馬場社長に訊く『クイズRPG』のヒットとコロプラ成功の理由

2013-12-30 10:00 投稿

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※本インタビューは、2013年11月29日発売のファミ通App NO.011 Androidに掲載されたものです。

続くコロプラ快進撃

たったひとりで始めた『コロニーな生活』から10年。創業から数えるとわずか5年という短い年月で、スマートフォンゲーム業界を席巻するコロプラ。“位置ゲー”と並行して進められていたスマートフォンゲームへの取り組みは、どのように成就したのか? ヒットの理由を創業者であり代表取締役社長である馬場功淳氏に聞いた。

株式会社コロプラ代表取締役社長
馬場功淳(ばばなるあつ)

九州工業大学卒業後、大学院博士課程時代にiアプリの開発にのめり込む。2003年に『コロニーな生活』を開発し、個人サイトとしてサービスを開始。2008年より法人化し、代表取締役に就任した。

“位置ゲー”から『クイズRPG』
イメージの変遷

──コロプラと言えば“位置ゲー”のイメージが強かったのが、いつの間にかスマホゲーム業界の中心になっていましたね。

馬場 2011年の夏ごろ、当時のスマートフォン普及率はまだ10%程度でしたが、若い人たちがスマートフォンを持っている姿をよく見かけるようになりました。携帯電話がフィーチャーフォンからスマートフォンにシフトする流れがある中、スマートフォンならではのリッチな表現力を活かして、技術習得目的でもいいから何か作ってみようというのが、最初の試みでした。

──そうしてできたものが、“Kuma the Bear”(※1)シリーズだったと。
(※1)コロプラが展開するカジュアルゲームブランド。現在、無料でプレイできるミニゲームアプリを50本以上提供中で、自社アプリの相互送客を行っている。Unityエンジニア拡充の一環として開発されている面もある。

馬場 そうです。最初のうちは僕がひとりで作って、実験的に展開しました。その後、スマホアプリ開発に携わるクリエイターを少しずつ増やしていき、開発に慣れてきたタイミングでリソースをどんどん割くようになりました。スマホアプリ開発に軸足を置いてから1年後、2012年の秋には開発リソースの8割ほどをスマホアプリにシフトして、いまにいたります。最近になってスマホゲーム業界の中で弊社が目立ってきたと思われるなら、それは単純にスマートフォンの普及率が上がったからでしょうね。

──当時に限らず、いまもブラウザゲームが中心のメーカーもあります。そうした選択肢はなかったのですか?

馬場 せっかくスマートフォンで作るんだから、やはりスマートフォンならではのゲームを作りたいという思想は根底にありました。とは言え、ブラウザにはブラウザの利点がある。だから、スマホアプリ開発を始めた当初は『秘宝探偵』や『プロ野球PRIDE』などのブラウザタイプのアプリを開発しました。今年に入ってリリースした『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』(以下、『クイズRPG』)や『軍勢RPG 蒼の三国志』(以下、『蒼の三国志』)(※2)などは、スマートフォン普及率の上昇にあわせてネイティブとブラウザの最新技術の両方を掛け合わせて開発しています。われわれは“スーパーハイブリッド”と呼んでいますが、どちらも高い技術力を要するため、同じものを作ろうとしてもなかなか難しいと思います。
(※2)コロプラの最新オンラインアプリ。スワイプ操作による戦が特徴。

──ゲーム性に関しても、『クイズRPG』あたりからは、ぐっとゲーマー寄りになってきた印象があります。

馬場 1年ほど前からはゲーマー向けのものを意識して出しています。その当時はすでに『パズドラ』があり、ゲーム性の強いものが今後ユーザーの心を捉えるだろうという仮説のもとに、コアなシステムを取り入れてゲーム性を強くしていきました。

──実際に『クイズRPG』や『蒼の三国志』を遊ばせていただいてすごく感じるのが、ライトユーザーも入りやすくて、ゲーマーも唸るような絶妙なバランス。あれはどなたか調整されているキーマンがいらっしゃるのですか?

馬場 どちらのタイトルもチームはまったく別ですが、コンシューマでの開発経験者が各チームにひとりはいます。それで、コンシューマゲーム的な要素と、われわれがいままで培ってきたソーシャルゲーム的な要素を融合させています。そのあたりがそう見える要因なのかもしれません。

──1チームの規模はどのくらいで?

馬場 1コンテンツにつき、10人程度です。弊社では“スモールチーム”という方針を提唱していて、チームの人数は少ないほどいいと思っています。意志疎通が図りやすいですから。そのこともあって、だいたいは10人の枠内に収まるようにしています。

──現在は何チームほどあるのですか?

馬場 いま開発している新作タイトルが6本で6チーム。そのほかに既存タイトルのチームが6 〜7チーム。それ以外も含めれば、合計で15 〜16チームはありますね。ただ、3人のチームもあれば、10人のチームもあり人数はばらばらです。『クイズRPG』はユーザー様の増加により、10人では対応できなくなりましたが、それでも15人ほどで運営しています。

──ほかにもコロプラだからこその開発ポリシーというのもありそうですね。

馬場 “おもしろくなるまで作り続ける”という文化があって、納得できるまでやめません。また、1回作ったものを出さずに捨てるのももったいないので、捨てたこともないんです。その結果、なかなか出せずにいるゲームもあるわけですが(笑)。

──そうなりますよね(笑)。最終判断は、やはり馬場さんがしているのですよね?

馬場 基本的には僕がしていますが、最近では僕が見なくてもいいと思うことがあります。というのも、チームがレビュー版を持ってくるときに、彼らの顔を見ればわかるんです。顔が明るければおもしろい、曇っていればそうでもないと。ただ、彼らもチームにいるとなかなかダメ出ししにくい空気がある。いまの僕はそれを言う係ですね(笑)。僕は社長だから好き勝手に言えるわけです。「つまんないね」「おもしろくないよ」と……。彼らもそう言われるのを待っていて、チーム全体が「社長が言ったんだからしょうがない。作り直そう」という空気になるんです。

──なるほど、それを馬場さんがいなくてもできるようにしたいと?

馬場 本当はそうしたいですが、いちばん最後の評価は本当に難しいと思います。レビューで難しいのは、かなり早いタイミングでジャッジしなくてはならないので、完成形を想像する必要があるところです。いま渡された未完成のものを「ぜんぜんおもしろくない」と言うのは簡単です。そうではなく、完成するまでのステータスに応じた判断ができないとダメなんです。

──それを馬場さんがやっていられるのは、やはりいままでの蓄積が大きい?

馬場 蓄積ですね。これくらいは仕上げてくるだろうとか、この程度の演出でも言えばこのくらいで直せるな、とか。確かにこれは経験がないとなかなかわからないし、できる人はそう多くはないと思います。

ユーザー数が一気に伸びた
テレビCMの投入タイミング

──効果的な集客については、どうお考えですか?

馬場 これはいろいろな条件が関わるので、すべてのコンテンツに当てはまるわけではないのですが、日本国内においては、テレビCM(※3)を効率よくやるのがいいと実感しました。条件が整えばすさまじい効果があります。成功するための仮説がいくつかあって、それをこれから検証していくところです。ただ、失敗したときのリスクは数億に及びます。開発費の何倍ものお金をかけてプロモーションをしているので、それを外すと大変なことになるわけです。それだけで赤字になりうるので、リスクの高い手法なんですよ。
(※3)2013年8月より『クイズRPG』のテレビCMを放送。CM開始後、わずか3ヵ月でダウンロード数を1000万近く伸ばす。

──そんな中『クイズRPG』でテレビCMを打ち、大成功。そのリスクに勝るほどの動機とは何だったのですか?

馬場 決定的だったのは、とある雑誌に掲載されていた『パズドラ』のダウンロード数のグラフです。それを見ると、テレビCMを打った直後からダウンロード数が急上昇していたんです。そのときに、「やるならいまだな」と。逆にいまじゃないと試すこともできないと。それから急ピッチで準備を進めました。

──動機というのは、意外とそういったところなのですね。ほかにも、Kuma the Bearを導線に、そこから集客していく独特の手法を展開されていますね。

馬場 これはもとをたどればフィーチャーフォン時代からよく使われていた、わりと古い手法です。ただ、これをスマートフォンで展開したのは、弊社がはじめてだと思います。

──1作あたりどのくらいの集客を見込まれているのですか?

馬場 これはタイトルによって本当にマチマチですね。ただ、Kuma the Bearシリーズをわれわれのブランドだと認識して、そこにあるバナーを経由してオンラインアプリに来ていただいている。だから離脱が少ないんです。そういうユーザーが集まって世界観を作ってくれて、すごく助かっています。自分たちの好きなタイミングで、好きなものを好きなだけ出せる。そこが自社媒体の強みでしょうね。

──コロプラアプリの数作がつねにトップセールスの上位を保っているのは、そうした横の展開だけが理由ではない気がしますが、何か秘訣があるのでしょうか?

馬場 基本的に、新規開発と運用は同じ人間が行っていますが、それぞれをまったく別のものであると理解することが重要だと思っています。新規開発というのは自由な発想でおもしろいものを作り出す“商品開発”で、運用というのはユーザーさんと接して、楽しんでいただく“営業活動”です。このふたつをいっしょに考えていると、なかなかうまくいかない。各社、それぞれの手法があると思いますが、われわれはそういう発想で作っています。

現在開発中の新作アプリ
“白猫プロジェクト”とは!?

──決算説明会(※4)では、6本の新規タイトルを開発中であることが発表されました。その中で、ゲームメディアとしてもっとも注目すべきタイトルを強いてひとつ挙げるとしたら、どれになりますか?
(※4)決算説明会:2013年11月6日に行われた第4四半期決算説明会。「私たちもびっくり!」というほどの成長を報告。また、歴史ものやライトなもの、男の子心がくすぐられるものなど、6本の新作を開発中であることも明かした。

馬場 われわれ開発者としては全部に注目していただきたいですが。あえて言うならば、『クイズRPG』のチームが作っている新規タイトルですね。“黒猫”になぞらえて、“白猫プロジェクト”と呼んでいます(笑)。

──し、白猫プロジェクトですか!?

馬場 われわれとしては、どのタイトルもおもしろくしたいので特別扱いするわけではないのですが、話題性があるのはこのプロジェクトでしょう。プロトタイプがすでに動いているのですが、パッと見の印象だけで言えば、期待値はかなり高いですね。非常にいいです。

──それは楽しみですね。差し支えなければ、白猫プロジェクトについてもう少しお聞かせいただけないでしょうか。

馬場 本当は動いているところをお見せしたいのですが……。リリースはまだ先の予定なので、ちょっと早いですね。ひとつだけ客観的事実を言うと、とある会議の場でそのプロトタイプを見せたのですが、全員が全員「すごい!」という感想を述べていました。開発2 〜3ヵ月でできたものとしてはクオリティが高く、動いた瞬間に「なんだこれは!」と驚くものでした。

──最後に、決算説明会であった「ついに孫さんと戦える日が来た、社内は沸いている」という言葉。すごく印象的でしたが、世界一を目指すべく、2014年はどんな年にしたいとお考えですか?

馬場 今後1年間、やることは決まっています。いかにおもしろいゲームを作って、いかに正しく運用して皆さんを楽しませるかということです。開発期間は徐々に長くなっていますが、企画から始めても1年以内には出せるので、すでに動き出している6本以外にも、新作タイトルが出てくる可能性はあります。ともあれ、出したものをきちんと運用するという、当たり前のことを当たり前のようにやる1年にしたいですね。リリースするゲームが全部当たれば、世界一になれると信じています。コロプラって、地味な会社なんですよね。とにかく地道にやり続けるのが得意で、それをコツコツ続けた先に世界が見えてくるのではないかと思っています。

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