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【CEDEC2012】4人の現役“社長”が語る、“会社を倒産させない方法”とは?

2012-08-23 18:47 投稿

●笑いも巻き起こるにぎやかな講演に

2012年8月20日から8月22日にかけてパシフィコ横浜で開催中されたゲーム開発者向けのカンファレンス、Computer Entertainment Developers Conference 2012(CEDEC 2012)。その最終日に行われた“起業したゲーム会社を7年間倒産させない方法”と題された講演会。タイトルから難しい話や堅苦しい内容がつまっていると思われるかもしれないが、実際の会場内は笑い声がおきるほど、終始楽しい講演だったことを最初にお伝えしておく。今回講演を行ったのは、以下の4名。

DropWave
代表取締役 本城嘉太郎氏
ヘキサドライブ
代表取締役 松下正和氏
 ゲームプログラマー出身で、自社開発のオンラインゲームエンジンの設計などを担当。近年はスマートフォンで遊べるオンラインゲーム、ソーシャルゲームの開発、運営に注力している。Cマガジン記事執筆、CEDEC2011、KGC講演、スッキリ!!出演など、その他の活動にも精力的。アーケードからコンシューマまで複数のタイトルを作成し、最終的にはプロジェクトのマネージメントなども行っていた。2007年にヘキサドライブを立ち上げ、2010年には関西を活性化させるために、“GIP WEST”を立ち上げた。

 

ホットティー
代表取締役 保手濱彰人氏
株式会社NAC
代表取締役 対馬健司氏
 東京大学在学中の2006年に創業、そのまま3回留年して大学を中退し、現在28歳。スマホゲーム分野で世界一を目指し、2012年5月にはKLabと戦略的資本業務提携を行った。「ソーシャルゲームでないゲームを」を標榜し、スマホ分野において任天堂がかつて果たしたことを再現しようとしている。1994年にゲームメーカー入社、2003年にはゲームソフト開発会社取締役に就任。2006年、株式会社NAC設立される。2009年度ベストベンチャー100にも選ばれ、就活アワードを2011~2013の3年連続で受賞している。

本講演会は本城氏の進行のもと、大きく10項目に分けられ、それぞれ4名のエピソードをまじえながら進んでいった。“企業時にまず行ったこと”や、“キレイな会社の辞めかた”、“資金”に関してなどの生々しい内容も多く含まれ、現在進行形のリアルな起業家の声が聞ける講演となった。ここではその項目ごとに印象的なコメントやエピソードをまとめていく。

●起業すると決めてから、まず行ったことは?

松下氏の場合は、まず最初に仕事、仲間、場所の算段をつけ、仲間を説得するために仕事と場所を探してきたと言う。松下氏は「まずは、いっしょに働く仲間が誰かというのがいちばん大切です。その仲間によって仕事のやりかたも変わってきます。ですから、私は最初にお金と仕事、そして作業場所を確保し、それを前提に誘った仲間を集めました」と語った。登壇者に共通していたのは、最初の仲間といっしょに会社を作り、いまでもともに仕事をやっているということ。そのために松下氏の場合は、環境を整えてすぐに転職してきても大丈夫というアピールを行ったのだ。いまも企業時のメンバーは役員やチームのコアとなって頑張っていると全員が嬉しそうに話していたのが印象的だった。

●仲間の集めかたと会社の辞めかた

企業時の仲間がどれだけ大事かわかったところで、ではそのメンバー集めはどう行われたのか?という話題に。 こちらも共通していたのは、当時の同僚や周囲の人間に声をかけ、起業メンバーに誘っていたようだ。対馬氏の起業時のメンバーは、ほぼすべて当時在籍していた開発スタッフだったという。NACは離職率が非常に低く、今でも当時のメンバーのほぼ全員が在籍しているという。「がんばっていっしょに働いてくれて、感謝の毎日です」(対馬)と目を細めていた。

そしてキレイな会社の辞めかたに関しては、ほぼ全員から「当時の上司から「苦しくなったら会社に戻ってこい」と言われた」といったいい話エピソードが並ぶ中、保手濱氏は「僕の場合は起業したときはまだ学生だったのであまり参考にならないかもしれませんが、大学の辞め方であればまずは留年や休学を駆使し両親や親類に諦めさせるのが重要(笑)」と実力行使の辞めかたを指南して会場内は笑いに包まれた。ただ、自ら計画的に辞めたにも関わらず「退学届けを、事務局の方がそっけなく受け取られてむなしかったのは覚えています」とちょっぴり悲しいエピソードも披露。

●創業時の資本政策と最初のオフィス、仕事環境の基準

いまでは支援団体や手順をふめば、たった1円からでも会社を立ち上げられる時代となったが、やはりスタート時の資金は重要だ。本城氏は自身で貯金した300万円と政策金融公庫から借りた200万円、松下氏は個人で借りた1000万円、保手濱氏は親類複数人から500万円を借入。対馬氏は自身と共同経営者の分をあわせて350万円を資本にスタートしている。対馬氏の場合は、会社設立時から2000万円程の仕事の入金予定があり、半年先までの仕事の目安がついていて比較的資金繰りはスムーズだったという。そして「とにかく開発会社は仕事があってなんぼですので、日頃の営業と人脈作りはいまでも大事にしています」と人とのつながりを大事にしているようだ。

また、起業して最初のオフィスは比較的安い場所を借りるのが一般的だが、本城氏だけは高層マンションの20階という家賃の高い場所を借りたそうだ。「部屋から見渡せる景色があまりにも感動的で、下見の段階で即決してしまいました(笑)。予算を圧倒的にオーバーしていて大変でしたが、その景色を見ながら誘いたい仲間に「一発当てようぜ!」などと言えば100%おちます」(本城)と、高い家賃をも武器にしていたようだ。

●税理士、労務士、弁護士

どれも運営を意識すると非常に大事な人員で、とくに税理士だけはプロに頼ることが大事だという。重視したいのは選ぶときのフィーリングで、「この人は危ないのでは?」と少しでも不安を感じる人は絶対にやめたほうがいいと登壇者全員が口を揃えて強調していた。いまではインターネットでそうした人材を紹介してくれるサイトもあり、無料でアポイントをとって相談えきたりと、非常に重宝しているようだ。

●最初のお客の見つけかた

本城氏の場合は、もともとフリーでプログラムの仕事を行っていたことから、クライアントづてに大手のゲーム会社を紹介され、まったく知識のないソーシャルゲームが最初の依頼だったそうだ。まずは3日で3本のソーシャルゲームを社員と徹夜で作り上げ、自分たちはできる人間だとアピール。その成果か、つぎはフラッシュゲームを20個で100万円と破格の値段で仕事を依頼され、こちらも見事に納品し、その大手ゲーム会社から認められ、以降も仕事が繋がったとのこと。そしてこの大手ゲーム会社との付き合いを武器にほかの企業とも営業を開始したのだ。本城氏は「ふつうならそんな金額ではうけない仕事も、最初さえクリアーすれば他の企業さんともうまく付き合える」と語っていた。

●社長として苦労したこと

登壇者全員、起業当時は社員から自分が社長として見られていることをつねに意識していたようで、自分の行動ひとつで社員たちの士気に関わるのがすごいプレッシャーにもなっていたという。本城氏は、前職で自分だけが正社員の時の思い出を語ってくれた。開発室では絶対に飲食禁止と決め事をしていたのにも関わらず、どうしても我慢できなくてオニギリをひとつ食べてしまったのだという。するとつぎの日にはみんなが開発室でふつうにご飯を食べているのを見て、特別な立場の人間がどれだけ影響を与えるかを痛感したとか。その後、ひとりずつに頭を下げ、やめてもらうようにお願いして回ったという。上司としての行動はつねに見られていると肝に銘じておくのが大事なのだと、いまでも気をつけているという。

●資金繰りで苦労した事とこれから企業を考えている方にオススメする本

会社を維持し続けることで最大の課題となるのは資金繰りだ。大雑把な人は1円、1日単位で通帳の動きを見ることで数字に対する危機感が持てると保手濱氏は話してくれた。対馬氏は「中小企業の場合、とくに気をつけなければならないのはPL(損益計算書)よりもCF(キャッシュフロー)すなわち緻密なキャッシュシュミレーションと考えています」と自論を展開。クライアントからの支払いや遅延、予期せぬ事態がおこったとき、すぐに資金繰りが厳しくなってしまう会社は、余裕のあるCF管理に気をつける様にと強く説明していた。

最後に、これから企業する人に向けてオススメの本が紹介された。本城氏からは『60分間・企業ダントツ化プロジェクト』(Amazon.co.jp)。企業戦略の考え方が身につく本で、最初に読んでおくと大分差が出てくるとのこと。保手濱氏からは『追われ者-こうして僕は上場企業の座を追い落とされた』(Amazon.co.jp)。安易な意思決定の怖さを教えてもらったのだという。対馬氏は、社長としてのあり方が実践的に書かれている『社長の教科書-リーダーが身につけるべき経営の原理原則50』(Amazon.co.jp)。松下氏からはとくにオススメする本はなかったのだが、代わりに先輩たちの生の声を聞くのがなりより大事だとコメント。

以上で、終了予定時間を大幅にオーバーして現在進行形の若き“社長”4人による講演は終了。起業を志す人のみならず、すべての会社人にとって聞き応えのある講演となった。

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