【東京インディーフェス】日本のゲームは海外でどう戦う? おもしろさの追求こそが最大の武器に

2015-05-09 21:51 投稿

日本から世界へ インディーズゲームの挑戦

2015年5月8~10日の間、秋葉原UDXで開催されている東京インディーフェス2015。今回お届けするトークセッションのテーマは、“日本のインディーズゲームと海外(との接し方)”。

大手ゲームメーカーでは、規模が大きくなるにつれて資金面を回収するというマーケティングの観点から海外展開も、と言うのがよくあるそう。ただ、インディーメーカーはというと、そう簡単にはいかない。

このテーマについてスピーカーとして呼ばれたのは、トイボックスの和田康宏氏、Onion Gamesの木村祥朗氏、Dot Warrior GamesのAlvin Phu氏、Friend and FoeのMatt Smith氏という、日本と海外をよく知る4名。

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まず最初の議題として上がったのが、“どう海外のユーザーへ発信していくのか”というもの。

「前提として、好きなことをするのがインディー」と話すのは和田氏。日本、海外と市場は違えど、ゲームに求められる“おもしろさ”は万国共通だが、インディーとしてのおもしろさを伝える際、海外に向けて発信するときのひとつの問題点として、ローカライズの難しさをを挙げていた。

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ただ翻訳するだけでいいわけではなくゲーム性にもよるが、ほどんどの場合、当然現地の言葉に合わせてローカライズしなければならなくなる。およそ日本語の1.5倍から2倍近い文字の量になるため、ゲームスピードが低下してしまう恐れも出てくるという。そういったゲームの本質的なところに関わるような、ないがしろにできない部分を無視して“何が何でも海外に”という発想に反対していたのが木村氏。

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「本当におもしろいゲームなら極端な話、最初の画面に“ゲーム中、日本語が出てきます”といった触れ込みだけ英文にして、あとは全編日本語でもおもしろいと思ってもらえる」(木村)という、ある意味で極論に近い意見も、インディーならでは。もちろんゲーム性も踏まえたうえでのことだ。これにはほかの話者も賛同していた。

インディーである利点と弱点、そして抜け道

つぎの議題は、インディーにおけるもうひとつの問題ともいえる、宣伝のやりかた。宣伝やマーケティングという大手ゲームメーカーが注力する部分は、少人数で運営するインディーの弱点でもある。この不得手な面をどのようにかいくぐり、日の目を見るためにはどうすればいいのか?

インディーの大前提として挙げられるのは、“作りたいものを作る”、“大手ができないようなある意味尖ったゲームを作る”、そして何より、“本当におもしろいと思ったものを作る”こと。そのうえで、大々的なお金を使った宣伝ができない中、「宣伝コストのかからないひとつの答えとして、プレイヤー側のゲーム実況が、知名度をもたらしてくれるようになったのは大きい」と語るのは、4名の中でいちばんインディーとして海外と戦ってきた時間の長いAlvin氏。

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全世界にいるコアなゲームプレイヤーは、「おもしろいものは誰がなんと言おうとおもしろいもの」という熱心さを持っている。インディーズゲームのアイデンティティーを覆すことなく宣伝効果がもたらされるという、一筋の光明と言えるのではないだろうか。

インディーにおける資金と収益

インディーメーカーによる開発のメリットは、ゲームにオリジナリティーをふんだんに盛り込めること。そこからさきの、営業に強くないというある種インディーメーカーの性とも言える問題と、だからといって資金面を最優先にしてしまっては元も子もないというジレンマを、4名とも課題にしていた。

開発費や宣伝、そもそもの知名度を上げていくことの困難さ。それを乗り越えたさきにある成功をおさめるためには、どうするべきなのか? 国内外問わず多くのイベントに出展した木村氏と、そうしたイベント企画に「とりあえずコンタクトを取るといい」と話す和田氏の両氏の話を受け、Matt氏は「まったくその通り。とりあえず、という精神でやっていくことはすごくいい。海外メディアだろうと、おもしろいものには必ず反応してくれる」と語っていた。

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終始4名に共通していたものは、おもしろいものを作るということ。当たり前のことのようだが、“ローカライズや海外向け”というのは手段であって、ゲームの根本的な部分ではない。あくまでもインディーならではの作品を作ること、おもしろいものを追求することが武器になり、正攻法こそインディーの生きる道と語っていた。

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