国内外ソーシャルゲーム市場をgumi国光社長らキーマンが語り尽くす!【GREE Platform Conference 2012】

2012-03-23 20:33 投稿

●2013年に世界一の決着がつく(国光氏)

2012年3月22日、都内で開催されたGREE Platform Conference 2012。このカンファレンスで、GREEプラットフォームでアプリを提供するメーカーを対象に、技術交流や情報共有などを目的とした複数のセッションが行われた。本記事では、その中から“グローバルソーシャルゲーム”と銘打たれたパネルディスカッションの模様をお届けする。


本パネルディスカッションの登壇者だが、「いつもみたいに緩く、インタラクティブな感じで話していければ(笑)」と挨拶した國光宏尚氏(gumi 代表取締役社長)をモデレーターに迎え、手島武雄氏(Nubee Tokyo 代表取締役社長)、長谷川敬起氏(ドリコム 執行役員)、柳澤大輔氏(カヤック 代表取締役CEO)がパネリストとして参加。さらに当初予定にはなかったが、「急きょ、アメリカから参加していただくことになりました」(国光氏)と、青柳直樹氏(グリー 取締役 執行役員CFO 国際事業本部長)も出席し、豪華なメンバーが顔を揃えた。

グローバルソーシャルという大きなテーマとなった今回のパネルディスカッション。グローバルな話をする前に、まずは日本市場について。世界市場に目を向けることは、いまとなってはソーシャルゲーム業界全体の共通認識という感じだが、国光氏は言う。「打倒、Zynga! 我々は1~2年前からそう掲げてきましたけど、それを聞いた人たちの反応は、2年前だと悲しそうな顔をされ、1年前だと薄ら笑いをされてきた。そして! これからはいよいよ世界と戦うときが来ました」(国光)。ソーシャルゲーム業界において海外は、いままでは遠かったイメージがある。しかし、「いま見てみると意外と近い」というのが、国光氏の考えのようだ。さらに、ソーシャルゲームだけではなく、すべての産業に言えることとして、導入期、成長期、成熟期という成長カーブがあることを説明。その中で、成長期こそが、世界のトップ5に食い込んでいけるかどうかのポイントという。ならば、そもそもソーシャルゲーム業界の成長期というのはいつから始まるのか? 国光氏は「画期的なサービス、ゲームを変える何か(ゲームチェンジャー的な作品)が生まれたときに来る」という。加えて、国内で言うと、『ドラゴンコレクション』がリリースされたことで、同作品のゲームモデルが市場を制すると、各社からそういったゲームがどんどん出て、市場が拡大していったことを例に挙げた。そして、成長期~成熟期へと続く、今後の国内ソーシャルゲーム業界について、こう述べた。

「海外を見ると、それまでいろいろなゲームがあった中で、Zyngaの『FarmVille』が出た瞬間にすべてが変わった。みんなが『FarmVille』的なゲームを出し、このタイプのゲームがスタンダードになった。Zyngaが『FarmVille』を出して市場が成熟するまで2年半だった。ですから、日本のソーシャルゲーム業界の成長期のスパンもだいたい2年半だろうと。いま、モバイルの世界のソーシャルゲームはどういう状況かというと群雄割拠。いろいろなゲームがあって、さぁどこが勝つ? でもまだ見えてこないというのが現状。これまでのすべてのゲームを上回るようなゲームが1本出た瞬間に、市場は一気に立ち上がる。かなり重要なのは導入期から成長期に入るときに、ゲームチェンジャー的なゲームがどういうもので、どこが出してくるのか? ここが大きなポイントになります。個人的には、たぶんいまグリーさんを始めとする各社が今年の3、4月くらいにがんばって作ったゲームが出てくる。そのゲームのいろいろな成功要素などをチューニングをしたゲームが出てくる秋口に成長期が始まると思っている。ですから、世界を獲るための僕らの本格的な戦いは今年の秋口に始まり、2015年3月に決着がつくと思います」(国光)

●海外市場に視野を広げるキーマンによるパネルディスカッションがスタート!

そしていよいよパネルディスカッションへ! 海外で勝負するうえで、やはり意識するべきは日本と海外の市場の違いだ。まず、米国で『ゾンビジョンビ』をリリースした青柳氏が、「リリースしてみるまでは、たぶん海外でも通じるだろうと思っていましたが、先週あたりこれはキタなと。このやりかたを続けていけば勝てるとわかりました」とコメント。これを受け国光氏が日本と米国の収益性の違いについて尋ねると、「いま出ている『ゾンビジョンビ』の数字から、今後やるべき施策を考えたときに、日本の半分くらいの収益は行けるのではないかと感じている」という。これについて「おっしゃるとおり」と長谷川氏も「海外でも、実際にイベントをやってみると日本同様に収益が上がるということがあるようなので、(海外は)明るいマーケットだと思います」と続けた。また、米国ではなく中国などアジアを中心に展開している手島氏は、「我々の作品は中国のユーザーが多いのですが、収入的なものが日本とは違うことを考えると、5年後にどうなっているのかなという感じです。いま現在は予測できないけど、(中国は)3~5年後に期待できる市場」だと語った。

つぎに国光氏が投げかけたのは、「皆さん、海外向けにゲームを提供するとき、まずカナダやニュージーランドなどで出してから、その結果をもとにチューニングしていますが、これはやるべき?」というテーマ。青柳氏は、「海外でうまくやっている会社だって、リリースしてみて初めてわかることが多いのです。だから、例えば米国で展開するのであれば、最初は違うマーケット、それこそカナダやニュージーランドなどで出してみて、それを踏まえたチューニングをしてから米国で勝負するのがいいと思います」と説明する。海外ではリリース後の初速が重要で、『ゾンビジョンビ』もカナダとニュージーランドでチューニングして手応えを感じたのだそうだ。また、ゲームバランスの調整はもちろん、ユーザーがしっかり集まり継続利用しているかを把握したり、日本のようにソーシャルゲーム慣れしていない海外ユーザーのために、チュートリアルもより丁寧にすることも必要とした。これはローカライズにつながる話であるが、海外向けローカライズについて「国によって違いますので、それぞれに言語対応するのは当然として、言い回しの部分など細かいところまでやるのは重要。テイストの部分も変えたほうがいいです」と手島氏は語った。

その話を聞きた柳澤氏からの「ゲームバランスも国ごとに変えていく必要があるんですか?」という質問に対し、「まだわからない状態です」と青柳氏。いまのところ、例えばバトルシステムを入れると、それに対して反応する国もあれば、しない国もあるという。国ごとのゲームバランスの調整は、今後調べていくべきテーマのひとつかもしれない。

このほか、さまざまな話が飛び交ったパネルディスカッション。最後に青柳氏が、「米国を含め、海外のソーシャルゲームは、日本の状況に似てきた。群雄割拠で勝ち組がいないという状況。そこから1歩抜けだすのは、つぎにこうやればいいということがわかっている人たちであり、その人たちがマーケットをリードしていくと思う。この2012年は勝負の年。『ゾンビジョンビ』がまがりなりにも海外市場で通じるとわかったことは、日本のソーシャルゲーム業界にとって大きいです。ノウハウさえあれば、結果が出せることがわかりました。今後、我々が日本のソーシャルのノウハウを海外市場に取り入れて、ユーザーの価値を上げ、さらにソーシャルネットワークと融合したものを提供していければ、将来的にいま海外でトップを走っている人が、後ろに見えるかもしれません」とまとめた。

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