『ポケモンコマスター』原作者が語るデュエルの魅力と楽しみかた

2016-05-12 14:00 投稿

ベースはアナログボードゲーム

ポケモンのゲームアプリ最新作としてリリースされた『ポケモンコマスター』は、これまでの『ポケットモンスター』シリーズとは一風異なりボードゲームがベースとなっている。

その仕様をすんなり把握してハマるプレイヤーもいれば、戸惑うプレイヤーもいるのだという。

AI使用
▲1対1のデュエル。ポケモンフィギュアを動かして相手のゴールを狙う。

一見すると敷居が高そうに見える本作について、ポケモンの鈴木直樹氏、開発を手掛けたHEROZの伊藤久史氏、そして原作となったボードゲームの生みの親、大山功一氏、三浦昌幸氏にその魅力や楽しみかたを聞いた。

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▲左から鈴木氏、伊藤氏、大山氏、三浦氏。

▼基本システム紹介
※【新作】ポケモンフィギュアが大活躍する『ポケモンコマスター』 Android版配信
※新感覚のボードゲーム『ポケモンコマスター』ってどんなゲーム?

▼ポケモンたちはどう表現?
※『ポケモンコマスター』に登場するポケモンたちは従来シリーズとどこが違う?

▼誕生のきっかけは『将棋ウォーズ』
※『ポケモンコマスター』開発を手掛けるキーマンを直撃

戸惑うユーザーも

──まずサービスインからここまで、ユーザーの反応はいかがですか?

鈴木直樹氏(以下、鈴木氏) 想定以上に大きな反響をいただいております。お客さまの中には、ゲームのおもしろさを理解していただいている方も多いのですが、一方で、もう少し入り口の部分をわかりやすく提供できればよかったなという思いは正直感じています。

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▲ポケモンゲームアプリゲーム事業二部の鈴木直樹氏。

三浦昌幸氏(以下、三浦) もともと『ポケモントレーディングフィギュアゲーム』(※1)は、当時のボードゲームとしてはこれまでにないものを目指して作ったもので、なかなかその魅力がスムーズに伝わり難いところがありました。それがアプリとしてゲームになって、随分敷居は下がってはいるのですが、それでも戸惑っていらっしゃる方が多いのかなと。

(※1)本アプリのベースとなるアナログのボードゲームで、三浦氏と大山氏が中心となって開発。海外でのみ販売。

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▲こちらは大山氏が持参してくれた『ポケモントレーディングフィギュアゲーム』実物。かなりの大きさがある。
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▲ポケモンゲームアプリゲーム事業二部の三浦昌幸氏。ベースとなった『ポケモントレーディングフィギュアゲーム』開発にも携わる。

──具体的にはどのあたりが戸惑う原因に?

鈴木 まずバトルの勝敗がルーレットであることと、フィギュアごとに存在する強さの違いがあまり浸透していないのかなという印象を持っています。じつはフィギュアには4段階のレアリティ(C、UC、R、EX)があるのですが、たくさん動けるぶん隙が大きかったり、その逆で機動力は低くてもバトルでは強かったり、それぞれの役割の違いがはっきりしています。

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▲ルーレットで決定したワザによって勝敗が決まるバトル。

鈴木 基本的には欠点が少ないフィギュアほど高レアリティにはなっているのですが、実際、高レアリティのフィギュアをただ集めるのではなく、CとEXを組み合わせたり、デッキ全体で戦略を立てる必要があったりするので、そのあたりをうまく汲み取っていただきたいなと思っています。

三浦 たとえば、『ポケモンカードゲーム』(※2)の場合、手札として見えない要素や運がありますが、このゲームはすべての情報がテーブル上に出ています。お互い狙いの戦略や手の内がわかっている状況で、局面としてのバトルの勝敗はルーレットで決まる。この確率の部分を予測しながら、デュエル全体の戦略を立てて戦うのが醍醐味になっています。そういう意味では、サッカーやラグビーのように個々の選手がどう動いてどう勝つか、といったスポーツをイメージしてもらえるとわかりやすいのかなと思います。

(※2)『ポケットモンスター』を題材にしたトレーディングカードゲーム。

──戦術の立てかた、戦いかたのセオリーなどをお話しいただけると、そのあたりが伝わりやすいのかなと思いますがいかがでしょう。

大山功一氏(以下、大山) 考えたんですけど、これがけっこう説明が難しいんですよ(笑)。

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▲大山功一氏。『ポケモントレーディングフィギュアゲーム』生みの親。ほかにも『ポケモンカードゲーム』などのゲームデザインも手掛けている。

全員 (笑)。

大山 自分から攻めるべきか相手に攻めさせるべきかがひとつ。簡単に言うと、自分から攻めて負けてしまった場合、つぎのターンに相手に攻め込まれるリスクがある。自分から攻めなければ、たとえ相手に負けてもつぎの自分のターンに別のフィギュアで対処できる。だから、攻めるときは勝てる確率の高い相手の弱い箇所を狙う必要があるという。ほかにも包囲やプレートとの合わせ技、自分のゴールを守る陣形など、いろいろなプレイング、テクニックがあります。

三浦 あとは局面が進むとフィギュアの数が6対4になったりするので、その数的有利を維持するのが大事ですね。エントリーポイントを塞いで、相手のフィギュアを復帰させない戦いかたはわかりやすい戦術になると思います。逆に、自分のエントリーポイントをいかに塞がないように戦うかも重要になりますね。

──AIを使った指し手の場合、自分から仕掛けるか否かの判断はどこでされているのでしょう。

伊藤久史氏(以下、伊藤) AIは盤上の200手~300手のそれぞれ先の展開を考えていますので、局面によって、攻めるべきか守るべきかの判断はぜんぜん異なりますね。

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▲本アプリの開発を担ったHEROZのプロジェクトマネージャー伊藤久史氏。

──同じポケモンフィギュアが対峙したときでも、仕掛けるときと仕掛けないときがある、と。

伊藤 そうですね。一見すると同じような局面であっても、すべて先の手を読んだ結果になっていますので、どう動くかはAIの判断次第になりますね。なので、自分が判断に迷ったシーンでAIを使っていただくと、戦術の理解にもつながってくれるのかなと思っています。「なんでここ攻めないの?」とか、初めはわからなくても「あ、なるほど!」と思っていただけるシーンはわりと出てくるはずです。

大山 本当、すごいですよ。かなり先を読んできます。

鈴木 そういう意味で、かなり高度な遊びかたを含んでいるゲームになっているので、そのおもしろさが多くのプレイヤーに伝わってほしいですね。クエストにはストーリーもあって、段階的に新しいフィギュアも登場してくるので、少しずつ戦略やフィギュアの特徴を把握していただけるとうれしいなと思います。

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▲物語はプレイヤーの戦友やAIのカルロたちと進む。

大山 クエストをプレイしていても、相手のデッキはレアなフィギュアを使わずになかなか嫌な組み合わせのデッキを使ってきて、攻めにくいシーンが多々あるんですよね。これこそデッキ作りのおもしろさというか、工夫次第で強いデッキが作れるんだなと思わされますよ。

鈴木 まあ相手もだんだんレアなフィギュアを使ってくるようになるんですけどね(笑)。

全員 (笑)。

大山 プレイングテクニックも大事だしデッキ構成も大事だし、レアなフィギュアを集めるだけではないところが魅力だと思うんですよね。どのフィギュアも使いどころがあるという。

鈴木 そこは大山さんの哲学かなと思うんですけども、『ポケモンカードゲーム』も一般的な認識とは違ったポケモンが活躍したり、脚光を浴びたりといった面はありますね。

AIから学ぶ指し手

──AIなら、「このフィギュアが強すぎる」といった特出した性能が見えたりもするのでしょうか?

伊藤 じつは全フィギュアの組み合わせで勝率を取ったこともあったのですが、極端に偏ったものはありませんでしたね。バランスに関して、いくつか提案はさせていただきましたが、基本的にはもともとあったデータを実装しています。僕らも初めて見たときは「これは強すぎるんじゃないか?(笑)」とか思ったこともありましたが、いざAIに分析させてみるとぜんぜんそういうことはなかったです。

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▲『ポケモントレーディングフィギュアゲーム』ではフィギュアをスピンさせてバトル。台座の下部に本アプリとほぼ同仕様のルーレットが確認できる。

──あとプレイして思うのが、AIの使いどころが意外とわからないもので。本当にヤバそうなときに使ってももはや手遅れだったり(笑)。

伊藤 そうですね、さすがのAIでも詰み手のときはどうしようもないですから(笑)。たとえば、序盤にどのフィギュアとどのフィギュアをマッチアップさせるかとか、基本的な陣形をどう作るか、といったところをAIに頼っていただくと、すごくいい動きをしてくれますし、勉強にもなると思います。やはり終盤になるほど、読める手が少なくなってしまうので。ぜひガンガン使っていただいて「やっぱり俺のほうが賢い!」と思えば、そのときはぜひ自分の手で打っていただければと(笑)。

大山 僕はAI先生って呼んで頼っているんですけど、クエストでなかなか倒せない相手がいて。AI先生に序盤をお願いしたらそんな指し手があるのねって思わされましたよ。それで有利な状況を作ってもらって、終盤になったら自分が手出しをするっていう(笑)。

三浦 どうしてもここぞというタイミング、一発逆転的なものという発想を持たれることも多いんですけど、いまは序盤の指し手を学ぶ意味でも最初から使っていくのが有効だと思いますね。

伊藤 弊社の『将棋ウォーズ』(※3)のAIでもそうですが、共闘、仲間という位置付けでいるので、ぜひそこは頼っていただきたいなと。『ポケモンコマスター』の場合は、フィギュアの種類はもちろん、ワザの種類もものすごくあるので、選べる手がとにかく多いんです。僕らも作る過程で「こんなにあるんですか!?」ってびっくりするくらい(笑)。

(※3)日本最大級のオンライン対戦将棋アプリ。AIを使ったお助け機能を搭載。

全員 (笑)。

伊藤 それぐらい個性があるのがこのゲームの特徴でもあり、いいところでもあるので、少しでもAIが導入部分のハードルを下げられたらと思って開発を進めた背景もありました。

──では最後に、今後の展開などもお聞かせください。

三浦 今後たくさんの新しいフィギュアも登場していきます。将棋はコマが何百年変わらずそれがまた魅力ですが、コマが増えると、その都度ゲームの環境にも変化があると思います。いま準備をしていることもたくさんあるので、引き続きぜひお楽しみください。

鈴木 じつは対人戦がすごいおもしろいゲームでもあるので、ラウンジのランクマッチや友だちといっしょにルームマッチをおすすめしたいですね。目の前で対戦するとルーレットの勝敗ですごく盛り上がります。それで負けたりすると悔しくて、どうやったら勝てるのか考えるんですよね。その考えがズバりハマったときの快感は、ぜひ体験していただきたいなと思います(笑)。

──ありがとうございました。

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▼基本システム紹介
※【新作】ポケモンフィギュアが大活躍する『ポケモンコマスター』 Android版配信
※新感覚のボードゲーム『ポケモンコマスター』ってどんなゲーム?

▼ポケモンたちはどう表現?
※『ポケモンコマスター』に登場するポケモンたちは従来シリーズとどこが違う?

▼誕生のきっかけは『将棋ウォーズ』
※『ポケモンコマスター』開発を手掛けるキーマンを直撃

ポケモンコマスター

ジャンル
ボードゲーム
メーカー
ポケモン
配信日
配信中
価格
無料(アプリ内課金あり)
対応機種
iOS、Android(※端末やOSのバージョンによりプレイできない場合があります)

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