります『FFグラマス』。まだまだ、なかなか思うようには遊べていないけど……おもしろいので毎日欠かさずログイン！！　このままコツコツと継続していく所存である。

さて。

俺が『FFグラマス』をプレイするにあたり、まず最初に実行したのが“仲間集め”でありました。……と言うと、

｢ああ、はいはい。ゲーム内でチャットで話したり、エモートも表示できるから、そこで仲間集めをしたわけね。ナットク｣

このように一方的に納得してくれる人も現れるだろうが、さにあらず。スマホを取り出した俺は、｢これぞ！！｣という人に片っ端からメールを飛ばした。↓このように書いて。

｢『ファイナルファンタジーグランドマスターズ』のダウンロードを、よろしくお願いいたします！！　あなたの力が必要なんです！！　どうか清き1票を～～～！！｣

なんか選挙の応援演説みたいだが、『FFグラマス』がオンラインRPGであり、手軽にリアルフレンドともいっしょに冒険できると知ったときから、俺はほうぼうに声を掛けようと思っていたのだ。だってやっぱり……気の置けない仲間たちと、いっしょに冒険してみたいじゃーーーん！！

上記の俺の呼び掛けに、多くの人が応えてくれた。

いわく｢言われる前から遊んでましたし！！｣、いわく｢いまジョブで悩んでるんだから黙ってて！！｣、いわく｢足引っ張らないでくださいよ！！｣、いわく｢私のジョブと被んないでよ！！！｣などなどなど……。せっかく配信が始まったことを教えてあげたのにヒドい言われようだが、俺は多くの仲間たちがすでにこのアプリに前のめりになっていることがうれしかった。こりゃあ負けていられねえぜ！！

そんな仲間のひとりに、俺のエッセイではすっかりおなじみ、“同僚の美人ドSゲーマー・Tさん”こと“たっちー”がいる。

｢おい、たっちー！！　『FFグラマス』の配信、始まったからな！！　いっしょに遊ぶんだかんな！！　ちゃんと落としておけよ！！｣

俺がSkypeでそう言うと、たっちーは｢なにぃ！！！｣と翼君のように吠えてからつぎのようにまくし立てた。

｢ジョ、ジョブは！？　ジョブは何があるんや！！！？｣

俺は優しく教えてあげた。｢戦士、モンク、白魔道士、黒魔道士、そしてシーフの5職業だよ。まあ今後、どんどん増えていくだろうけどね｣。これを聞いたたっちー、さらに取り乱した。

｢うおおおおおお！！！　おい！！　わしは黒魔道士だからな！！　カブるなよ！！！　おめーはいつもの通り、脳筋でやれよな！！！！｣

ヒデえ言われようだが、メインジョブを何にするかで悩んでいた俺にとっては、たっちーの一方的な提案は渡りに船でもあった。俺とて序盤くらいは、仲間とはなるべく被らないジョブで遊んでみたい。黒魔道士をたっちーが取るなら、素直にそこは避けようと思った。

｢わかったわかった（苦笑）。んじゃ、キミは黒魔道士ね。連絡網は、そう書いて回しておくから｣

俺はたっちーとの会話を打ち切り、今度は中目黒目黒にSkypeを飛ばした。

｢目黒、いまちょっといい？｣

すると目黒は返事よりも先に、こんなことを言ってきたではないか。

｢あ、大塚さん、『FFグラマス』のメインジョブって何にしました？　じつはそこで悩んでしまい、2時間以上も止まっているんですが＾＾；｣

止まりすぎだろ！！！ｗｗｗ　というセリフをグッと飲み込み、諭すように俺は言った。

｢ちょうどよかった。その話をしようと思ったんよ。たっちーが黒魔道士を選んだので、なるべくそこは避けてもらいたいかなーと｣

目黒は｢ふむふむ｣と頷いた。

｢なるほど～。黒魔道士はペケ、と……。……ちなみに、大塚さんは何にするんです？　やっぱりキャラ的に合っている戦士ですか？ｗ｣

なぜ皆、俺のことを脳筋だとか戦士だとかいうイメージで見ているのだろうか……？　……でもそんなセリフをグッと飲み込み、穏やかな口調で俺は告げた。

｢俺は……まずは“モンク”でやってみようかなと思ってる。なんで？　と問われたら、“なんとなく”としか答えられないのだがｗｗｗ｣

目黒は｢へぇ～～～～～！！｣とわざとらしく感嘆したあと、意を決したのかこんなことを言った。

｢たっちーが黒魔道士、大塚さんがモンクとなれば…………俺は“シーフ”にします！　このジョブがどんな特徴を持っていて、どんなことができるのかも不明ですが、ふたりとは違う冒険ができそうなのでシーフで！！｣

ゲームの知識がゼロに等しい目黒は、シーフどころかモンクと黒魔道士の違いすらわかっていないだろうが、俺はすぐに｢いいね！！｣と言い、ノートに、

・目黒：シーフ

と書き込んだ。うんうん、いいではないか。もっとも頻繁に遊びそうなふたりが、とりあえずは別々のジョブになってくれたぞ。

さて、残るは……と考えていると、俺のスマホがブルブルと震えた。見ればSMSの着信で、差出人は仲のいいゲームクリエイターさんである。

な、なんだろう……？　記事でなんか粗相をしてしまったか……？？

戦々恐々となり、ビクビクしながらSMSを開けると、そこにはこんなメッセージが。

｢ひさびさのオンラインRPG！！　燃える！！！｣

どうやら『FFグラマス』をダウンロードしたようだ。俺はホッと息を吐きながら、メッセージの続きに目を通した。

｢ジョブを決めるまでに3時間くらい悩んじゃったんですが……ｗ　僕は戦士でやることにしますよ！！　皆さんのジョブはなんですか！！？｣

おおおおお！！！　戦士！！！　ここでも被りは免れたぞ！！！！

俺がクリエイターさんに、｢僕はモンク、目黒がシーフ、ウチのたっちーが黒魔道士です！　いま戦士が加わり、ほかに白魔道士の友人が複数いるので、ジョブがワンセット揃ったことになりますね！！｣と告げると、彼はうれしそうに、

｢おおおお！！　了解です！！ｗ　いやあ、オンラインRPGって、やっぱりワクワクしますね！！　早くいっしょに冒険しましょ！！！｣

とわめいた。

続く。

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