【新作】ガラケーの名作が新装版になってリニューアル!『歪みの国のアリス~アンコール』

2015-12-30 10:00 投稿

美麗なグラフィックで描かれる歪んだ世界の恐怖!

2006年にリリースされ、今も根強い人気を誇る携帯電話向けホラーテキストアドベンチャーの名作『歪みの国のアリス』。そのリニューアル版である本作では、スマートフォンに合わせて操作系や3DCGが一新! さらに原作シナリオライターによる新シナリオの追加など、従来のファンにもうれしい追加要素が満載となっている。

新規キャンバス
▲Google Playストアのレビューでも、ガラケー時代からのファンによるレビューが多く見られる。根強い人気の証だ。

多くの人を魅了するだけあって、ゲームのシナリオは一級品だ。今プレイしてもまったく色褪せない魅力を持っているため、新規ユーザーも問題なく楽しめる内容となっている。アプリは無料でダウンロードできるため、気になった人はぜひダウンロードしてみよう。

快適なUIと読み返しに便利な各種機能

本作ではUI(ユーザーインターフェース)周りがスマートフォン向けに刷新された。既読スキップやフローチャートを使えば読みたい場所をすぐ探すことができ、快適なプレイが可能となっている。もう一度読みたい人にもオススメのアプリだ。

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▲下フリックで既読スキップが可能。
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▲フローチャートで回収していない分岐点も簡単に確認可能。
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▲途中セーブやバックログ確認も可能だ。

怖がりライターがゲーム序盤をプレイ!

ここからはメインシナリオ序盤のプレイリポートをお届けしていくぞ。若干のネタバレを含むため、気になる方はゲームをダウンロードして自分でプレイしてみるのがいいだろう。

また最初に言っておくと、筆者は“極度のビビり”だ。お化け屋敷で最後まで目を開けていられた試しはないし、ホラー映画を観るときは必ず隣のモニタでお笑い番組を同時に再生する(中和のため)。いわゆるノミの心臓である。より正確にいうと、病弱なノミの心臓である。怖さのものさしとして参考にしてほしい。

物語の主人公は普通の女子高生、葛木亜莉子。物語は夕暮れの自習室で目覚めた彼女が、不思議な人物と出会うところから始まる。

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▲不気味な微笑みがトレードマーク。

“チェシャ猫”と名乗ったこの人物は亜莉子のことを“アリス”と呼び、「ウサギを追いかけよう」と言う。不審者から逃げるべく、無人の校内を走る亜莉子。だが存在するはずの階段が存在せず、廊下は果てなく続いている。第1章はこの不思議な校内で繰り広げられるストーリーだ。

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▲道中でウサギを目撃する。こういうのを追うのはどちらかと言うと警察の仕事ではないだろうか。
 
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▲途中、選択肢が出ることも。
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▲空き教室では不穏なバスケットが。当然ショッキングなものが入っているため注意。
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▲とある事情で体が人形のように小さくなり、服が脱げてしまったところ。乙女の恥じらいは不審者への恐怖も凌駕する。

不気味ながらもユーモラスなキャラクターたち

小さくなってしまった亜莉子=アリスは、さらに不思議なキャラクターたちと出会うことになる。

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ドレスを求めて仕立屋で出会ったのは、愛くるしい見た目のハリーと、怪しい見た目の絆創膏親方。仕立屋のふたりはアリスに快くドレスを譲ってくれる。ついつい和むシーンだが、心を許してはいけない。これはホラーゲームである。

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続く2章では駅前のホテルが舞台となる。ウサギを追うアリスたちがホテルのレストランで出会うキャラクターは、結婚式から12年間食べ続けている公爵夫人、妻を愛する胃弱の夫・公爵、そしてカエルのウェイター。彼らの依頼を受けたアリスは、ホテル地下のパン屋へ向かうのだが……。

そこで出会うキャラクターに衝撃を受けた。

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▲なんともパンチのある外見。

茶色いおっさんではない。しゃべるアンパンである。顔を分けてくれるし。水には弱い。どこかで聞いたことがあるようなアンパンだ。

だがこのアンパン、ホラーゲームらしいオリジナリティ溢れる方法で顔を分けてくれる。

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ホラーな雰囲気がありつつもどこかユーモラスな光景だが、我らがヒロインは食べることを拒否。それがアンパンの逆鱗に触れる。そのシーンがまたおもしろいのだ。

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アリス自信は怖がっているはずなのに、どこか一言余計なせいで、読んでいるこちらは笑いがこみ上げてくる。ここでようやく確信が持てた。「このゲーム、めっちゃ笑いをとりに来てる」と。

考えてみればそれもそのはず、このゲームのキャッチコピーは“笑えて泣けるノベル型ホラーアドベンチャー”。笑いの要素だって充実しているのだ。2章はまさにそれを体現したかのような内容で、ホラーの雰囲気を漂わせつつも終始このような笑いに包まれて進んでいく。公爵夫人たちの問題を解決するまでのあいだ、アリスにピンチは訪れるものの、終始笑顔を浮かべながら先へ進めることができた。

でもやっぱりホラーゲーム

2章後半からは少し日を開けて深夜にプレイ開始した。ホラーテイストのコメディを楽しみながら、ウサギが出て行ったという出口を発見し、ホテルの外へ。すると。

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▲おや?
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ふむ……。

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▲これはゲーム画面ではなく、近所の道。ゲームが怖くて涙目で走りだしたのではない。攻略である。
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▲ひとりじゃ怖いからコンビニを目指したのではない。攻略である。
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▲攻略である。

その昔筆者が編み出したホラーゲーム攻略法として、“生活感により恐怖を中和する”という方法がある。詳しい説明は省くが、“焼き餃子”や“たらこスパゲッティ”という文字列が頼もしく見える瞬間がある、ということを覚えておいてほしい。決してひとりじゃ怖いから明るくて人のいるところへ移動したわけではない。

落ち着いて息を整えたところでゲーム再開だ。再度スマホを開いて

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……。

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▲そういえば七味を切らしていたな、うん。

このあとしばらく深夜のコンビニ店内でなるべく画面を見ずにゲームを進め、怖い場面を過ぎたところで七味唐辛子を買って帰宅した。上で述べたフローチャート機能は、撮り逃がしたスクリーンショットを撮り直す際にも非常に有用だったことを補足しておきたい。

怖い、でも面白い!

このゲームはホラーゲームである。主人公のアリスを取り巻く状況は常に理不尽だらけで、絶えず不安がつきまとい、時には恐怖が襲ってくる。心の落ち着くヒマがない、不安定な世界だ。しかしその不安定な世界の中で、不気味さとユーモラスさを併せ持ったキャラクターたちはいきいきと動き回っている。その姿は不思議な魅力に満ちていて、見ているうちに愛着が湧き、「もっとこの世界に触れていたい」という気持ちが湧いてくる。これがストーリーを構成する魅力的な謎の数々と絡み合うと、“怖いんだけどやめられない”という、とても厄介でとても楽しい感覚を味わえるのだ。筆者は今まさに、そんな状態。ホラーゲームファンのみならず、ホラーゲームが苦手な人も、試しにプレイしてみてほしい1本だ。

なお、今回のリニューアルに伴い新シナリオや新要素が追加されている。プレイ済みの人はこちらも要チェックだ。

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(Text:ケチャップ山もり男)

歪みの国のアリス~アンコール

ジャンル
アドベンチャー
メーカー
サン電子株式会社
配信日
配信中
価格
無料(アプリ内課金あり)
対応機種
iOS 7.0 以降、Android 4.0 以上

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