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【大塚角満の熱血パズドラ部!】第118回『今宵の一杯は、ピート香がちょっと強い』

2013-01-09 14:45 投稿

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●今宵の一杯は、ピート香がちょっと強い

街路樹が少しずつ色づき始めた、去年の秋くらいのこと。俺は中目黒目黒とともに、『パズドラ』の山本大介プロデューサーと都内の居酒屋で酒を酌み交わしていた。俺と目黒はウィスキーのハイボールで、山本さんは好物のレモンサワー。新鮮な魚介類を肴に、いろいろな話をしていた。

こういう席での話題は、本当に尽きない。しかもこのメンツならば、毎回思うけど朝まで話してても足らないくらいだ。

さて、いい感じで酔いも回って来たし、もう一軒行っちゃおうか--。

そんなことを考え始めたとき、山本さんが俺のウィスキーグラスをじっと眺めているのに気が付いた。

あれ? 珍しくウィスキーにするのかな……?

そう思いながら山本さんの言葉を待っていると、彼はレモンサワーでちょっと喉を潤してからニヤリと笑い、こんなことを言ったのだ。

「大塚さんって、ウィスキーも好きですよね。とくにどんな銘柄が好みなんですか?」

なるほどなるほど。酒の席には付きものの、アルコール談義だな。俺、ニコニコ笑いながら答える。

「俺、ウィスキーは匂いが強いのが好きなんです。いちばん好きなのは、アードベック。あとボウモアとか、ラフロイグもよく飲みますね」

俺の返しを受けて山本さんは「うんうん」と頷き、しかしそれ以上ウィスキー談義を進めることなく、意味深なセリフでその場を締めた。

「大塚さん、ちょっと先になりますけど、すごく驚いてもらえるモンスターを配信しますよ。楽しみにしていてください」

……ん? この流れで『パズドラ』のことか……?

俺、山本さんの真意がつかめぬまま「ほー!」と言い、「なんだかわかりませんけど、いつも楽しみにしてますよ!」と応えた。

 そして--。

そんな会話を交わしたことも忘れかけた、2012年の初冬。

出社した俺を待っていたのは、机の上にうずたかく積まれた校正紙の山だった。見ればそれは、絶賛発売中でベストセラーにもなっている『パズドラ』のデータ本、『パズル&ドラゴンズ モンスター図鑑』のゲラ。目黒が年末進行のドサクサに紛れて「大塚さんにも校正してもらえ!」ってんで、ハイネ鳥居がコッソリと持ち込んだものだった。300ページに達する書籍の校正をするとなると相当な時間を費やさなければならないので、ここはピシャリと断ってもいい。しかし中身が『パズドラ』の図鑑ともなれば話は別で、俺はもろ手を上げて「うおおおお!!! 見る見る!! むしろ見させて!」と絶叫し、噛みつくように校正を始めたのだった。

で、1時間ほども校正に没頭したころだろうか。俺の目は“あるページ”に釘付けとなる。校正紙を持つ手はプルプルと震え、歯の根は合わなくなってカタカタと音を立てている。な、なんだこのモンスターは……!! そしてこの名前は……!!! 俺、『モンスター図鑑』の225ページを高々と頭上に掲げ、燃えたぎる声を吐き出した。

「ウ、ウィスキーがドラゴンになってるぅぅぅぅううう!!!!!」

これが、現在スペシャルダンジョンに現れている新機軸のドラゴン“火の歴龍・アードベッグ”と初めて遭遇した瞬間だった。……なるほど、あのときの山本さんの思わせぶりなセリフは、ここにつながっていたのか--。

あとで聞いたらウィスキーをモチーフにした歴龍シリーズは、『拡散性ミリオンアーサー』でおなじみの安藤武博プロデューサーと山本さんが酒を飲んでいたとき、「古くからRPGは、酒場やウィスキーが世界観にとてもそぐう」という話になり、「だったら……」という流れで誕生したものだと言う。

クリエイターどうしが酒の肴にゲームの話をしていると、こんな奇抜な企画が生まれるのか……。俺は改めて、彼らの想像力に脱帽したい気分だった。

さて、ウィスキーのアードベッグは、スコットランドで製造されているいわゆるスコッチ・ウィスキーで、非常に個性的な香りが特徴。麦芽を乾燥させるときに燃やす泥炭の匂い(ピート香、という)が強烈で、俺は初めてこれを飲んだとき「……いま俺、煙を飲んでんのか……??」とマジで思ったほどである。でも飲んでいるうちに燻製のようなこの匂いのトリコとなり、以来バーでウィスキーを飲むときは真っ先にアードベッグを注文するようになった。

それほど好きなお酒がいま、ドラゴンに姿を変えてスペシャルダンジョンにやってきている……。

やはりドラゴンのアードベッグも、お酒のそれと同じように強烈な個性を発揮するのだろうか? そしてめまいのするようなピート香で、俺を酔わせてくれるのか……?

「よし、一杯引っ掛けるか」

サイドボードに歩み寄った俺は、いい酒を飲むときだけに使用する取って置きのバカラのグラスを手に取った。そして、

「残念ながらアードベッグは切らしているので、こいつを……」

と、もらいもののポートエレンというスコッチをトクトクトク……とバカラに注ぐ。琥珀色の火のような液体をひと口だけ口に放り込み、独特の香りに顔をしかめて「ほっ」とため息を吐き出した。

「さあ、酔わせてもらおうか」

俺はおもむろにスマホの画面を触り、スペシャルダンジョン“炎の歴龍(三色限定) 紅の孤島 超級”を選択する。年明け1発目のダンジョン潜行は、アードベッグで決まりだ。正月休みにウィスキーを飲みながら、ウィスキーの化身のようなモンスターと戯れるなんて最高のシチュエーションじゃないか。

さて、その結果は……?

次回に続く~。

大塚角満(おおつか・かどまん)……週刊ファミ通、ファミ通コンテンツ企画部副編集長。編集業務のかたわら、執筆活動を精力的にこなしており、多数の連載記事を持つ。著書に、『モンスターハンター』シリーズのプレイ日記をまとめた『逆鱗日和』シリーズが9作、『ダークソウル』のプレイ日記をまとめた『折れてたまるか!』シリーズが2作品ある。現在、ファミ通.com上でブログ“大塚角満のゲームを読む”、“『ドラゴンズドグマ』で暮らす”、アメーバブログで“大塚角満のブログ”などを連載中
※ゲームを“読む!”はこちら
※大塚角満のブログ (Ameba)

 


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ジャンルRPG/パズル
メーカーガンホー・オンライン・エンターテイメント
公式サイトhttps://pad.gungho.jp/
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