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『ブレイブフロンティア』の骨子を支えるエイリムの開発者2名が明かす開発秘話

2013-09-05 19:49 投稿

エイリムの開発魂 ここにあり

配信後に長期メンテナンスに突入するなどの危機に見舞われながらも、ドット絵を用いたグラフィックと確かなゲーム性で人気を博し、スマッシュヒットを記録している『ブレイブフロンティア』。今回は、現場の最前線で開発に携わっている2名にインタビューを実施。途中からプロデューサーの高橋英士氏も加わり、開発の裏話と今後の展開について語ってくれた。

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エイリム クリエイティブ制作部 部長
岩崎優(いわさき ゆう)氏
エイリム 開発部 部長
杉山浩(すぎやま ひろし)氏

【“作って試す”がエイリム流】

――まずはおふたりのタイトルへの関わりかたについてお聞きかせください。

杉山:僕はメインのプログラマーとして関わりました。企画の原案からディレクターといっしょにアイデアを出し合っています。

岩崎:私はアートディレクターを担当しつつ、アニメーション・エフェクトを作るデザイナーとしても関わっています。アートディレクターとしては部署内のグラフィックデザイナーをとりまとめる仕事と、外注でドット等を発注している部分を監修している形になります。

――杉山さんから質問させていただくと、プログラマーということで配信直後はとくに大変だったのではないかと思いますが、当時を振り返って、いかがでしょうか。

杉山:配信直後は正直、我々もiOSに向けてアプリを出すことが初めてでして、よく聞く話ですとiOSの立ち上がりは緩やかにいくと聞いていたので、そういう感じになるのかなと思っていました。ですが想像以上にユーザーさんの勢いが凄くて、当初はサーバーのチューニングとも徐々にやっていこうという想定だったのですが、そういうわけにもいきませんでした。配信前のチェックやユーザー数の見積もりはまだまだ甘かったなと、反省点はあります。

――長期メンテに入られた当時、現場はどういった感じでしたか?

杉山:もうどうするよコレ、という感じでした。ただ、サービスを一度止めると判断が下った後の方針は早い段階で決まっていたので、やること自体はみんな見えていて、それに向かってひたすら進んでいくという。とはいえ、やってもやっても“本当にこれで大丈夫なのか”という不安は尽きなかったので、メンテナンス明けはみんな相当緊張していました。

――メンテナンス後は順調に立ち直っていった印象を受けましたが。

杉山:そうですね、再開して3~4日経ってなんとか大丈夫だったねと、みんなひと息つけるという感じでしたけど。リリース後からずっと緊張している状態で、さすがにみんなきつかっただろうなと。

――一方、アートディレクターの岩崎さんは当時どういったことをされていたんですか?

岩崎:ユーザーとしても楽しみにしていたので、一週間メンテのときは「うわー!」という感じでしたけど、隣でプログラマー陣の姿を見ていましたので、応援するしかできないですよね。僕らは僕らで、つぎに追加する要素をドンドン作っていました。

――そのころ進行していた作業というのはどういった内容ですか?

岩崎:次回のアップデートの際にアプリの更新を行わなければ出ない画像、たとえば村の川が流れたりとか、入れられてなかった部分を作っておいて、次回のアップデートの時に入れられるような準備をしていました。

――え、あれってあとから追加されたんですか!?

一同(笑)

岩崎:そうなんです。いまは川と雲が流れてまして。

――雲も!?

岩崎:ハイ。煙突からも煙もでてますから、ちゃんと見ていただけると、ドーナッツみたいな煙が。あとはバトル中の背景の蝋燭の明かりがゆらめいていたり(笑)。

杉山:ほかにも直さなければいけないところがたくさんあったのに。

一同(爆笑)

――そういった変更案は、プログラマー陣で話すのか、それとも完全に岩崎さんのチームが考えられているんですか?

岩崎:アニメーションで背景を動かすという話は、もともとはなかったんですけど、高橋さん(※1)が動いたらいいよねとポロリと言ったことがあるんですよ、それをやり始めたら全部に入れていくような流れになってしましました(笑)。アニメーションの内容自体は私で考えてどんどん作っていくような形でした。
※1……高橋英士氏。エイリム代表取締役社長兼『ブレイブフロンティア』プロデューサー

杉山:でも、その時点でエンジニア側は全く聞いていなくて、「あれ、そうなの?」って。

一同(笑)

――グラフィックはすごくゲームの重要な要素だと思うのですが、最初から現在のグラフィックのイメージを持って作業をされていた感じでしょうか。

岩崎:いえ、何度も変わっていますね。メインテーマも最初は、鉄パイプがいっぱいみたいな、もうちょっと近未来的なデザインでしたし。

――それはなぜ変わったんですか?

岩崎:ひと言で言うと、上の判断で「ちょっと違うね」と(笑)。

杉山:たとえば新しいゲームが出るとか何か映画を見て、影響されたんじゃないですかね。

一同(笑)

(ここで高橋氏が参加)

高橋:それはエグゼクティブプロデューサーの早貸の話でしょ(笑)。まぁ、パイプのやつは最終的に私も「ヤダ」と言いましたが。

一同(笑)

高橋:違和感を感じたまま世の中に売り出すのは嫌ですし、ユーザーにもきっとその違和感は伝わるだろうと。開発には申し訳なかったですけど、土壇場で色んなものを変えました。

杉山:デザインだけじゃなくて全てにおいてそういう感じで、プロジェクトが進む中でいきなり仕様が追加されたりとかザラにありましたね。

岩崎:作って壊してというのはザラでしたね~。

杉山:たとえば、最初は村の要素がありませんでした。これは僕があるゲームを遊んで村を作る要素があったので考えてみたんですが。

高橋:杉山自身もやることを増やしていたという(笑)。

杉山:でも、結果的にはやってよかったなと思っています。でも、そんなことよりもひどい悲劇が、リリース直前のグラフィック開発で起こったという……。

岩崎:ああ~! あれですね……。

――どんな事件が?

岩崎:リリースの1ヵ月ほど前にすべてのイラストが上がっていたのですが、上の指示でキャラクターのイラストを「ちょっと直した方がいい」という話になって。そこから203体をすべて社内で直したんですけど、直したら「やっぱコレは違うダメだ、もとに戻そう」と。けっきょく全部もとに戻ったという。

――なんという……。

高橋:ドット絵の方ではなくイラストの方ですね。5~6人がかりで、ちょっとテイストを変えてもらったんです。

岩崎:少し現代的に合わせたというか。

――5~6人で203体描き直すというのは、尋常ではないことですが。配信のどのくらい前の話だったのでしょう?

岩崎:配信の1週間くらい前ですかね。

杉山:これは流石にビビりましたね。

――元に戻すという話になったときの現場の反応は?

岩崎:すでに耐性がついていたので、デザイナー陣からすると「あ、そうなの?」という感じでした(笑)。

――ええ~(笑)。プログラマー側にはそういったエピソードはありましたか?

杉山:そうですね~、常時仕様は変わるし何が正解かわからない状態で我々も作っているので、とりあえず作って動かして、まぁダメならダメでまた作り直すというのをどんどんくり返してる感じでしたね。

――いちばん作り直したのは何でしたか?

杉山:合成の画面は4~5回作り直しました。『パズドラ』と少しでも変えたいという話になって、最初はドラッグでユニットを動かしたりといろいろ試したんです。最終的には“いいところは取り入れる”という形に落ち着いたんですが、合成に限らず、いろいろな面でかなり試行錯誤しました。

――初めてのネィティブアプリでのスマッシュヒットとなりましたが、手応えはいかがですか?

杉山:iOSという意味では初めてなんですけど、私や高橋、早貸はiアプリ時代からRPGをたくさん作っていたので、制作のノウハウは活きたのかなと思います。

――グラフィックの表現の幅もiアプリ時代に比べると格段に上がっていると思いますが。

岩崎:私もiOSは初めてだったので、どういう形でアニメーションを作れるかわかりませんでした。いろいろなことができる反面、思ったよりも制限あるなと。そこはトライ&エラーしながら何回も試して、ようやくいまの形に落ちつきました。

――キャラクターを作られるときに、基準みたいなものはあるんですか?

岩崎:メインキャラクターのヴァルガスをベースに、もっとデカい体のキャラが欲しいとか、小さい女の子を追加してみたりとかはありますが。基本的には、設計図は早貸の頭の中にしかありません(笑)。

――外見のイメージをすり合わせたりとかは?

岩崎:状況に応じて、名前と属性を教えてもらえることはありますね(笑)。

一同(笑)

高橋:早貸のイメージを超えるものを上げるようにチームが動くというスタイルですね。

岩崎:ですから、あまり細かい指示はないんです。細かく言われると、無理に合わせようとして変なものでき上がってしまう。

――御社はアート系もプログラム系も、そういった形で皆さんが考えて動いている感じですね。

杉山:そういう形でしかできないのかもしれませんね。

一同(爆笑)

杉山:そういう体制だからこそ、生まれるものがあるのかなという気もしていて。設計書通り作っていたら大体できるものは予想できるんですけど、いまの体制だとそれぞれが考えながら少しでもよくしようと作っているので、だからこそ最終的にいいものができるのかなと思います。

岩崎:きれいにまとめましたね(笑)

――たいへんな部分もありますけど、そこで新しい何かが生まれるメリットもあると。

杉山:ゲーム開発は“ムダからアイデアが生まれる”ということですね。

――業界的には、工数やリリース日、アップデート日などのスケジュールがキッチリ決まっていて、工数のことを気にされるゲームメーカーさんが多い中で、それと逆を行くのはなぜなんでしょうか?

杉山:このプロジェクトが始まったときから、“スケジュールは度外視してクオリティー重視”という話をしていて、「リリース日はゲームができたとき!!」と話していたんです。

岩崎:スケジュールが伸びても、いいものがどんどん積み上がっていく形になっていました。

高橋:目的の違いでしょうね。あるタイミングでリリースをして、一定の売り上げを立てることがいちばんの目的ではなくて、自分が作りたいものを作りたいだけ作って、それをユーザーに触ってもらって「スゴイ」と言われたい。これが目的になっていると思うんです。

【中身も見た目もさらに充実】

――今後に向けて、考えられていることはありますか?

杉山:もっとユーザーの遊びの幅を広げるような場を追加をしていきたいです。並行して、ユーザーインターフェイスはより快適になるように随時改修をかけていきます。

岩崎:よくあるソーシャルカードゲームとの差別化をもっと強く押し出したいと思っていて、例えば先ほど言った細かい川が流れているとかじゃないですけど、そういう部分を特徴として打ち出せればと思います。全マップが動いていたりとか。

――以前行われた1回目のアップデートで、じつはあまり知られていない変更した部分などはありますか?

岩崎:あの、WINのジングルを削除して、バトルのテンポを早めたりしました。

杉山:ゲームスピード的にもバトルのテンポを全体に少しだけ早めました。ほかには、アリーナのAIについてご意見をいただくことがありますが、ブレイブバーストゲージが貯まったら100%使用するという仕様だと、ただのパラメーター勝負になってしまうので、あえてああいった仕様にしています。

――たしかに、なかなかブレイブバーストを使ってくれないキャラクターいますよね。ミフネとか(笑)

高橋:侍ですから、技を見せないんです(笑)

一同(笑)

岩崎:世界樹なんかはよく回復してくれると言われていますよね。

高橋:でも、ユーザーさんの声を聞いていろいろ直したというのは、アリーナもそうですけど、いまのバトルのテンポの話は代表的な例ですよね。ふつうにゲームデザインを考えればまず入れるものなのに、それが内外から不評だったので思い切ってカットしたという。ユーザーさんの声をダイレクトに反映した部分ですね。

――アニメーションやイラストに対するユーザーさんからの反響はいかがですか?

岩崎:ビジュアル面に関して言えば、スーパーファミコンの『FFV』のような、あの時代のゲームみたいと好評をいただいていますので、そういったよさを残しつつ、さらに磨いていこうと思っています。

――新ユニットはこの先何体くらい追加されるんですか? 

岩崎:いま作ってるのは、進化後も入れて50体くらいですかね

高橋:8月末に6体追加したユニットがすべて3回進化するので、18体ぶん追加しています。それ以外でも50以上を制作中ですので、年内には100体ほど追加されるかなと思います。

岩崎:もっといきますね。

――ドットを打ちまくっていると。

杉山:ドッター大募集です! 我こそはというドッターの方はうちの会社に!

一同(笑)

――最後に、今後も進化していく『ブレイブフロンティア』を楽しみにされているユーザーの方々に向けて、おふたりからひと言ずついただけますか

杉山:『ブレイブフロンティア』は、これまでのソーシャルゲーム、いわゆるカードゲームとはひと味違った、かつコンシューマーともちょっと違う新しいものになったと思っています。非常にテンポもよく遊べてRPGの楽しさも十分に感じられますので、いままであまりゲームをやってこなかった方にも楽しんでいただけるといいなと思っています。これからもさまざまな機能を追加していきますし、RPG大好きなコアユーザーからライトユーザーまで楽しめるコンテンツには育てていこうと思ってますので、今後ともよろしくお願いします。

岩崎:すっごい真面目ですね。

一同(笑)

岩崎:何も言うことがなくなっちゃいました。「絶対にいいものを作るのでガンガン楽しんでください」くらいの感じにしたかったのに(笑)。

――それでいいと思いますが(笑)。

一同(笑)

岩崎:そうですね。あと『ブレイブフロンティア』はどの画面にも動きがあって、そういった細かな部分の演出まで今後もこだわって作りますので、ユーザーの皆さんも注意深く見てみてください!

【エイリムってどんな会社?】
『ブレイブフロンティア』を手掛けるエイリムとは、そもそもどんな会社なのだろうか? 会社の設立は2013年3月。フジ・スタートアップ・ベンチャーズとgumi ventures、そしてB Dash Venturesの3社による出資で設立された会社である。オフィスはgumi本社の一角を間借りしている形で、社員数は27名(※9月5日現在)。少数精鋭のチームで『ブレイブフロンティア』は作られているのだ。オフィスは活気に満ちており、取材時に開発の方々が議論するひと幕も見られた。情熱溢れる制作現場を目の当たりにすると、『ブレイブフロンティア』の今後にさらなる期待を抱かずにはいられない。

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ブレイブフロンティア

メーカー
エイリム
配信日
配信中
価格
無料(アプリ内課金あり)
対応機種
iOS4.3以降対応、iPhone4以降/iPod touch第4世代以降/iPad

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