『シャドウバース』にも活かされているサイゲームスの次世代技術研究【CEDEC 2016】

2016-08-27 10:20 投稿

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シャドウバース

最高のコンテンツを作るための最高の技術

CEDEC 2016にて実施されたセッション“Cygamesにおける次世代技術研究”のリポートをお届けする。

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▼CEDEC 2016初日の講演も!
『シャドウバース』開発者が語るTCGにおけるAI構築の秘訣とは?

セッション冒頭は、サイゲームス取締役 CTO 芦原栄登士氏による挨拶から。

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▲サイゲームス取締役 CTO 芦原栄登士氏

勢いがなくなってきたと言われる昨今の日本のゲーム開発力。再び世界に向けて力を誇示するには、何よりも基礎技術研究が重要と捉え、サイゲームスは技術研究所“Cygames Reseach”を2016年4月に設立したという。

芦原氏は「最高のコンテンツを作るには、最高の技術を生み出さねばならない。それをサイゲームスが実現し主導していく」という強い決意を示した。

そのために“Cygames Reseach”に招かれ、技術顧問として活躍しているのが倉林修一氏だ。

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▲Cygames Research 技術顧問 倉林修一氏(慶應義塾大学 特任准教授)

ここで、慶應義塾大学 特任准教授でもある倉林氏にバトンタッチし、本セッションの具体的な内容に踏み込んでいった。

サイゲームス研究所の活動内容とは

サイゲームスの研究所“Cygames Research”の研究分野は、ハイエンドなゲームエンジンや、VR、AR、MRといった第3のディスプレイの開発及び、次世代データベースの構築といったもの。

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倉林氏は大学教授でありながら、なぜサイゲームスに身を置くことにしたのか?

同社には、コンシューマゲームを作っていた経験を持つクリエイターが多数在籍し、従来のコンシューマゲーム開発の知見が蓄積されているうえ、数々のタイトルの成功に裏付けされるウェブサービス開発の方法論も確かなものがある。つねにこのどちらも活用しながら、ゲームの完成度を高める文化が根付いているサイゲームスは、技術開発において突出した環境であるから、というのが決断の大きな理由のよう。

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これら両方のカルチャー・技術をミックスしながら、開発をしている会社はじつは少ない。研究の必勝法は「他人がやる前に始めて、誰よりも高いクオリティで完成させること」だと氏は語る。サイゲームスでの技術研究を通じて、いまだ世界に存在しない理論を世界でいちばん最初に完成させることを目的に、日々邁進しているそうだ。

続いて明示されたのは、“Cygames Research”の行動原則について。

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ひとつ目の“現実にインパクトを与える新しい理論”とは、実際にゲーム化した際にユーザーが楽しいと感じる経験に結び付けること。ふたつ目の“実用と基礎研究の高速なイテレーション”とは、「知恵や理論の正しさは、実際に機能するから正しい」という考えに基づく理念である。

そして3つ目の“優秀な人材は、優秀な人材のいる場所に集まる”。これは日本国内はもちろん、こと海外での講演や勉強会における対外発表を行い、優秀な技術者を積極的に集めていく目的を示唆するものだ。

そもそも研究には、“基礎的理解の探求”と“実用的用途の考慮”というふたつの軸があり、大きく“ボーア型”、“エジソン型”、“パスツール型”の3つに分類される。

なかでも企業の技術発展に相応しいのは、現実の問題を解くために新しい理論を構築する“パスツール型”。それこそが普遍的で、企業価値を高めるものだという。

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その実現のため、最高の技術を手に入れるべく、サイゲームスは対外発表の機会を増やしている。これは「情報とチャンスは、情報を積極的に発表する組織に集まる」という考えがベースにある。

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また、国際的な活動を通して、世界的に自身の技術力がどのレベルにあるのか実感し、そのうえで技術発展に取り組むことは意義あるものだそうだ。2016年だけ振り返っても、これらの取り組みは確実な成果とともに実を結んでいる。

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「日本のゲームはやはりすごい」と世界に示すべく、サイゲームスは歩みを止めない。

『シャドウバース』で使われている技術

もはや同社の看板タイトルのひとつと言っても過言ではないTCG『シャドウバース』。本作はリリースされるや否や、多くのユーザーに受け入れられた。日々熱い対戦が行われ、大きなムーブメントとなっているのは周知の事実だろう。

TCGにおいてデッキを組むという行為は、非常に重要な要素。実際『シャドウバース』のユーザー間でも、デッキ構築については頻繁に情報交換されている実情がある。注目すべきは、情報交換の方法である“デッキコード発行”の効率性だ。

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『シャドウバース』のデッキ作成支援ツールサイト“Shadowverse Portal”には、さまざまなデッキ構築が試せる仕組みが実装されている。

“Shadowverse Portal”はこちら

ここで構築したデッキ情報をユーザー間で交換するには、前述した通り“デッキコード発行”を行い、そのコードを伝えればいい。驚くべきは、それがたった4ケタのコードであること。

これにより気軽にコード交換ができるわけだが、どのように実現しているのか。「“ユーザーがこのページを見ている”という行動をコード化して処理している」と倉林氏は語る。すべてのデッキの構成をIDで管理、そして、そのIDをURL化することでWebやSNS上での共有が容易くできる仕組みとなっているのだ。

この仕組みは、サイゲームスの技術力の高さを物語る。事実、他のTGSにおいて、このようなシステムの構築にたどり着いているタイトルは見当たらない。

こういった技術の応用・発展を目指して、“Cygames Research”の研究は続けられている。最後に倉林氏は技術が発展した先の実用化の例を挙げ、ユーザーサービスのさらなる可能性を示し、本講演を終えた。

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▼CEDEC 2016初日の講演も!
『シャドウバース』開発者が語るTCGにおけるAI構築の秘訣とは?

シャドウバース

対応機種iOS/Android
価格無料(アプリ内課金あり)
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ジャンルカードゲーム
メーカーCygames
公式サイトhttps://shadowverse.jp/
公式Twitterhttps://twitter.com/shadowverse_jp
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