野島一成氏が考える“JRPG”の定義とは?海外製JRPG『ゾディアック』に迫る!

2015-09-26 12:00 投稿

日本人から見たら、洋ゲー?

『ファイナルファンタジーⅦ』や『キングダムハーツ』などのシナリオを手掛ける野島一成氏や、『ファイナルファンタジータクティクス』などの音楽を手掛ける崎元仁氏など、日本を代表する超豪華クリエイターが参加している話題のゲーム『ゾディアック:オルカノン オデッセイ(以下、ゾディアック)』。

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東京ゲームショウ2015では、なんと、『グランブルーファンタジー』や『神撃のバハムート』にも携わっているCyDesignationがアートディレクションを務めていることを発表し、さらに注目を集めている。

【TGS2015】フランス発のJRPG『ZODIAC(ゾディアック)』のアートディレクションは“CyDesignation”

 
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※【TGS2015】KOBOJOのCEOが語るフランス産JRPG『ZODIAC』の魅力とは?

※【E3 2015】海外製JRPGの大作『ZODIAC(ゾディアック)』のプロデューサーに直撃!

 

ファミ通Appでは今回、プロデューサーのマリオ・リーゾ氏、そしてシナリオライターの野島一成氏にインタビューする機会を得たので、今回改めて『ゾディアック』についてお話をうかがってきた。

 
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『ゾディアック』プロデューサー
マリオ・リーゾ氏

 

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『ゾディアック』シナリオ担当
野島一成氏

野島氏の参加の経緯

──まずお先に野島さん、今回改めて『ゾディアック』参加の経緯について教えてください。

野島 おととしくらいだったかなぁ~。植松さんに「紹介したい人がいるから自由が丘に来い!」って言われましてね。またそのあとしばらくして、つぎに「紹介したい会社があるから自由が丘に来い!」って言われて、マリオのチームのメンバーでごはん食べたのがきっかけですね。いままで海外からのオファーはいくつもあったんですが、結局話だけあって実際に動くことはなかったんですよ。こちらも海外の方が相手だと不安じゃないですか、たとえ植松さんの紹介でも(笑)。でも、kobojoさんは継続的に連絡をくれて、きちんと話が進んでいって契約まですることができたんですよ。

──今回のケースはたまたまうまくいったということですか?

野島 あと、植松さんの会社経由でいろいろと話を進めていたので、安心だったってのもあります。あとグーグルで「kobojo」と調べてみたら会社のHPが立派だったので……(笑)。

──『ゾディアック』を初めて見たときは、どこまで設定が決まっていたんですか?

野島 4つの種族があるとか、世界観とかは決まっていましたね。それを見て、設定好きな人が決めたんだなぁと思いました。でも「好きにいじっていい」って言われたので好きにいじりました(笑)。

──じつはまだ『ゾディアック』の大筋の物語ってあまり語られていませんが、教えていただいてもよろしいですか?

野島 この世界は教会みたいなものが仕切っていて主人公(カイル)とカイルのお姉さんがそこに所属しているんです。お姉さんは優秀で、カイルはどんどん置いて行かれちゃう。でもあるとき不思議な力を手に入れることになるんです。主人公だけが特別な力を持っているっていうのは、いつもの僕のスタイルですね(笑)。あとはマリオから「すごいJRPGにしてくれ」といわれたので、家族に対する愛情とか反目というストーリーを付け加えました。

 
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JRPGとは?

──野島さんが考える“JRPG”の定義ってなんだと思いますか?

野島 押し付けるような物語があって、プレイヤーがその物語の主人公になりきって進めるってのが僕の考えるJRPGですね。いまどきの流行りのゲームは、設定が幅広く与えられていて、プレイヤーが自由にプレイできるゲームが多いですよね。僕はいまとなっては古いスタイルになってきていると思いますが、彼らはそれを作りたいって言ってくれた。『ゾディアック』はkobojoさんから見ると、とても純日本風なRPGらしいですが、僕から見ると“洋ゲー”に見えるっていう不思議なタイトルです。

──シナリオを作る上で、たいへんだったことやこだわった部分はありますか?

野島 ふだん作っているのは、主人公が16歳とか17歳とかの物語が多いんですが、今回の主人公(カイル)は設定が20代中盤なんですよ。若い主人公だと勢いだけで行動できるんだけど、カイルは大人の理性があるというか、何らかのちゃんとした動機がないと行動を起こしづらいです。

──いままでの作品にはなかった作業だったということですか?

野島 うーん……難しかったですね(笑)。ふだん作っているゲームにかっこいい大人が出てくるときは、「一方そのころ……」みたいな感じで、大人どうしの会話を使っていたんだけど、今回は相手が大人も子供も関係なくなってくるのでいつもよりも難しかったです。

──海外の企業とのコラボということでコミュニケーションの取り方はどのように行っていますか?

野島 基本は日本語でやり取りさせてもらっています。僕が書いたシナリオは、向こうの方が日本語からフランス語に翻訳します。さらにフランス語から日本語に翻訳されたものが僕のところにチェックに返ってきます。ただ、僕は基本的に口を出しませんね。『FFⅦ』を作ったときからそうなんですが、英語ならまだしもフランス語とかイタリア語とかに翻訳されてもさっぱりわからないので、そこはちゃんとできているものと信じて気にしないようにしています。

マリオ 野島さんからのメールはこちらで1通につき2~3時間かけて翻訳されてから、僕らに届けられます。送るときも同じで2~3時間かけて返信します。今回野島さんのシナリオを翻訳するために翻訳者をふたり雇いました。日本語から英語に荒訳して、荒訳をもとにRPGの知識を持っている翻訳者が3週間かけてシナリオを書き直しました。5万行の原稿を最終的にきちんと完成させるために2ヵ月かかったので、ストーリーは完璧に仕上がっているはずです!

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野島さんのシナリオを軸にゲーム作り

──野島さんは完成したストーリーをチェックされたんですか?

野島 それがねぇ~、まだ見ていないんです(笑)。だって、こんなに分厚いんですよ?(指で厚さを示す)

──(笑)。実際に『ゾディアック』のシナリオは書き終えているんですよね?

野島 修正も含めて完全に終わったのは、今年の3月くらいですね。

マリオ 『ゾディアック』は最初に12星座の中から好きな星座を選べるというシナリオだったのですが、iOS版では技術的な制約があってそれができなかったんです。最初に提出してくれた野島さんのシナリオを起用したかったんですが……。ノジマサン、ソーリー!

野島 シナリオ変更はゲームを作る上で日常茶飯事で、ふつうはもっといろいろ変えるんだけど、今回はすんなりいきすぎちゃってるから、逆にドキドキしています(笑)。みんな「おもしろい」とか「ナイス!」とかは言ってくれて、今回はとくに指摘されることもなく、つぎの連絡が「東京ゲームショウ来てよ!」って言うものだったので(笑)。

──野島さんが書いたシナリオはきっちりと再現されているということですね。

マリオ 私たちは野島さんの大ファンなので、ゲームの技術的なことを軸にシナリオを書くのではなくて、あくまでも野島さんが書いたシナリオを軸にゲームを作りたいと思っていました。最初野島さんにいただいたシナリオは演出シーンが47個あったんです。通常はゲームを作る上で制約などがあって、シーンをどんどん減らさざるを得ないんですけど、チームで忠実に再現するようにしました。

CyDesignationとの出会い

──今回の東京ゲームショウでアートディレクションをCyDesignationさんが参加しているということが発表されましたね。

マリオ そうです。すべてのビジュアルの部分を担当していただいています。デザインのチームはフランスとスコットランドの2ヵ所にあるのですが、そこで作ったものすべてに目を通してもらっています。

──ゲームのプロジェクトを立ち上げたときからCyDesignationさんが参加することは決まっていたのですか?

マリオ いいえ、最初はそんな予定ありませんでした。最初に出会った崎元さんから巡り巡って紹介していただきました。

野島 マリオはけっきょく、植松さんや崎元さんの名前ばっかり出すから、CyDesignationに辿り着くよね(笑)。

(一同笑)

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──CyDesignationさんはプロジェクトの参加に快くOKしてくれましたか?

マリオ 最初に、我々の作ったデザインをチェックしてもらいました。そこで意見をもらって、「いっしょに作ったら、もっといいものができる」とポジティブな返事をいただきました。プロジェクトに参加してもらってからは、こちらの作ったデザインを提出してCyDesignationさんに赤を入れてもらったり、こちらもイラストをチェックして設定やストーリーと合っているかを確認したりしました。グラフィック面ではかなりお世話になって、おかげさまで我々のデザイナーがみんなレベルアップしましたよ。

──CyDesignationの参加の発表がいまとなったのには何か理由でも?

マリオ kobojoのマーケティング部から、プロモーション的な観点で今回にいたったという形です。

──ということは、つぎも何か大きな発表があるんですか?

マリオ いまは詳しく言えないですけど、日本版が出る直前に発表する予定です。

──ほほう。ではズバリお聞きしますが、日本版『ゾディアック』のリリースはいつごろになりますか?

マリオ 確実なことは言えまえんが、2016年あたりに出したいと思っています。焦って出すというよりも、野島さんやCyDesignationさんにしっかりと最終確認をしてもらって完璧な状態で出したいと思っています。

──iOS版、PS4版、PSVita版は同時配信になるんでしょうか?

マリオ ヨーロッパでは年内にリリース予定ですが、日本でのいまパブリッシャーを探しているので、そのパブリッシャー次第になるかと思いますよ。今後ビッグニュースがあるとしたらそれになるかもしれません。

──この記事がお役に立てばいいですね(笑)。それでは最後に読者に向けてメッセージをお願いします。

野島 彼らは“JRPG”だっていうんだけど、僕は“洋ゲー”だと思っています。そんな不思議なテイストの『ゾディアック』をぜひ楽しみにお待ちください。

マリオ 私たちにとっては最初のJRPGなんですけど、ぜひ日本の皆さんに楽しんでもらいたいです! 私たちにとってこれが最初で最後のJRPGではなく今後もJRPGを出していきたいと考えています。そしてkobojoが日本の方々に認知されるような会社を目指していきたいです。日本で今後何年もゲームを出していきたいと考えているので、ゲームをプレイして、「よかった」、「悪かった」のフィードバックをどんどんいただけるとうれしいです。

 
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※【TGS2015】KOBOJOのCEOが語るフランス産JRPG『ZODIAC』の魅力とは?

※【E3 2015】海外製JRPGの大作『ZODIAC(ゾディアック)』のプロデューサーに直撃!

ゾディアック:オルカノン オデッセイ

ジャンル
RPG
メーカー
kobojo
対応機種
iOS

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