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日本の叡智と独自OSが作り上げた手書きUIのタブレット“enchantMOON”がお披露目

2013-04-23 20:53 投稿

●豪華開発陣営により作られた“enchantMOON”

2013年4月23日、東京都内にて新型タブレット端末“enchantMOON”の発表会が行われた。タブレットを開発したのは、アプリ『100質』や『i書道』をリリースしているユビキタスエンターテインメント。開発には、映画『のぼうの城』などの作品を手掛けた映像監督樋口真嗣氏、作家であり哲学者としても知られる東浩紀氏、アニメ『灰羽連盟』の原作者である漫画家・イラストレーターの安倍吉俊氏が関わっている。ソフトウェア会社が独自に新型ハードウェアを開発するというのは、昨今では珍しくなくなってきているが、同社が開発した端末は、これまでにない特異なものであり、謎が多い端末だ。そのため、多くのメディアが発表会会場に押し掛けた。我々ファミ通App編集部もそれに倣い発表会に出席したので、ここでは“enchantMOON”とは一体何なのか?という点に主観を置いてレポートをしていこう。

▲ユビキタスエンターテインメント代表取締役、清水亮氏。

▲同社CPO(チーフ・フィロソフィー・オフィサー)、東浩紀氏。作家、批評家、哲学者としても活動をしている。コンセプト設計者のひとり。

▲漫画家・イラストレーター、安倍吉俊氏。“enchantMOON”のUIデザイン担当。

▲同社CVO(チーフ・ビジョナリー・オフィサー)、樋口真嗣氏。映像監督としても活躍している。コンセプト設計者のひとり。

 

●“enchantMOON”とは、一体どんな端末なのか?

“enchantMOON”は、Android OSを独自改造した“MOONPhase”というOSを搭載しているが、その様相からAndroidの雰囲気を伺うことはできない。それもそのはず、同端末のUI(ユーザーインターフェイス)は、Android OSとはまったく別物。画面にはアプリケーションのアイコンすら配置されていない。“enchantMOON”では、すべて手書きで端末に指示を与えることで操作する端末なのだ。ディスプレイに「カメラ」と記せばカメラが起動し、「設定」と記せば設定画面が開かれるといった具合だ。また、本端末は指での操作ではなくペンでの操作を主眼に置いた端末となっているのも特徴のひとつ。これだけでも、タブレットとしてかなり異質なものであることがわかるだろう。では、この端末はなぜ生まれたのか? 端末のスペックや仕様などをなぞりながら、追っていこう。

▲「鏡」と端末に書き記し、鏡の機能を実演。フロントカメラにより取り込まれた映像が、丸く書き込まれた部分にのみ映っている。

●手書きノートの表現力とデジタル端末の検索/共有性を両立

本端末はタブレットというより、デジタルなノートといったほうがイメージしやすい。ペンでの操作に主眼が置かれているのも、この点に起因する。では、なぜこのような端末が作り出されたのだろうか? それについて、ユビキタスエンターテインメント代表取締役、清水亮氏は「キーボード入力によって作られるメモ帳には、文字だけしか書き込めず、手書きのノートほどの表現力を持ち合わせていない。パソコンをもっとも使いこなしているであろうプログラマーでさえ、紙とペンでメモを取っているのが現状。ただし、手書きのノートでは、“情報の検索と共有”といった面に弱い。この端末は、手書きのノートにある表現力の豊かさと、デジタル端末にある“情報の検索と共有”の強さを兼ね備えた端末である」と語っている。

▲手書きのノートは表現力の豊かさを改めて解説。シンプルなスタイルを維持したまま情報量も多くできるのが手書きのよさ。

ここまでを聞くと「“iPad”や“Androidタブレット”でも、使い方次第では似たように表現力豊かなノートが作れる」と思う人もいるだろう。しかし、“iPad”や“Androidタブレット”は、あくまでも指での操作を主眼に置いて作られた端末であるため、ペンでの操作に最適化はされていない。また、指での操作によりノートを作るのと、ペンでノートを作成するのとでは、その精度やスピードに大きな差が出てくるのも事実である。つまり、“enchantMOON”は、“iPad”や“Androidタブレット”とは、似て非なるものになっているのだ。これに関して、コンセプト設計に携わっている同社のチーフ・フィロソフィー・オフィサー、東浩紀氏は「スティーブ・ジョブズは、指こそが最高のスタイラス(筆記具)であると語っているが、我々はそう思っていない。“enchantMOON”と“iPad”は似た特徴を兼ね備えている面もあるが、最高のスタイラスはペンなのか指なのかという、異なる哲学の延長線上にある端末だ」と述べている。

●簡単なプログラムも組める“前田ブロックβ”

“enchantMOON”には、“前田ブロックβ”という特殊なプログラミング環境が実装されるという。このプログラミング環境は、従来のものとは大きく異なるものだ。具体的な差異を挙げよう。従来のプログラミングは、キーボードでプログラムを1文字1文字入力して作成する。そのため、ある程度専門的な知識がないと、簡単なプログラムも作成できないという状況にある。しかし、“前田ブロックβ”にはそのような制限がないというのが最大の特徴だ。あらかじめ作られたプログラムがブロック形式になっており、それらをただ配置していくだけで、プログラムが完成するというものなのだ。そのため、何もわからない6歳でも、簡単なゲームが作れてしまうという。これの開発に携わった、同社チーフ・ホビー・オフィサーの前田靖幸氏はこう述べている。「従来のプログラミングと、“前田ブロック”は、ラジコンカーとミニ四駆に似ている。ラジコンカーは、車体を作り上げる技術が必要で、楽しむためにはさらに運転の技術も必要だ。また、自分が求めるパフォーマンスを実現するためためには、車体を作る段階から、細かい設定をしなくてはならない。しかし、ミニ四駆は細かい知識がなくても、ちゃんと完成するし走らせられる。改造するのも簡単で、気軽に楽しみが得られる。“前田ブロック”は、そんなミニ四駆のようなノリで触れるプログラミング環境だ」。発表会では、それを実証するように数分でシンプルなゲームが作られる様子が実演された。また、実演の際には、プロのプログラマーが“前田ブロック”を使用して作成した、しっかりとしたシューティングゲームも披露された。

▲同社CHO(チーフ・ホビー・オフィサー)、前田靖幸氏。“前田ブロックβ”の名前の元となった人物。

▲このように、ブロックを重ねて指示を増やしていくだけでプログラムは完成する。慣れてくれば、複雑なプログラミングをすることも可能だという。

●実際の使い勝手は?

今回我々メディアが実際に触れられたモデルは、製品版の前のテストモデルであったため、若干の不具合や未調整な部分が残っており、完璧なものとは言えない。そんな状況ではあるが、少しだけ触れたので、その使用感などを記していこう。まず、“enchantMOON”には、ユーザーの筆圧に合わせて、描く線が太くなったり細くなったりする、いわゆる筆圧感知機能が搭載されている。実際に触ってみたところ、筆圧の調整が意外と難しく、ペンを強く握ると消しゴムボタンを押してしまうことがあった。これについては、ある程度、使い慣れる必要がありそうだ。

しかし、本体に付属しているハンドル部分は利便性が高く、ほかのタブレット端末にも搭載してほしいくらいのクオリティーになっている。ハンドル部分は、端末の台としても使えるし、持ち運ぶときの持ち手としても使える。また、カメラのストラップを通す穴も設けられているので、ストラップを装着しての持ち運びも可能だ。

また、本端末をパソコンと接続するとUSBメモリとして認識され、端末に保存したノートなどをパソコンに出力しておけるというのも利点だ。このとき、ノートは画像ファイル(png)として保存されるとのこと。

▲ハンドル部分にも、制作サイドのこだわりが見て取れる。

▲操作感覚に慣れれば、自由にイラストを描くことも可能だそうだ。感覚としては、書き込んだものをデータとして保存できるホワイトボードといった具合。

●スペック簡易まとめ

それでは、最後に“enchantMOON”のスペックをまとめていこう。

OS:MOONphase(Androidベース)
CPU:AllWinner A10(1.2GHz)
記憶領域:16GB
ディスプレイ:8インチ XGAフルカラーディスプレイ(1024×768)
カメラ:200万画素
サイズ(ハンドル伸張時):280ミリ×162ミリ
サイズ(ハンドル伸縮時):234ミリ×162ミリ
重さ:約699グラム
価格:39800円(税込)※
予約/出荷:4月23日より予約開始、5月下旬より順次出荷予定
※送料別

 

以上が“enchantMOON”のスペックとなる。アップルのRetinaディスプレイのインパクトが大きかったため、解像度が若干低いように感じられるが、これはiPad miniと同じ解像度のディスプレイであるため、実用に当たっての問題にはならない。また、重量が約700グラムと少し重くなっているが、ノートという特性上、ずっと手に持って利用することは少ないと思われるので、ここも問題にはならないだろう。

まったく新しい種類のタブレット端末というだけあって、今後どれほどの需要が生まれ、どれほど話題になる端末かはわからないが、未来が感じられるものであることは確かだ。すでに本端末の予約は始まっているので、気になる人は今すぐ公式ホームページに飛んでチェックしてみよう!

※“enchantMOON”公式ホームページ/予約はこちら

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