国産ソーシャルゲームは“GREEプラットフォーム”で世界へ――大手メーカーの経営陣が断言【GREE Platform Conference 2012】

2012-03-23 22:10 投稿

●日本のソーシャルゲームを世界で成功させることに対する使命感

2012年3月22日、都内にてGREE Platform Conference 2012が実施された。こちらのカンファレンスは、GREEのプラットフォームでアプリを提供するメーカーを対象にして、技術交流や情報共有などを目的として実施されたもので、今回で3回目となる。

本カンファレンスの“主催者の挨拶”(⇒記事はこちら)で、グリーの田中良和代表取締役社長が強調していた、GREEのスマートフォンへのシフトと、“GREEプラットフォーム”を通じたグローバル展開。午後に行われたパネルディスカッション“経営者の視点から見るグローバルプラットフォーム”では、それらの事柄に関してコーエーテクモゲームス専務取締役ネットワーク事業部長の小林伸太郎氏、バンダイナムコゲームス上席執行役員第2事業本部長兼バンダイナムコオンライン代表取締役社長の浅沼誠氏、コナミデジタルエンタテインメント執行役員の早川英樹氏に田中社長を加えた4人で、積極的に意見を交わした。

モデレーターを務めたエンターブレイン代表取締役社長の浜村弘一が最初に問い掛けたのは“コンソールゲームからソーシャルゲームへ”というテーマ。ご存じの通り、コーエーテクモゲームス、バンダイナムコゲームス、KONAMIはコンシューマーゲーム業界における主要メーカーである。各社とも家庭用ゲームの黎明期から、パッケージ販売で収益を得るというビジネスモデルを続けてきており、基本無料のソーシャルゲームは真逆の文化とも言えるだろう。しかし現状は、各社ともスムーズにソーシャルゲームへの対応を進め、確かな数字を残している。いかにしてそれは行われたのか? コーエーテクモゲームスの場合は『信長の野望Online』から始まったネットワークゲーム事業がすでにあり、ソーシャルゲームも広義のネットワークゲームと捉えることでスムーズな対応が行えたという。またバンダイナムコゲームスも、元々行なっていたモバイル向けコンテンツ事業から、自然な流れで必然的にソーシャルゲーム事業がスタートした。一方KONAMIは、前2社のようにすでにある事業からの展開はなかったそうだ。早川氏いわく、KONAMIのソーシャルゲーム事業はFacebookが日本でも本格化し始めたころに少人数でスタート。そして、『ドラゴンコレクション』の大ヒットによって、社内でも事業として認められることとなった。同作が多くのユーザーに受け入れられたという事実は、早川氏に「エンターテインメントの未来像はこういう形なんだろうな」という確信を与えるとともに、田中氏の「我々としても(GREEの成功に対して)正直半信半疑だった」という気持ちを払拭する。「我々はプラットフォームとして後発だが、KONAMIさんの成功が、我々のプラットフォームに可能性があることを提示してくれたと感じている」(田中)。

▲コーエーテクモゲームス専務取締役ネットワーク事業部長の小林伸太郎氏 。

プラットフォームに可能性があることが、広く証明されたGREE。つぎのステップは、前述したスマートフォンへのシフトだ。モデレーターの浜村からの「コンシューマーでのリソースを活かすチャンスがるのでは?」という質問に対して、コーエーテクモゲームス、バンダイナムコゲームス、KONAMIの3人とも揃って同意。「グラフィックはほぼ家庭用ゲームの水準。違いは画面が大きいか小さいかだけ」(小林)、「高機能化することで、ゲームメーカーにはアドバンテージが生まれる」(浅沼)など、高機能なスマートフォンへのシフトは、各社から大いに歓迎されているようだ。また、モバイルで家庭用ゲームのようなクオリティーの作品が出せるということは、その逆も可能ということ。「『ドラコレ』のコンシューマー版を出す可能性はゼロではない」(早川)という驚きの発言も飛び出した。また、田中氏はスマートフォンへのシフトは、単純にグラフィックなどのクオリティーが上がるだけではないと話す。全世界で共通のシステムが使用され、ネットワークへの接続も容易なスマートフォンが、本格的にゲームプラットフォーム化すれば「これまでネットワーク面で制約を感じていたゲームクリエイターたちが、本当に作りたいゲームが作れる時代」が来ると断言した。

スマートフォンへのシフトは、日本産ゲームの海外展開においても大きな後押しとなる。その理由は、さきほども説明したが、規格が全世界共通であることと、ネットワーク接続が容易という点だ。小林氏はこれに加えて、「コンソール機では開拓できていない地域にもスマートフォンは普及している」という事実が、海外展開の可能性をさらに広げると分析する。浅沼氏もその言葉受け「いままで苦労していた壁が一気に崩れそうです」と期待を語った。

 ▲バンダイナムコゲームス上席執行役員第2事業本部長兼バンダイナムコオンライン代表取締役社長の浅沼誠氏。

しかし、環境が整ったとしても、肝心のコンテンツが海外でも受け入れられるものでなければ意味はない。その点について田中氏は、「モチーフとゲームデザインに分解する」考えかたで対応していくと話す。実例として紹介されたのが、先日全世界で先行配信され、2012年3月17日付けのApp Storeで4位を獲得した『Zombie Jombie』。本作はゾンビという「日本では一般的ではない欧米では有名」な“モチーフ”を取り入れつつ、“ゲームデザイン”は「日本でしか受けていないものだった」カードバトルとなっている。言うなれば『Zombie Jombie』は和洋折衷な作品であり、こういった取り組みを続けていくことで「日本でしかウケないものと、日本以外でもウケるものが見えてくるはず」と田中氏は語った。

そのほか、ソーシャルゲームが運営型のタイトルであることも、海外展開を行ううえで大きな強みになると登壇者たちは揃って口にする。たとえば、基本無料の課金型というソーシャルゲームのビジネスモデルは日本のユーザーには受け入れられているが、それが他の国でも同じとは限らない。こういった文化の違いは、コンテンツを提供するまではなかなかわかりづらいことだ。そして、基本的に発売したら終わりのパッケージゲームでは文化の違いがそのまま失敗につながってしまう可能性が高い。しかし、運営型であれば、たとえ相違があったとしても挽回することができるのだ。「運営型のゲームはユーザー様の反応を観てアクションができる。わかったようでわかりきれていない海外ユーザーの趣味趣向を得た後に変更できることは、成功できるいちばんの要因」(浅沼)。

▲コナミデジタルエンタテインメント執行役員の早川英樹氏。

田中氏はディスカッションの最後で、日本のソーシャルゲームを世界で成功させることへの使命感にも言及した。googleやFacebook、Amazonを始め、全世界で利用されているWebサービスのほとんどはアメリカ産だ。「それらをユーザーとして利用する分には便利で楽しいが、日本の産業を作るという意味では」問題視しなければいけない、と田中氏。同氏が目指すのは「日本からも世界で通用するWebサービスが出せることを証明する」ことだという。ゲームは日本でビジネスとして成長し、世界へ羽ばたいていったコンテンツだ。田中氏がゲームにこだわる理由はそこなのである。「我々の産業が20年、30年後にあるかどうかの保証はありません。だからここで立ち止まらずに、このチャンス(GREE)にかけたいと思っている」(田中)。

▲グリー代表取締役社長の田中良和氏。

2012年4月~6月にグローバル展開を果たす“GREEプラットフォーム”はそんな田中氏の希望を叶える第一歩とも言えるだろう。登壇者からはそんな同サービスに対して「ぜひグリーさんといっしょのロケットに乗っていきたい」(小林)、「期待感を持って、いっしょにやっていこうと思います」(浅沼)、「資源の少ない日本では、デジタルエンタテインメントで世界に羽ばたくことが使命だと思う。その先陣を切るGREEプラットフォームに参加させてもらい、日本の産業を広げていきたいです」(早川)といった言葉が贈られた。

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