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【CEDEC2012】『Infinity Blade(インフィニティブレード)』は開発期間5ヵ月で誕生した

2012-08-22 11:40 投稿

●モバイル市場にもAAAタイトルを2012年8月20日から8月22日にかけてパシフィコ横浜でCEDEC2012が開催されている。ここでは、2日目に行われたChair Entertainmentの講演の模様をお届けする。Chair Entertainmentは、iPhone、iPadで配信されているアクションゲーム『Infinity Blade(インフィニティブレード)』シリーズの開発元として知られるゲームメーカー。2007年にスタッフ8人で立ち上げられ、その後、多数のAAAタイトルを輩出するゲームエンジン“アンリアルエンジン”を持つエピック・ゲームズに吸収合併。2012年現在はスタッフ14名を抱えている。

登壇したのは、『Infinity Blade』シリーズのアニメーターを務めているスコット・ストッダード氏。“Infinity Blade コンソールからモバイルへの飛躍”というテーマで講演が行われた。最初に語られたのは、スマートフォン市場への参入理由について。エピック・ゲームズと合併後、Chair Entertainmentに課された最初のお題が「アンリアルのテクノロジーを使ってAAAタイトルのモバイルゲームを作ること」だった。スマートフォンやタブレットなど、モバイルデバイスの市場は急速に成長しており、そのユーザー数はいまや世界で10億人を突破しているという。スペック的にも現世代のコンソール機よりもある意味では優れている点があり、アンリアルエンジンを十分に活かせると判断。AAAモバイルゲームを作ることが決定した。そして生まれたのが『Infinity Blade』になる。しかし、驚くことに同社はアンリアルエンジンでコンシューマゲームは制作していたが、モバイルゲームの制作経験は一切なし。そのうえ、許された開発期間はたったの5ヵ月! 今回の講演では、この5ヵ月という短い期間で、いかに『Infinity Blade』を作り上げていったのかが語られた。

▲『Infinity Blade』シリーズのリードアニメーター、スコット・ストッダード氏。

『Infinity Blade』が開発期間わずか5ヵ月でリリースにこぎつけたのには当然理由がある。それにはやはり、アンリアルエンジンに因る部分が大きい。Chair Entertainmentはスタッフ数は少ないながらも、いずれもゲーム開発において10年~15年のキャリアを持つ職人集団。彼らがアンリアルエンジンでコンシューマゲームを作ってきたノウハウを、モバイルゲームにおいても活かすことできたという。『Infinity Blade』の肝となるバトル部分の作成にかかった期間はたったの3週間。限られた期間内で高いクオリティーと楽しさを実現するためには、「重要なことほど早い意思決定が必要だ」とスコット氏は述べる。仕様の取捨選択や、モバイル端末のスペックの範囲内で実現できるグラフィックのラインなどを早期に決定し開発を進めることで、中心となるゲームの楽しさを早急に見極めることが重要なのだという。

▲3週間という短期間で、完成形に近いバトル部分を作り上げている。

また、制作管理でも独自の手法を取り入れている。スケジュール管理おいては、1週間以内のスケジュールを時間単位のブロックで分けたタイムブロックスケジュールという方法を採用。スケジュールを短い期間で区切り、いま進行中の開発でどこが遅れているかを把握して対処することで、開発スケジュール全体の遅延を回避できるという。また、迅速な意識決定を行うために、スクラムと呼ばれるミーティングを行っていた。スクラムは毎日、ランチ前の15分間に行い、ゲームの方向性をメンバー全員で決めるためのものだそうだ。

▲1週間以上先のスケジュールは組まず、現在開発を進めている部分を時間単位で管理する。

とはいえ、ゲーム開発において妥協がなかったわけでなない。モバイル端末のスペック上、妥協しなければならないこともある。しかし、講演を聞く限り、彼らの妥協は非常に前向きなものに感じられた。彼らの妥協は、“ゲームとしての楽しさ”を実現するという共通認識のもと行われるものだからだ。スタッフ全員が納得しているため、円滑なゲーム開発が進められるのだ。だが、ただ妥協すわけではなく、当然目指すべきクオリティーを実現するため、スペック上の問題は工夫を凝らして補う。具体的な手法についてが技術的な話だったため、筆者にはチンプンカンプンだったが、クオリティー維持のために創意工夫に妥協は一切感じられなかった。アップデートに関しても余念はなく、ユーザーが使用している武器のデータ、アイテム、バトル内での行動傾向など、あらゆるデータを取得して、調整を行っている。ちなみに、データによるともっとも熟練したプレイヤーは日本人らしい。

▲1000以上のアニメーションのモーションキャプチャーはすべてスコット氏が担当。「もしモンスターに負けたら、それは私に負けたということです」と述べ、会場の笑いを誘った。

『Infinity Blade』は、エピック・ゲームズのゲームの中で、開発者ひとりあたりの利益がもっとも大きいゲームだそうだ。収益の50%以上は配信3ヵ月以降の売上で、セールをくり返すことでロングテールで売れているという。これらの実績から最後にスコット氏は、「モバイル市場でもAAAタイトルが求めれている」と述べ、講演を締めくくった。

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