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“AppBank Games”ってナンだ!? アプリを知り尽くした男たちが仕掛ける新たな展開に迫る

2012-04-02 18:02 投稿

●最高の環境がここにはあった

2012年2月24日、iPhoneアプリの情報サイト“AppBank”にて、AppBank株式会社、AppBankGames株式会社の立ち上げが発表された。もともとGT-Agencyという親会社のもと運営していた同サイトだが、法人化により完全に独り立ちを果たしたことになった。iPhoneの先進性に早くから目をつけ活動を行ってきた彼らが、ついには独立するに至った経緯もそうだが、さらに気になるのが“AppBankGames”の存在。ゲームの名を冠するとあっては黙っていられないのがファミ通App編集部。いったいどんな会社なのかを探るべく、AppBank株式会社の代表取締役兼AppBankGames取締役である村井智建氏、AppBankGames代表取締役である宮川義之氏にインタビューを敢行した。

(左)AppBank株式会社 代表取締役兼AppBankGames取締役
村井智建氏
(右)AppBankGames代表取締役
宮川義之氏

取材はAppBankGameの社内で行われたのだが、現地に到着した記者たちが目にしたのはいわゆる“オフィス”ではなく、見た目はアパートに近い古びた“マンション”。最寄り駅は神奈川県の新丸子と都内からは少し外れた立地。「こんなところから最新のゲームが産み出せるの?」という若干失礼な思いを胸に、部屋に通してもらった記者たち。しかし、ものの数10分で最初の邪念に土下座して謝りたいほどのすばらしい環境を目にすることになったのだ。我々を迎えてくれたふたりは、室内を案内してくれながら、まずはAppBankGamesの日常について教えてくれた。

――外見から想像するイメージよりもずいぶん広いし、なんだか自由って感じがしますね。

宮川 最初はかなりきっちりと区分けしてあったんですよ。すごく高級な机と椅子を用意して、快適に仕事をしてもらおうと思ったので。でもいろいろやっていくうちに、みんな好きな場所で作業をするようになってしまいましたね。

――ここ(和室の休憩スペース)で作業されているかたもいらっしゃいますね(笑)。

宮川 そうなんですよ(笑)。うちはお昼休みを2時間取るようにしてしてるんですよ。9時から始業で正午から午後2時までをお昼休みにしています。一般的に長めのお昼休みだとは思いますが、朝早く来て午前中もしっかり働こうということでこうしました。ゲーム会社としてはすごく珍しいと思うんですけど、結果として9時出社で遅刻する人間はほとんどいなくて、みんな12時になったら急いでご飯を食べて、ここで『ストIV』の対戦とかをやってますよ(笑)。ちなみにですね、そこの隅っこにあるPCと座椅子が社長の椅子です。


――え、これが!?(笑)

宮川 もともとはちゃんと社長室があったんですけど、とられちゃったんですよ(笑)。社内研修で毎朝チームに分けて好きなところでゲームを作ってもらうというのがあるのですが、各チームにだいたいの領地を割り当てると、皆机ごと移動しちゃうので、社長室も場所として使われ出してとられちゃいました(笑)。僕の見解として、固まったメンツができるといろいろ膠着化して絶対よくないというものがありまして。勝手に移動して自然にいろんな職種の人が混ざった配置になることはとても理想的なので、固定の席もない、自由な環境でいこうと皆で決めました。あと、求人募集のときもこういう変わった環境がウリになるんですよ。都内でこの規模のオフィスを作っても、ゲーム業界によくある大規模開発に慣れた人からみれば「小さい!」って思われちゃうだろうし、何より絶対に見たことのないものにしたかったんですよ。

――ここが一応メインの作業ルームですね。

 

▲奥には取材陣を逆取材する村井氏の姿も(笑)。

宮川 いきなり自慢をしてしまうと、ここで使っている机と椅子はすごく高くていいものなんです(笑)。椅子はちょっと前の定価で18万とかだったかな……?

――うわ、すごい。

宮川 机もいいものなんですよ。高さ調整も自由にできて。でもさっきみたいにみんな好き勝手やってしまってます。たしかにマックを持って好きな場所で作業してもらおうとは思っていましたが、人によっては机も椅子も片付けて座布団で仕事していたりしますからね。

――(笑)。ちなみにここ、どれくらいの広さなんですか? 部屋数も結構ありますね。

宮川 120平米です。家賃は月19万8000円ですね。

――安い! これは郊外じゃないと実現できないですね。

宮川 この会社は2月1日から始動したんですけど、そこから1週間研修を行ったんですよ。その内容が、4つのチームに分かれて1日限りでゲームを作ってください、というものだったんですね。当然リーダーも日替わりで全員が経験してくださいと。何がしたかったかと言うと、お互いの遠慮を取っ払いたかったんです。最初って、会社が始まって「よろしくお願いします」と挨拶しても、どうしても遠慮しちゃいますよね。こうやってゲームを作りあえば、ほかのチームに対するライバル心が生まれて、ほかに勝つにはどうしたらいいんだろうって話し合いますし、そこで自然に打ち解けるわけですよ。で、そうやってみんなが自由にかたまって話し合ったりしていたら、いまのような形になってしまったわけです(笑)。

――なるほど。ちなみにいまスタッフさんってどれくらいいらっしゃるんですか?

宮川 いまは20人ですね。

――どういう内わけなんですか?

宮川 プログラマーが10人と多めです。本当はもっとプログラマーの割合を下げたかったんですけど、募集をかけたときに、「この人を落とすのはもったいない」というくらいの人がたくさん集まってくれて、こういう感じになりました。あとはアートスタッフが5~6人と、企画スタッフです。

――平均年齢は?

宮川 若そうに見えて、じつは30歳くらいです。あと特徴としては名刺の肩書きを全員例外なく“ゲームクリエイター”にしてます。最初の1週間の研修で作ったゲームがすごくクオリティーが高いものばかりでしたし、とくにiPhoneアプリの場合グラフィックとかプログラムにこだわることなく全員がクリエイターでいいじゃないかという考え方ですね。

――わかりやすいですよね、そのほうが。

宮川 やりたいことの根本が“ゲーム作り”なので、そこに戻ったという感じですかね。

さらに各部屋を案内してくれる宮川氏。なかには件の高級な机&椅子が押し込められた部屋も。目についたのが、各部屋にある壁一面の巨大なホワイトボード。スタッフが打ち合わせをする際に、ここに自由にアイデアを書き込み、付け足していくのだそう。こうした理由のひとつに、会議をなくしたかったのだと宮川氏は言う。

▲高級机と椅子が押し込められた部屋に宮川氏も苦笑い。

川 会議がないのはすごく楽ですよ。だってちゃんと会議をやろうと思ったら、スケジュールが会議で埋まっちゃうじゃないですか。そういうのが嫌で、どこでも打ち合わせができるようにして、これだったらすぐにペンを持って書き出して話し合いができますから。

村井 あとは和室がやっぱり落ち着くよね。

――大きい企業でも和室を取り入れてるところが多いですもんね。

宮川 ここに慣れちゃうとふつうのオフィスは本当に想像できないですよ。

村井 配線とか全部手作りなんですよ。

 

▲こちらは将来的には防音処理を施してサウンドルームにする予定なのだそう。

という村井氏の言葉を受けてあたりを見渡してみると、なるほどたしかにホームセンターで売られているような配線ケースなどで見事に各部屋への配線が行き渡っている。しかもかなりしっかりと。押し付けでやる作業ではこうはいかない。ここまでさまざまな部屋を見せてもらった記者にもこの会社の「楽しそう」な雰囲気がビンビン伝わってくる。さらに見てもらいたいものがあるという村井氏が開いたのは、キッチンの戸棚。そこにはコンロや土鍋などがギッシリと置かれていた。

宮川 僕ら外で飲み会したことないんですよ。さっきの和室でみんなでご飯を食べることがあるんですけど、初日がフグチリ、1週間後がしゃぶしゃぶ、最近はあんこう鍋もやりましたね。自炊すると安いじゃないですか。20人で飲みに行くと一人3000円とかでもすごくお金がかかってしまいますよね。べつにそれをケチっているわけではなくて、社内なら遙かに安く最高の食材で飲み会ができますし、余ったお金でほかにもっといい使い方をしたいですよね。

と、ここでふたたび社長である宮川氏の席(座椅子)のある和室へ。ここからは本格的にAppBank株式会社、AppBankGames株式会社の話題にシフトしていくことに。

●なぜこのタイミングで会社を設立したのか

――まずはAppBankを株式会社として立ち上げたいきさつからお伺いしたいのですが。

村井 AppBankというサイト自体は2008年の10月から始まっていて、運営として4年目に入るんですよ。これまでも『ポケットベガス』というゲームを作らせていただいたりとか、アクセサリーのECサイトやリアル店舗を設けたり、事業としては広げてきていたわけです。ただこれまでは、GT-Agencyという私が代表取締役をやっていた会社の一事業という形でAppBankというものをやってたんです。ですが、現状のスピード感だとか、成長の仕方とか諸々を考えると、もうAppBankは単体で会社化するしかないという結論に至ったわけです。そのタイミングで(旧ゼペットの)宮川さんにもいっしょになっていただいたりとか、AppBankがいい形で組織化できました。ちなみに私は1月末でGT-Agencyも親会社のガイアックスもすべて退社しております。親会社のガイアックスから数えるとかれこれ12年働いてたんですけど、そこから退社してしまって、いま人生初の別組織に属してます。

――本気度が伝わってきますね。いつくらいから法人化の流れに?

村井 去年の夏くらいですね。実際に会社化しようと動き出したのは10月くらいです。8月のタイミングというのは、App Storeの市場自体が変化した時で。『探検ドリランド』が1位になったりとか、一般にCMを打つようなタイトルがスマートフォンでも1位になったりとか、従来だったら考えられないことが起こりだしていたときです。KDDIからiPhoneが出たってこともあるんですけど、iPhone市場自体が一般的になってきたんですよね。3年前だったら、ガジェットオタクだったり、よっぽどリテラシーが強い人しか使ってなかったものが、完全にもう一般化したんですよ。うちとしても、アプリもやりたいし、ストアもやりたいし、やりたいことだらけ。で、かつ全部に手ごたえを感じてて、コレ用の箱をちゃんと作って、AppBankとしての概要を持ちたいと思うようになりました。

――実際にもう会社として設立してるんでしょうか?

村井 はい。2012年1月23日が設立日です。ゴロ合わせが好きなので、早ければ去年の12月3日に作りたかったんですが、土曜日で法務局が開いてなかったんで(笑)。まあ、いろんな会社が関わっているので、いちばん早く調整のつくタイミング&ゴロがいいというので、この日になりました。

――いままでいろいろやられてきましたが、つぎは何かやろうというのはあるんですか?

村井 全体図で言うと、“メディア”と“リアル”と“アプリ”ということ以外当面はやらないです。というのも、メディアのほうで関わってる人数が外部委託入れても13~14人程度で。アプリは20人くらい。ストアは協業で社員で言えば20人いないくらいで、決して人数としては多くないんですよ。とは言え、「これはやりたい!」となったらやっちゃうとは思うんですが(笑)。まあ、メディアとリアルとアプリをやってたら、iPhoneに関わるすべてのことをやってるので、十分贅沢にやらせてもらってるとは思っていますけど。

宮川 エッジを広げてると思いますし、これから全国にも展開しますしね。

村井 3月16日には福岡パルコ、4月18日には神宮前の東急プラザに入りますし。もう9月には出ると噂されている新型iPhoneまでにはショップ展開に関しては完全にやりきりたいなと思っています。絶対やらないといけないのは大阪ですね。欲を言えば札幌もやりたいですが。

――ぶっちゃけリアルショップって儲かるんですか?

村井 最初原宿にショップを出した時、絶対儲からないと思ってたんですよ。やってみて、赤字だったら半年で閉めるぞと。そのころWEBではずっと黒字展開をさせていただいていたので、だったらリアルショップもやってみようという軽い気持ちでした。WEBが2月22日オープン、原宿が5月22日なので、すごく早いですよね。始めてみたらショップでも奇跡的に初月から単月黒字だったんですよ。これはAppBankの読者さんに支えてもらったのが本当に大きくて。原宿のすごくわかりにくいところにあるにも関わらず、最初2ヶ月くらいは読者の方が来て買い物をしてくれて、それで2ヶ月くらいたつと、現地としてもある程度認知がされてきて、徐々に女性の方や通りすがりの方が買ってくれる。じつは名古屋でもまったく同じ形で。最初は読者の方が来て、買ってくれるんですよね。

――以前からやられてた全国行脚が実を結んでるんですか?

村井 それはめちゃめちゃ大きいです。ジャパンツアーで、もう2回くらい全国を回っていて、だいたい地の利みたいなものがわかってくるし、私たちは食レポみたいなこともやってるんですよ。現地でうまいものを食ってレポートするという。大体それでめちゃめちゃ街を散歩するんですよ。そうすると、若い子ってここでお金を使うとか、ここには人が集まらないとか、だいたいわかってくるんですよ。

――いまの収益源は?

村井 メディアもリアルもアプリも、すべての事業が良い形でやれてます。

――メディアのAppBankのスタッフの平均年齢は?

村井 27、28歳くらいですかねー。女子チームは26、7ですかね。今回会社化するタイミングですべて正社員にしました。ギリギリカツカツでやってるので、下手な話、ひとりやめられたら泣いちゃうレベルですね。よくこれだけの人数でやってるなと思いますよ。

宮川 何をやるにしても大事なのは“自信”につきますよね。自信をつけるには正社員採用は当たり前の話でもあります。うちの会社って採用もおもしろくて、よくある応募資格=大卒以上とかいうのじゃなくて、僕の出したお題をクリアーできたら応募資格ありってことにしてるんです。今回ではパチンコゲームの提出を課題にしまして、採用されたら応募してくれた物を初出社の日にみんなの前でプレゼンしてもらうんですけど、それだけで先輩社員は新入社員に信頼を持つことができるんですよ。さらに、初出社の日は始業時間前に来た新入社員に「あの時計が9時になった瞬間に君の人生はジェットコースターのように変わっていく」と話たあと早速研修を始めるのですが、1日目は先輩社員を数人割り当てて、いきなりゼロから新規に企画してそこから24時間でゲームを作る。2日目は、いきなり君がリーダーになって、1日目の先輩同様、好きな提案でやりたいようにゲーム作っていいと。そこまでやるとその人の持ってた夢のいくらかが突然に一線のスタッフと一緒に実現されるし、遠慮してる場合じゃないって自覚がばりばり芽生えるんですよ。

――社名をゼペットからAppBankGamesとした経緯を教えてください。

宮川 村井さんのおかげが多大にあるんですが。こういう大きな会社の社長をやるのは、じつはかったるいなというのがあったんです(笑)。でも村井さんは、意欲にあふれた方で、以前から私にいろいろと展開プランを依頼してくれたのですが、それは私個人の規模でやるのは無理ですねって話をしてたんですよ。その後村井さんもいろんな人に声をかけたようなんですが、うまくまとまる気がしないと相談を受けまして。AppBankが抱えてる莫大なチャンスのひとつがそういうことで崩れたらもったいないじゃないですか。なおかつ、僕も3年間個人会社でやってる中で、今年はコンチクショーという悔しさを抱えていたんです。それとまっこうから対峙するチャンスを村井さんが、AppBankが作っていて、僕に声がかかっている。この状況でやらないという選択肢はないですよね。それで僕らもAppBankの仲間に入ることを決めました。

――悔しさというのは?

宮川 20年前にエニックスとスクウェアが強力なRPGブームを作って、すべての会社がRPGを作らなきゃいけないような流れになっちゃったんですよ。いま、あの現象がソーシャルゲームによってまた起きつつあるかもしれない。せっかくいろんなゲームが作れる・遊べるようになったiPhoneゲーム時代にそれはつまらないと思っても何も言えない。それが悔しいんですよ。だったら流れを最初から押さえるしかないんですよね。ただ、独自の流れを作るなら、個人でやるより、ちゃんとした会社のような規模感も必要だろうなぁとは思ってて、未練もありますが気ままな個人開発者ライフを捨てて朝9時に始まる会社を作りました(笑)。村井さんとやってると、僕のすべての常識をぶっ壊してくるんです。村井さんは朝の5時くらいから起きて仕事してるので、朝6時とかにファイルを送ってきて、7時に「見ましたか?」って電話がきたりとか(笑)。まあそういうやり取りで早起きには慣れたんですけど。朝9時からにしたいちばんの理由は、それで鎌倉(AppBank)のほうがいいパフォーマンスをあげている。ゲーム業界の“遅く始まる理論”は幻だったとわかったからです。ただ、9時出社は求人条件としては少し厳しいかなという不安もあったので、求人には「極上の環境を用意しました」って書いたんですよ。そしたら求人が殺到しまして。提出された作品にはすごいレベルのものもたくさんありました。大事なのは、自信、目標、それをちゃんとやってる実感なんですよ。それを忠実にやってる感じですね。

村井 週に1度や2度、テレビにマックなり、iPhoneを繋いで順番に作ったゲームのプレゼンしてるんですよ。テーブルを全部片付けちゃって、ぎゅうぎゅうに人が入ったりするんです。それで、プレゼンした者に拍手したり、ヤジを飛ばしたり。

宮川 一般的なプレゼンってほとんどはパワーポイントでやるくらいじゃないですか。でもウチは、実機でプレイアブルのゲームをプレゼンする人しかいません。

村井 気合い入りすぎですよね(笑)。

宮川 ちなみにうちの会社は全員ニックネームで呼び合っています。先輩でも“さん”づけは禁止。すなわち遠慮は禁止です。そうした足枷を外して各自が100%以上に力を発揮して見せてくれるプレゼンは新人・ベテラン問わず尊敬に値しますよ。やっぱり尊敬されないと、信頼も生まれないので。定期的に、進行してる全プロジェクトを1日完全停止して、全く別に0から好きな企画を立ち上げてチームを作っていいという研修をしていて、アイディアのある人の立候補を募ってリーダーにし、リーダーは自分のチームのメンバーを指名できることにもしてます。リーダーに指名されるかどうかでモチベーションも上がるし。そうそう、うちには35歳でプログラマー未経験という経歴で入ってきたスタッフもいるんです。

村井 35歳プログラマーデビューですよ。

宮川 彼が獲得した枠のために選考から漏れた人がいるのは当然なのですが、多くの若者の応募者もいる中でほんとに35歳プログラマデビューの採用があり得るのか悩みました(笑)。しかし、現実には応募してくれた課題のゲームのポテンシャルは高かった。彼は、このゲームで人生を変えたんですよね。

――すごいですね。多くのゲームが並行して作られているイメージですけど、実際のところ処女作はいつくらいになりそうですか?

村井 ちょっと違いますけど、『ポケットベガス』のアップデートで、コインプッシャーが追加されるのが“Games”としての第1弾じゃないですか。

宮川 そうですね。つぎのバージョンアップですね。あと、新作ではiPhone 4以上を想定した3Dのマルチプレイゲームを作っています。ハードのスペックをあげたことで表現力の向上もめざましいです。

――完全にネイティブのアプリ?

宮川 そうです。でも、いままで以上に皆さんが繋がった感じで遊べるアプリになってます。

▲こちらが最新作のスクリーンショット。むむむ、これはかなり期待できそう……!

――そのタイトルは何人体制くらいで作っているんですか?

宮川 10人体制くらいですかね。あと、やっぱり1~2年遊んでもらえるものを作るためには、ボリューム感を出すためにも世界中のスタジオと協力関係を結んで進めていこうと思っています。しかし、みんな外国人恐怖症なところがあるので、社員全員がマンツーマンの英語教育を受けてもらっています。これだけでもかなりお金のかかる投資ですが、うちの会社はそういう予算のメリハリはすごくしっかりしてますね。家賃19万8千円のスタジオですが、制作環境のMacも問答無用に最高級のものを使ってますし、机も椅子も高級です(笑)。飲み会はないですけど自炊でおいしいものを食べられます。僕は、社員のみんなには夜空いてるなら遊んでほしいと思ってるので、早く帰ってゲームで遊ぶことを推奨してて、Apple製品やゲームの購入資金も援助しています。

――App Storeのゲームの方向性がここ1年でずいぶん変わりましたが、AppBankGamesが進むのはどの方向なんですか?

宮川 フリーミアムは鉄板ですね。ソーシャルゲームは誤解されてる節があるので、僕はあまりその言葉は使わないですが、フレンド機能があったりするのは当たり前だと思うんですね。常識すぎるじゃないですか。そこを強調するつもりもないですが、やりたいのはたまげるほど新しいゲームを作りたい。そこにつきます。

――大手ゲーム会社がリッチなゲームを作ることに対しての恐怖感というものは?

宮川 引け目の心配はまったくないですね。iPhoneていちばんを目指すのは当たり前なんですよ。誰も見たことのないものを作るためにみんなここに来てるし、そのためには会社をもっと大きくしないとできない要素って今の時代は皆無だと思います。逆にスピード、クオリティ、意識、ここじゃなきゃできないことだらけです。僕自身何十年もゲーム業界にいて今の利点を強く実感しますね。

村井 まあ世に出るのものを見てくださいって感じですね。

――村井さんはそこにどう関わってるんですか?

村井 茶々いれてます(笑)。「ねえねえ、そんなことより“まどマギ”知ってます?」みたいな(笑)。

宮川 村井さんは自由ですから(笑)。少し話を戻しますけど、僕は英語に関しても、べつに完全に喋れるようにならなくてもいいと思っています。外人に対して恐怖心がなくなれば。そのためにいろんな先生を呼ぼうとしてるんです。ほかにもスポーツのゲームを作るために、みんなでスポーツしたりとかね。ただ、そういう楽しい環境を用意するだけじゃなく、僕はけっこう厳しいことも言いますよ。

村井 そう、たまにみんな背筋伸ばして仕事してたりするんですよ。ああ、怒られたんだなと(笑)。

宮川 本当に良いゲームを作ることがいちばん大事ですからね!

――AppBankグループとしてのシナジーは?

村井 スティーブ・ジョブズ自身が世界最高の物を作ったとか言ってますよね、日本ではあまりないですが、結局自分の作ったものは世界最高だと言えないと意味がないんですよ。すべての開発者の作品に対して、代わりにこれが世界最高なんだよと代弁することをずっと4年間やってきました。

宮川 今日お話したことは、ユーザー向けではなく開発者向けの話なんですよね。「来たれ開発者!」って感じで。つぎはアニメーターが欲しいなあ。うちに来たらみんなほかの会社にはもう行けないですよ。昼休み2時間あるし。まあ2時過ぎたらシャッキリ仕事ですが(笑)。あと、この会社で気をつけてるのは、ドア開けたら全員に挨拶できる環境。それがなくなったらコミュニケーションもへったくれもないので。それができる10人前後が部屋にいるのが理想かな。挨拶ができる規模が重要なんです。

――たしかに! 挨拶は大切ですよね(笑)。それでは今日はどうもありがとうございました。

■取材を終えて……
まずは、“村井ちゃん”はやっぱり“村井ちゃん”だったなあ、と。人懐っこさと憎めなさ。人をひきつける何かがあるのは確かです。そして宮川さん! AppBankGamesの環境がすばらしすぎてうらやましいです。でもそのなかにもときたま厳しさがチラリと顔を出すのが印象的でした。さて、最後にAppBankGamesについて。とにかくスタッフが楽しそう。あの環境じゃあ、そりゃあそうだという感じではありますけど。じつは取材中にも自然に口を挟んでくるスタッフがいたりして、そういうのもここの社風の賜物なのかなと。彼らが作った作品もいくつか見せてもらいましたけど、それぞれに才能というかアイデアの輝きを感じました。ここからどんなゲームが産まれるのか、そしてそれはあのApp Storeというマーケットで通用するのか。マーケットの歴史も、アプリも知り尽くした男たちが仕掛ける今後に期待したいです。(エンジェル原田)

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