『ベイングローリー』のCOOが見る“日本”のプレイヤーとは【gamescom 2016】
2016-08-22 18:54 投稿
日本人の熱量は思っても見なかったサプライズ
『ベイングローリー(Vainglory)』はSuper Evil Megacorp(SEMC社)から配信中のMOBAタイトル。日本で配信してから1年以上が経っているが、今年に入ってから、CyberZが新設したe-Sportsイベント“RAGE”の種目として参加するなど、活発な動きを見せた。
“RAGE”の第1回大会の賞金総額は200万円で、優勝チームには賞金100万円のほか、副賞としてSEMC社のアメリカ本社ツアー、さらにVainglory国際プレミアムリーグの出場権が用意された。これほどの規模で行われるe-Sportsイベントは、日本国内ではまだ珍しいため、大きな注目を浴びた。
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こうした動きの背景には、どんな開発者がいるのだろうか。また、“日本”というものをどう見ているのだろうか。今回、ドイツ・ケルンで開催されている“gamescom 2016″にて、SEMC社のCOO(最高執行責任者)であるKristian Segerstrale氏に話をお伺いすることができたので、その内容をお届けする。
★『ベイングローリー』とは
『ベイングローリー』は奥深い戦略性とアクション性を誇る、3人ひと組でオンライン対戦を行うMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)タイトル。個性的な能力を持った“ヒーロー”を操作し、敵の本拠地にある“ベインクリスタル”を破壊したチームの勝ちとなる。
進化し続ける『ベイングローリー』
――『ベイングローリー』が配信されてから、日本では1年少しが経ちます。配信開始から少し経ってからこそ見えてきた部分があると思いますが、いかがですか?
Kristian ここ数年で、モバイルの市場がかなり成熟してきたと思います。スマホを持つ人の年齢層が広がったことにより、スマホを持つ人が増え、また、人々がスマホに接する時間も長くなりました。いままでは1プレイ3分で終わるようなカジュアルなゲームが多かったと思いますが、これからは、さらなる没入感のあるものが求められるのではないかと思います。
それに伴い『ベイングローリー』で見えてきた問題もありますが、少しずつ課題解決に向けていっています。
――課題はあるにせよ、大きな成功をおさめたと言えるかと思います。“RAGE”で日本のプレイヤーの盛り上がりを見てどうですか?
Kristian “RAGE”に参加しようと決めた当初は、正直、日本のプレイヤーにこれほどの熱量があるとは思いませんでした。でも日本人のコミュニティはとても活発で、みなさん、コツコツとプレイをしてくれています。彼らのやりこみ具合に驚かされました。“RAGE”の盛り上がりは、私たちにとってうれしい予想外のサプライズでした。
Kristian もともとこのゲームはコアゲーマー向けに作られたものなので、チュートリアルのようなものも無く、ライトユーザーからしたら不親切な設計になっていたかと思います。日本人はライトユーザーも多かったので、彼らからの意見で、見えてきた課題もたくさんありました。
もちろんすべてが日本人だけのため、というわけではないのですが、たとえば、チュートリアルとして動画を入れ、難度をいくつか選べるようにしたり、練習ができるモードも作りました。UIの遷移など、細かい操作性の部分も、改善をしました。
おかげでいまは、配信当初よりも、初めて遊ぶ人であっても、プレイしやすくなっていると思います。
――いまから始めても、配信当初から始めたユーザーに追いつけますか?
Kristian もちろんです。本作は、“pay to Win”……いわゆる、お金をかければかけただけ勝つことができるようなゲームにしたくなかったので、自分のゲームの腕だけで競うゲームになっています。多くのスポーツがそうであるように、ゲームも公平でなくてはならないと考えているからです。
練習をして、プレイスキルを磨けば、いまからでも“RAGE”のような大会で勝てるチャンスはあると思います。
――大きなアップデートの時期はありますか?
Kristian 秋ごろに大きなローンチを予定しています。サプライズにしておきたいので、具体的には言えないのですが(笑)だいぶ変わるのではないかと思います。ユーザーからの声も取り入れながら、アップデートは実装しています。
じつは最初、本作はタブレットでプレイをすることを想定して、タブレット向けに作られたので、スマホ用に最適化されたデザインになっていなかったのですが、そこを少しずつスマホで快適に操作できるように変えているところです。
――なるほど。ユーザーからの意見を取り入れているのですね。
Kristian とくに、対戦ゲームと言うのは、ただでさえフラストレーションがたまりがちなので、“負けた要因を自分のせいにできること”にするのが、大事になってくると思います。押したのに反応しなかった、反応遅かった、など、ゲームの不具合で負けてしまうことがいちばん問題なので。
あとはチャット機能。日本のプレイヤーの方にはよく使っていただいているのですが、当初は文字化けをしていたりして……。
――今後ますます、日本人にとって使いやすいものに進化することが期待されますね。最後に、日本のファンに、メッセージをお願いします。
Kristian 海外の会社だと“自分たちの声が届かないのではないか”と不安に感じる方もいるのではないかと思うのですが、そんな中、みなさん辛抱強く待っていただいていることに感謝します。
日本で受け入れられていることに嬉しく思います。また、日本のプレイヤーの皆さんのベーススキルがどんどんあがっていることに驚かされます。ツイッターやニコ生といったSNSの声なども見ておりますので、今後もご意見いただければと思います。
僕はじつは、日本のゲームで育ってきました。コンシューマーはそのときから大きく成長してきましたが、スマホを同じ時間軸に置き換えると、まだ1997年ぐらいの段階ではないかと思います。スマホも成長していってほしいと思いますし、僕らがコンシューマーで育ったように、今の若い世代のプレイヤーも、僕らのゲームで育っていってほしいなと思っています。
――5年、10年と続くゲームにしていきたい、という話が日本配信時の御社のインタビューでありましたが、それに近づきましたか?
まだ配信してから数年なので、課題はたくさんありますが、きっとそうなってくれると思っています。
――ありがとうございました!
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