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谷崎潤一郎 声:岡本信彦
武器 派閥 新思潮
代表作 刺青 痴人の愛 細雪
回想 濹東綺譚 痴人の愛 痴人の愛

一見して礼儀正しい色男だが、その正体は理想のマゾヒズムを追求し続けているド変態。女性の美脚に踏まれたいという願望を持つ。内なる欲求は秘めずあるがままに生きるのがモットー。一方で文学に対しては非常に一途であり、文学が侵蝕者に汚染された現状に憤っている。再び転生する時は女性が履く靴がいいとのこと。

モデルになった谷崎潤一郎はこんな人!

筆名:谷崎潤一郎
本名:筆名と同じ
出身地:東京市日本橋区蛎殻町2丁目14番地
生年月日:1886年7月24日
没年:1965年7月30日(満79歳没)

生涯

裕福な家庭に生まれるものの、祖父の死後に家が傾き、苦難の幼少期を過ごす。

成績は非常に優秀で、住み込みの家庭教師をしながら府立第一中学校へ進学。飛び級で1学年上に進学し、その学年でも1位になるほどの実力だった。

高等学校卒業後に東京帝国大学文科大学国文科に入学するが、学費未納により中退。
在学中に和辻哲郎らと知り合い、『新思潮』を創刊して処女作『誕生』や『刺青』を発表する。

新進作家として早くから認められ、文壇の寵児として人気を博する。

その後もさまざまな作風に取り組み、1965年に満79歳で没するまで多数の作品を執筆した。

作品の特徴

「親方、私はもう今迄のような臆病な心を、さらりと捨てゝしまいました。

―――お前さんは真先に私の肥料になったんだねえ」(『刺青』より)

当初は自然主義全盛の時代にあって、反自然主義を貫く耽美主義の作家としてデビュー。

『刺青』や『痴人の愛』などにみられるように、マゾヒズムや女体美の研究などの通俗的な内容が多かった。

その一方で漢語や雅言葉、方言までさまざまな文体を使いこなす非常に豊富な語彙力を持っており、純文学作家としても優れた作品を残している。

歴史小説からサスペンス、ミステリー、恋愛物、エログロナンセンスまで、時代に応じてさまざまな作品を執筆した。

人間関係

【芥川龍之介】

ライバル。

文学論争をくり広げたことで有名。その過程は芥川の『文芸的な、余りに文芸的な』にも描かれている。

【三島由紀夫】

フォロワー。

谷崎をノーベル文学賞の候補に推薦している。

【佐藤春夫】

友人であったが、谷崎の最初の妻であった千代子を巡って三角関係となった。

後に千代子は谷崎と離婚し、佐藤と再婚している。

このとき3人連名の声明文を発表し、細君譲渡事件として世間の話題になった。

【泉鏡花】

友人。

いっしょに鍋を食べたときに、谷崎は半煮えが好きで次々と具を食べたが、潔癖症の泉は完全に火が通るまで口にできなかった。

泉は鍋の中に境界線を作って、自分の取り分を確保したという。

【永井荷風】

恩人。

自身の文学的才能を見出してくれた人物。

趣味・嗜好

【別荘好き】

戦争からの疎開を含めて、生涯で幾度となく転居を繰り返している。

別荘を購入するのが好きで、“前の潺湲亭”“後の潺湲亭”“前の雪後庵”“後の雪後庵”など多数の物件を購入した。

【恋愛観】

生涯で4回の結婚をくり返した恋多き男性。

そのうち最初の結婚は三角関係になった友人の佐藤春夫に妻を譲渡している。

その一方で3度目の妻との間の血のつながらない孫・渡辺たをりを実の孫のようにかわいがっており、後に渡辺は『祖父 谷崎潤一郎』を執筆した。

代表作

『刺青』
小説家としての処女作。

女体のパーツに愛を抱く刺青師が、ひとりの娘を魔性の女に生まれ変わらせる。

『痴人の愛』
中期の中編。

15歳の少女・ナオミを手元で育てていずれ自分の妻にしようと考えていた男が、やがて魔性の女へと変貌していくナオミに振り回され、破滅していく姿を描くマゾヒスティックな物語。

『細雪』
大阪の旧家に暮らす4姉妹を描く長編小説。3女の見合いを軸に物語が展開される、モダニズム精神あふれる作品。

会話がすべて船場言葉で書かれており、当時の京阪神の文化を伝えている。

もっと詳しく知りたいなら?

芦屋市谷崎潤一郎記念館
谷崎の好んだ数奇屋風の邸宅を模した記念館。

倚松庵
谷崎の旧居のひとつ。ここで『細雪』を執筆した。

富田砕花旧居
旧居のひとつ。『猫と庄造と二人のをんな』の舞台。ここで『源氏物語の現代語訳』、『半そで物語』を執筆した。

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