【CEDEC 2015】汗と涙の末に出したQAエンジニアの役割とは?

2015-08-27 19:49 投稿

ゲーム開発の縁の下の力持ち

2015年8月26日から8月28日までの3日間、パシフィコ横浜で開催されるコンピュータエンターテインメント開発者向けカンファレンス“CEDEC 2015”。

ここでは、グリーの佐藤将高氏、西脇春名氏によって行われた講演“スマホゲーム開発を支えろ! ~汗と涙のQAエンジニアリング~”の内容をまとめてお送りする。

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▲グリー 事業統括本部 Japan Game事業本部 Quality Assurance部 QAエンジニアの西脇春名氏(写真左)、同所属 QAエンジニアの佐藤将高氏(写真右)

まずQA(Quality Assurance)とは、品質保証のこと。つまり、QAエンジニアリングとは、ゲームの品質保証となる開発(修正・運営)を行うことである。

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しかし、このQAエンジニアリングとはまだかなりの広義を持っており、一概にこういう仕事をするものといった確立がなされていない。佐藤氏はこれに関して「我々は、QAエンジニアリングというものを“プロダクト開発の生産性と品質向上に対し、技術面から貢献すること”だと考えている。しかし、そもそも現場によってQAエンジニアリングの定義には違いがあった。私たちは、そこをしっかり定義して作業の領域を明確にすることでお互いがお互いの仕事に集中できるようにと、これまでさまざまな努力を重ねてきた」と語る。

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QAエンジニアというポジションがグリー内で生まれた当初は、開発ラインから少し離れた位置にあり、たったふたりでアジャイルテスト(探索的テストや回帰テスト等をアジャイル開発(※1)の短い開発サイクルに合わせて日々繰り返すテストのこと)とリアルタイムサーバーの負荷テストを行っていたという。

(※1:非常に短い開発期間単位を設け、素早く開発を回すことでリスクを低減させる開発手法)

しかし、開発エンジニアと距離があったことと、人員がたった2名だったことが起因し、なかなか品質保証といえるまでの成果をあげるのが難しかったそうだ。その反省をもとに、次は開発の早い段階から開発チームに参加することで、少しでも貢献しようとしたそうだが、やはり人員が足りず、QAエンジニアの仕事としては、バグ修正くらいしかできなかったそうだ。

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そこからまた試行錯誤を繰り返して今に至るという。現在は人員を増加させ、アルファ版の開発からチームに参加し、常駐。これにより、リソース不足とチームとの連携不足を解消。さらに、これまで開発エンジニアが担当していたデバッグツールの開発とテスト自動化をQAエンジニアが請け負うことで、開発エンジニアはゲーム開発のみに注力できるようになり、品質担保もしやすくなったという。

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さまざまな苦労はあったものの、現在はチームになくてはならないエンジニアとして活躍をしているという。品質保証をするエンジニアの存在というのは、ユーザーからあまり存在を知られていない人たちだが、こういった縁の下の力持ちが陰で努力をしてくれているからこそ、私たちが面白いゲームを遊べるのだということを忘れてはならないだろう。

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▲「QAエンジニアリングとは?」との問いに、おふたりが出した答え。講演中何度か口にしていたことから考えると、この答えには、おふたりのかなり強い思いと誇りを感じる。

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