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『メタルギア』や『Halo』に関わった気鋭のクリエイターが放つ意欲作『Republique』とは?【動画追加】

2012-04-10 21:30 投稿

●スマートフォン向けのものすごいゲームを!

「見せたいものがあるから会えないかな?」と、ライアン・ペイトンからメールがあったのは2月頭のこと。開発中のタイトルが見せられる状態になったので、プレゼンの機会を設けることになったのだという。プレゼンはちょうどゲームメディアが集まるGDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)に合わせてサンフランシスコで行われるとのことで、ちょうどGDCに取材に行く予定だった記者は、すかさず「OK」の返事を送った。

いまはシアトルに暮らすライアンだが、10年以上前に来日してしばらくゲームライター業に従事。ほどなくしてKONAMI小島プロダクションで『メタルギア ソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』の開発に携わることになった。その後、4年前に米国・マイクロソフト本社に入社し、『Halo(ヘイロー)』シリーズのプロジェクトに参画。それが昨年7月に電撃的に退社し、カモフラージュという会社を立ち上げて、「自分の作りたいソフト開発」に励むことになった。2011年9月に行われたCEDEC 2011での講演では、その決意のほどを明らかにしたライアンだが(⇒記事はこちら)、いよいよそのプロジェクトが動きだすのか……と思うと、感慨深かった。

指定されたダウンタウンのホテルの一室へ足を運んだ取材陣を、ライアンはにこやかに出迎えてくれた。僕らが腰を落ち着けるとライアンは、昨年の7月にマイクロソフトを退社してからいろいろな国を旅して、いろいろなアイデアが生まれたこと、最初は安全策を取って小さなプロジェクトから行こうと思ったが、いっしょに仕事をすることになったローガンという会社(アップルのCMや『メタルギア ソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』のオープニングムービーを作った会社らしい)の社長アレックスから、「小さなプロジェクトもいいけれど、もっとクレイジーなことをやろう!」と言われ、決意したといった経緯を語ってくれた。それが、昨年のハロウィン(2011年10月31日)で、そこからライアンの新タイトル『Republique(リパブリック)』は動きだした。

『Republique』にインスパイアを与えているのは、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』だ。『1984年』では、全体主義に支配される恐怖が描かれているが、「監視されていることをテーマにしたゲームはない」というライアンの発想が、『Republique』のテーマとなった。さらに、「僕は、“これを言っちゃダメ”というのが苦手なんだけど、最近はどの国を見てもいろいろとチェックされていることを実感する。そんな現状に対する違和感を、『Republique』では表現したいと思ったんだ」とライアン。

さらに『Republique』でもうひとつのポイントになるのが、スマートフォン向けのすごいゲームを作るということ。「いま、スマートフォンがものすごい勢いで普及しているけど、僕が遊びたいゲームがない」とライアンは言う。自分が遊びたいと思えるような、すぐれたスマートフォン向けのゲームを作りたいというのが、『Republique』開発の根底にあったのだという。

『Republique』の概要を簡単に説明すると、主人公は“ホープ”という名前の22歳の女性だ。彼女はある閉ざされた国家に所属していて、国の外に出たことはおろか、太陽の光を見たこともない。いわば国家に幽閉されている状態だ。そんな彼女がスタッフから携帯電話を盗んで、誰ともわからない相手に助けを求める。そのメッセージを受け取ったのが“私”(プレイヤー)だ。

プレイヤーは、直接彼女を助けにいくこともできなければ、彼女を妨害する国家側のスタッフを直接倒すこともできない。プレイヤーにできるのは、コンピューターにハッキングすること。プレイヤーの目的は、ホープがうまく逃げられるようにハッキングを駆使して導いてあげることだ。具体例をひとつ挙げると、彼女が部屋に入るとスタッフが陣取っている。彼女は見つかるのでは……というときにプレイヤーはコンピューターをハッキングして物音を立て、スタッフの注意を逸らすことに成功する……といった具合だ。

ホープはか弱い存在で、武器を持たない。持っているのはスタンガンのみで、しかも限られた弾数しか用意されていない。「彼女は最後まで人を殺さない」とライアン。そんな彼女をいかに逃がすか……というのが本作のゲーム性となる。「ステルスとサバイブがミックスしたゲームだね」(ライアン)という。

『Republique』はビジュアル面も重視している。ライアンは、「『Republique』をモバイル向けと考えてはいけない」と鼓舞したそうだが、キャラクターはコンシューマーゲーム機に負けないポリゴンを駆使、動きも秒間30フレームを実現しているという。本作のためにモーションキャプチャーも行ったというから驚きだ。中でも試行錯誤したのが主人公ホープの造形。ホープに興味を持ってもらえなければ、ゲームそのものを楽しんでもらえない可能性があるからだ。「ホープはすごく綺麗じゃないとダメだけど、セクシー過ぎなのも考えもの。ゲームはセクシー過ぎるキャラクターが多過ぎる。やっぱりリアルじゃないとダメだし、実際の女の子はそこまでセクシーじゃない(笑)」。世界中のユーザーに受け入れられるようなヒロインを……との思いも、ライアンにはあるようだ。

気になる本作の配信時期は2013年春にはリリースするとのこと。昨年の10月31日から始動したということは、開発期間に1年半を見込んでいることになるが、「スマートフォン向けタイトルとしては開発期間が長いのでは?」と問うと、「長いけど、あと1年くらいはほしい。10点満点のゲームを作りたいからお金も時間もかかるよ」(ライアン)とのことで、本作には相当期するものがあるようだ。

さて、『Republique』では、さらに興味深い取り組みを予定している。それは“キックスターター”での展開を予定しているということだ。ご存じでない方のために説明しておくと、“キックスターター”というのは、クリエイターがアイデアを公開し、賛同者を募って実現するための資金を集めることを仲介するサイトのこと。映画監督や音楽家など、さまざまなジャンルのクリエイターがキックスターターでアイデアを公開しており、つい先日もゲームクリエイターのティム・シェーファーが資金を募ったところ、2億円以上が集まったことで話題を呼んだ。「お金を出して予約するようなもの」とライアンが言うキックスターターのいちばんの利点は、「パブリッシャーと契約をしなくても済むこと」ときっぱり。これまでデベロッパーがソフトをリリースしようとすると、資金調達のためにもパブリッシャーとの契約が必須だった。そうすると、どうしてもパブリッシャーの意向に沿わないとならない部分も多く、クリエイターは必ずしも思い通りのものを作れるとは限らなかった。「縛られたくない」というライアンの言葉は切実だった。

そしていま、そんなライアンの言葉に象徴されるかのように、才能のある人材が大手ゲームメーカーを辞めて、独立しているケースが増えているという。「いまのゲーム開発は予算が膨大な額になっているために、大手ゲームメーカーはリスクを避けて安全な方向に向かっている。今後大きな会社でクリエイティブなことをするのは相当難しいと思う」とライアンは語る。「上からOKがもらえないとゲームが出せないようなビジネスはもう古いと思う。みんな自分のクリエイティビティを自由に発揮したい。いま、SteamやAppストア、Google Playなど、自由に発表できる場が整ってきた。僕はこれからのゲームをもっともっと楽しみにしている。もっともっと、クリエイティビティ溢れる作品が出てくると思う」というライアンの言葉を実現したタイトルのひとつが『Republique』だと言えるだろう。

『Republique』は日本語版の配信も予定している。発売は2013年春としばらく先になるが、ぜひとも心に留めておきてほしいタイトルだ。

※キックスターター『Republique』のプロジェクトはこちら

▲『Republique』に参画しているクリエイター陣。左端がライアン。

※2012年4月10日一部表記を修正させていただきました。

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