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2011年iPhoneアプリの台風の目『おさわり探偵 なめこ栽培キット』とはいったいなんだったのか? 開発チームに独占取材!(前編)

2011-12-26 20:52 投稿

2011年のiPhoneアプリを語る上で外せないのが『おさわり探偵 なめこ栽培キット』。iPhoneユーザーのあなたなら、App Storeで目にしたり、友だち、親、親戚などなどさまざまなところから「なめこやってる?」と聞かれたことがあるのではないだろうか? かくいう記者はその存在自体は知っていたものの、しばらく放置。まわりが騒ぎ出したころに慌てて始めてハマるというApp編集部にいながらにしてなんともヒドイ有様であった。そこでその反省の意を込めて、今回配信元のビーワークスに取材を敢行。「なめこってなんだったの? これからどうなるの?」といった話を聞きだしてきた。話が弾みすぎて思わぬロングインタビューとなってしまったが、今年はこれを読まなきゃ終われません! ぜひ最後までどうぞ。

[後編はこちら]
2011年iPhoneアプリの台風の目『おさわり探偵 なめこ栽培キット』とはいったいなんだったのか? 開発チームに独占取材!(後編)

ビーワークス
グラフィッカー:河合真吾氏(写真右)
ディレクター:大廣将之氏(写真中央)
宣伝担当:伴雄斗氏(写真左)

●“なめこ”は最強のワードだった

――そもそも配信のきっかけは何だったんでしょうか?

河合 まずは自社で話題を作れるような土台を持つ必要があるなと感じていたんです。それまでも有料アプリを出したり、広告を出したりとかはしてきました。ただ、『おさわり探偵 小沢里奈』をiPhoneで発売するにあたって「本気で作っている」ということを皆さんに知ってもらいたかった。配信されるということを知ってもらいたかったんです。それで無料の宣伝用アプリを3本作りまして、1本が占い、1本が味噌汁の具を決めてくれるものという結構おふざけ系のものだったんです。それで締めの1本はちゃんと遊べるものにしようということになったんです。

大廣 そのぶん最初の2本は本当に軽く作ろうということにしたんですよね。それこそ1時間くらいで企画ができちゃうような。

河合 そこで削減した労力を使って生まれたのが『おさわり探偵 なめこ栽培キット』(以下『なめこ』)なんです。

【おさわり探偵占い】
価格:無料

【おさわり探偵味噌汁】
価格:無料

【おさわり探偵 小沢里奈】
価格:無料(アプリ内シナリオ課金)

――実際の制作期間はどれくらいだったんですか?

河合 占いと味噌汁が両方合わせて1週間くらいだったんですが、『なめこ』に関しては2~3週間くらいですね。

大廣 『なめこ』に関しては、担当のプログラマーがもともと別の作品でベースとなるプログラムがありまして、それを使ったこととこれまでの経験とで、想定よりも早くできましたね。

――早い(笑)。時間をかけたと言ってもスピード感はあると思います。

大廣 宣伝目的とは言え、そもそもお金をあまりかけられないというところがあったので、数で勝負したかったんです。既存ユーザーの周知というところで『占い』と『味噌汁』。新規ユーザーの取り込みも狙ったのが『なめこ』というわけです。

――最初から販促アプリが必要だという考えが社内であったんですか?

河合 何人かがそういう認識をしていて、それを推し進めていった感じですね。これまでも有料アプリを何本か出してきて、そのうえで『小沢里奈』を出すにあたって、やっぱりただ出すだけではだめだなというのは感じていました。つねになんらかの形でランキング上で人の目に触れている必要があると感じまして、それならまずは無料のアプリできっかけを作って、そこから誘導したいと考えました。

――実際に配信されてどうでした? 初速の具合などを教えてください。

大廣 いままで出してきたアプリのなかではいちばんよかったです。

河合 登り方が似たようなアプリはほかにもあったんですけど、ずっと継続してダウンロードされ続けているアプリはこれだけでしたね。これは想像なんですけど、“なめこ”って名前が変わってるじゃないですか。その言葉が思った以上にキャッチーだったのかもしれません。口コミ効果もすごかったですから。

 あとは“なめこ”というのがApp Storeで唯一無二のキーワードだったんですよ。“占い”とか“手相”とかで検索するとたくさんのアプリが出てくるじゃないですか。そうすると、友だちからおすすめのアプリを聞いてもそれがどれなのかわからなくなってしまいますよね。“なめこ”は『なめこ』しかないんで、それも口コミで広がりやすかった要因だと思います。

――このタイミングで売れた、みたいなきっかけは感じませんでしたか?

河合 最初はやっぱり『小沢里奈』のファンの人たちが引っ張ってくれたと感じています。配信後にTwitterなどで既存ユーザーに告知をしたんですが、まずは彼らの影響でランキングの上位に入って、そこからはいまお話したような上がり方でしたね。

 ちなみに新しく配信した『おさわり探偵 なめこ栽培キットSeasons:雪』(以下『Seasons』)の場合はいきなり1位に入りましたけど、最初の『なめこ』の場合は50位圏内くらいでした。数にして6000ダウンロードくらいです。2日目に25位圏内、3三日目に1位といった感じでした。そこから結構な期間、ランキングに残り続けていました。

――感覚的には開発者や業界人でプレイしている人が多かった気がするんですが、そんな感じはしませんでした?

河合 どうだろう……。たぶんそういう人たちって、上にいる意味がわからないアプリってとりあえず落としてみるんだと思います。僕も『Angry Birds』がなぜ売れているのかわからなくて落としたことがありますので。だからランキングが上がって会話に出始めたころに、そういった開発系の方がプレイされたのではないかなと思います。

●苦労だらけのアップデート

――『なめこ』のアップデートがひと段落しましたが、これは予定通りでした?

河合 いや、全然予定通りじゃなかったです(笑)。そもそも宣伝用アプリとして考えていましたので、運用をしていくつもりはなかったんです。それが配信してみたらすごい反響だったので、じゃあもう少し楽しんでもらおうということで少し強引にアップデートの予定を立てました。まずマストだったのは、気軽に落としてもらえるようにアプリの容量20メガ以内をキープすることでした。

――アップデートはかなり刻んできましたよね。

河合 最初に30匹で、そのあと24匹追加して最終的に54匹になりましたけど、そこをゴールとして逆算して作っていきました。

大廣 もともと非常に短期間で作ったということもあって、アプリ自体は「もうこれにしかならない」という状態でできあがっていたんですよ。そこからアップデートをかけるのがすごく大変でしたね。

河合 アップデートに要した時間のほうが、開発期間より断然長かったですね(笑)。外から見ているとただキャラクターを追加しているだけに見えるかもしれませんが、図鑑の最初の30匹が埋まったら新しいなめこが出現するようにしたりとか、仕様の修正もあったので大変だったんです。

――ふつうアップデートは後半のほうが楽になっていくものですけどね(笑)

河合 計画的にやらないといかに苦労するかということです(笑)。

――アップデートを重ねるたびにダウンロード数は増えていきましたか?

 じつはアップデート自体はダウンロード数にそれほど直結していませんでしたね。ただ、ユーザーのアクティビティは確実に上がるので、そのタイミングで『おさわり探偵 小沢里奈』のほうが売れるという効果がありました。

――なるほど。ではプロモーションアプリとしての役割も十分に果たしていたということですね。

河合 そうですね。『なめこ』に広告を出すとほかのアプリも見てもらえるので、すごくいい効果が得られています。『モグモン』というアプリも育成系で定番と言っていいくらい落としてもらえるようになりました。

――実際の数字ではどれくらいの違いが出ました?

 『モグモン』で言うとデイリーで500ダウンロードくらいだったものが1500とかそれくらいまで上がりました。このアプリに関しては育成系ということで『なめこ』と親和性が高かったのもありましたね。

――無料でどうやって運営しているんだろうというのは疑問のひとつでした。遊ぶスタイルがソーシャルゲームに近いので、アプリ内課金の道へシフトしていくのかとも思いましたけど、そうしなかった。そういった考えはなかったんですか?

河合 課金になったらもう楽しんでいただけないだろうなと思っていました。考えなくもなかったんですけど、気軽に遊んでもらいたいというのを最優先しました。ゲームシステムはわかりやすいんですけど、“なめこを栽培するだけ”ってじつは説明するとつまらなそうに聞こえてしまうんですよ。そのなかで“無料(一部有料)”としてしまうと敬遠されてしまう恐れもありました。

 プロモーションアプリとしての立ち位置をやっぱり最後まで崩したくなかったというのもあります。

――本当にずっと無料のままでいくので、むしろ僕らが心配になりましたよ(笑)。

 今後はグッズ展開などで収益化もちゃんと考えています。

大廣 アプリの広告スペースにもグッズの告知などは入れていこうと思っています。

●幻のなめこ? そして謎のマカオ人気

――新しい『Seasons』も配信されましたが、なめこのデザインってこれまでにどれくらいされたんですか? ボツネタも結構あったりします?

河合 じつはいま出ているものがほとんどだったりします。ボツになったものは片手で数えられるくらいなんです。基本的には『小沢里奈』のころから一貫して僕がデザインしているので、そのままほとんど使ってしまうんですが、たまに大廣たちのチェックが入って止められてしまいます(笑)。

大廣 企画ベースでボツになったものとしては“神様”っぽいのをベースにしたものとかですかね。制作サイドに意図はなくても宗教色はいれないほうがいいだろうということで。

 なめこの作りかたは名前が先行なんです。まず名前を決めて、そのあとに河合がデザインを試行錯誤して完成するわけです。そのあとにテキスト担当の人間に回して文章をつけてもらいます。

大廣 なめこの図鑑の文章は担当の女性が書いてるんですが、べつに文章を書く仕事をしているわけではなくてグラフィッカーなんです。すごく変わった文章を書いてくれるので助かっています。

河合 うちのチームは専門以外の仕事をすることが多いというか、できてしまうといろいろやることになります(笑)。

大廣 河合もこの仕事以外ではあまりグラフィッカーとしての仕事はしていないんですよ。

 開発チーム自体は8名しかいないので、タイトルの掛け持ちも当たり前ですし、グラフィッカーなのにサウンド作ってる人もいますからね。少人数ならではの動き方ですね。

――『なめこ』って結局どれくらいダウンロードされたんですか?

大廣 『なめこ』は190万ダウンロードです。200万が見えてきましたね。デイリーでも5000~7000がいまでも動いています。『Seasons』にいたっては配信から3日間で50万ダウンロードです。

――すごい! 完全にきてますね……。

 日本だけではなくて、香港、台湾、マカオのApp Storeでも無料の1位になりました。

河合 なぜかマカオで人気があるんだよね(笑)。

 『なめこ』も配信から1週間くらいたったころにマカオで伸びたんですよ。「なんかマカオ動いてるな(笑)」って笑ってたら3日後くらいに1位を取りました。そこから1週間ずつズレて香港と台湾、またさらにズレてシンガポールとタイでも上位にきまして、意外とアジアで人気があるんですよ。

 東京ゲームショウで挨拶した香港のデベロッパーの人は、Facebookでグラフィックを見てダウンロードしたと言っていました。東南アジア圏には有力な紹介サイトなどがないので、そういう限られた情報源から一気に爆発することもあるようですね。

――海外版ってタイトル名は『NAMEKO』ですか?

河合 アジア圏も英語表示なので、海外版の“なめこ”の名前は『小沢里奈』のころから“Funghi(イタリア語でキノコ類の意味)”って名前にしてまして、『なめこ』も『フンギ ガーデニングキット』で配信していました。ただ、フンギで通用するのはイタリアくらいだよという話になって、4回目のアップデートのときに『マッシュルームガーデン』に変更しました。そのあと『Seasons』も同じタイトルで配信しましたけど、スムーズに移行してくれたようでよかったです。

――僕は家族から「『なめこ』ってなに?」みたいなことを言われたんですよ。全然ふつうの人にまでそういう情報がまわってくるのがすごいですよね。

大廣 子供が『なめこ』で漢字を覚えたとかって話も聞きますよ。

 夏休み中とかに兄弟が競ってなめこを収穫するので、朝ちゃんと起きるようになりましたって話もありましたね。

大廣 学校とかって教室単位だから広まるのが早いんですよね。「誰々のお父さんのiPhoneには『なめこ』が入っているのに、私のお父さんのiPhoneには入ってない」とかってことになって、渋々入れたお父さんが今度は会社で広めるとか。

――やっぱりお金のにおいがしなかったのが大きかったんでしょうね。

河合 お金を支払うことに敏感な人もいますからね。

 親御さんで課金ゲームを遊ばせないという方針の人もいると思うんです。そういう家庭にも届いたのがよかったんでしょうね。ただ、逆に「頼むから課金させてくれ」というユーザーの人もいましたよ。

大廣 うちとしては長く遊んでもらって忘れないでもらうのがいちばんですね。フードの時間設定も15分、30分、1時間と刻んでますけど、それぞれの生活スタイルに合わせて遊んでもらえたらいいなと思ってます。たとえば15分に一回タバコを吸う人もいると思うんです。そんなときにそっとなめこも収穫してもらえたらなと。

 うちの社長が気にしていたのは、なめこが生えてくるまでの時間ですね。最初の設定では生えてくるまでに2~3分必要としていたんですけど、うちの社長はアプリを立ち上げっぱなしにしているんですよ。それで「まだ生えてこない。いつだ?」と言うわけです(笑)。

河合 そもそも僕らが想定していない遊び方なんですよ。ずーっと見ているって。そんな人いるのかなと思ったんですけど、ずっと見ていて生えてきたのを収穫するというやり方もあるんだなと思いまして、それで調整をいれました。

大廣 でも結果的によかったですね、これは。

ここで前半戦は終了。すでにこれだけで十分お腹いっぱいって感じですが、まだまだ続きます。明日は新作『Seasons』についてと今後の展開についての話が中心となるのでお楽しみに!

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【iPhoneおすすめアプリ】「あーなめこ生やしてー」と思ったその日に『おさわり探偵なめこ栽培キット』

みんな! なめこマスコットほしくないかい? ちなみに激レア!

【おさわり探偵なめこ栽培キット】
メーカー:ビーワークス
配信日:配信中
価格:無料
対応機種:iPhone/iPod touch、iPad互換 iOS 3.0以降が必要

【おさわり探偵 なめこ栽培キット】
メーカー:ビーワークス
配信日:配信中
利用料金:無料
対応機種:Android2.2 以降

(C)2011 Beeworks / SUCCESS

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