明日公開の新作『アングリーバード・ファイト!』を期待していい理由

2015-05-06 12:00 投稿

『アングリーバード』と『ズーキーパー』が驚きの出会い

いよいよ、明日2015年5月7日(木)にリリースとなるアクションパズル『アングリーバード・ファイト!』。本作は、『アングリーバード』×『ズーキーパー』という、あっと驚く化学反応によってできた作品である。

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※本作をもっと詳しく知りたい人はこちら

その仕掛け人である両社の代表に今回の経緯などの話を伺ってきたので、その模様をお届けしよう。

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(※写真右)
ロビオジャパン
代表取締役社長
及川克己(おいかわかつみ)氏
(※写真左)
KITERETSU 
代表取締役社長エグゼクティブプロデューサー
日下部雅謹(くさかべまさのり)氏
(※写真中央)
ロビオジャパン
エグゼクティブプロデューサー
DING DONG

――今回のプロジェクトに、皆さんはどのように関われたのでしょうか。

及川克己氏(以下、及川) 私は、ロビオジャパンの代表として昨年9月に入社いたしました。このプロジェクトでは、日本のチームのスタッフ2名といっしょに、全体のプロジェクト管理をしています。

『アングリーバード』の世界観を保ちつつ、どういう風に日本でキャラクターやゲームの楽しさを伝えていくかを、本社側のチームと連携して、日下部さんのチームといっしょに作り上げてきました。

DING DONG氏(以下、DING) 2013年の11月からプロジェクトに携わりました。私が入ったときは、ゲームのプロットが決まったころで、具体的に作り出すときでした。

日下部雅謹氏(以下、日下部) 私はKITERETSUの代表で、今回のプロジェクトではエグゼクティブプロデューサーとして、作り上げたものをどう活かすか、マネージメントすることがおもな役割です。

開発チームをクリエイティブディレクター、アートディレクターというように、役割を分けながら、彼らが創作しやすい環境を作ることに注力しました。

また、ロビオ本社の方や、日本のプロデューサーのDINGさんとディスカッションして、なるべくみんながアイデアを出し合える環境を整えました。

ロビオとKITERETSUの出会い

――まず、ロビオとKITERETSU、両社が共同開発に至ったきっかけをお教えください。

及川 じつは立ち上げの当時、私はプロジェクトに絡んでいなかったんですよ。

日下部 2011年にこのプロジェクトのお話をしたんですよね。そのころは、ロビオさんが日本法人を立ち上げる準備をしていたときで。

うちの社員で、ビジネス開発の女性が、ロビオ本社の方と知り合いだったことから、当時のビジネス開発担当のアンティーさん、ピーター(マイティーイーグル)さんを紹介してもらったんです。

そのときに、「いっしょに何かできたらいいですね」ということになり、そこから企画がスタートしました。

――『アングリーバード』としては、そのころはすでに大ヒットしていたわけですよね。

及川 そうですね、最初の『アングリーバード』は2009年から配信されていて、現在までに25億ダウンロードされています。2011年ごろは、まだ社員が100人いるかいないかの規模感の会社だったそうです。

――25億……! もう、膨大すぎてピンときませんね。その両社の仲人となったスタッフさんは、ロビオとどういうご縁が?

日下部 もうその社員は寿退社しちゃったんですけど、彼女がまだ学生のころ、フィンランドに留学に行く機会があったそうで。そこがきっかけだったかと。

――へー、そんなところから! 具体的にはどんな流れで話が進んだのでしょうか?

日下部 ロビオさんも『アングリーバード』のIPを日本でどうやっていくべきかと、コラボできる相手を探したり、よりファンを作ろうとしていたところだったんですね。

そのころ、うちはアプリを紹介する動画番組をやっていたのですが、『アングリーバード』を取り上げたことがきっかけでやり取りが盛んになり、2012年ごろからプロジェクトがゆるやかに始まりました。

――なるほど。では、本作はどのように企画されたのでしょうか?

日下部  『ズーキーパー』というマッチスリー(ブロックを3つ以上つなげて消すゲームの総称)を作っていたので、その延長で違う形のパズルを『アングリーバード』でやれたらおもしろいですね、と。

もう、3~4枚くらいの企画書でしたけど、それで具体的に話が走り出した形です。実際にちゃんと動き出したのは、2013年からになりますね。

及川 私が入社したときには、もうゲームはほとんどできていたんですよ。

日下部 2013年からプロトタイプを作ったりしていて、正式にゴーサインが出たのは去年の年始ですね。

うちは『ズーキーパー』やアニメーションをやっているんですけど、そこから新たに海外にも長く愛されるゲームやエンターテインメントを作りたいという考えがありまして。

一方でロビオさんは、日本の特殊市場がよくわからず、「わかるトコロといっしょにやって、ファンをたくさん作りたい」という考えで、お互いのニーズがマッチしたんです。

うちが新規で企画する案もありましたが、『ズーキーパー』で13年間やってきたので、その要素を入れた新しいものを作るのがいちばんいいのでは、となりました。

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日本から世界へ!

――開発で苦労されたところは、どんなところですか?

DING 時差ですね(笑)。

及川 フィンランドのほうが6時間遅いんです。フィンランドで夕方4時のとき、日本は夜10時になるので、あっちが盛り上がってくるころには、日本ではもう深夜というわけです(笑)。

DING なので、時差に合わせてワークフローを改めて作る必要がありました。

日下部 時差もそうですし、両社での役割分担のこともありました。ある程度は日本側でやれないかと話し、キャラクターや世界観を壊さないように作っていきました。

でも、当初は修正がいっぱい入るかなと思っていたんです。それが、思ったよりも入らなかったのでホッとしました(笑)。

逆に、ロビオさん側から、自由にやってほしい、自分たちが作れないものを作ってほしいというオーダーがありまして。

本社サイドで作るとまた同じになってしまうかもしれないので、日本の文化で、アジアに合ったものを考えて進めてほしいと。

――それはうれしい計らいですね!

及川 日本発というのが、弊社としても大事だと思っているんです。

ほかの会社さんが作られた既存のゲームのコアエンジンに、『アングリーバード』のキャラクターを登場させるというのは、ロビオ史上初なんですよ。

そういうクリエイティブのディレクションから何から、通常は本社の開発チームが作るんですけど、今回はすべてKITERETSUさんとDINGを含めた日本側が主として進めました。このようなアプローチ自体も新しい試みです。

日下部 あと苦労したのは、言語対応ですね。11ヵ国の言葉に対応するので、なるべく文字要素がないようにと。

もともとロビオさんのゲームは、直感的なUIで説明がなくても遊べる形ですが、それをいかに本作でやれるかと試行錯誤しました。

――翻訳もたいへんですもんね。

日下部 それと、日本ではおなじみのゲーム内イベントですね。イベント期間は、どのくらいがいいのかと。1億人がダウンロードするかもしれないというタイトルも、そうそうないですから。

いわゆるガチャ的な“スロット”も、どれくらい無料でできるかという調整をしています。長くプレイしてもらいたいので、課金をあまりしなくても遊べるバランスにしたいと思っています。

――世界各地で展開するゲームならではの悩みなんですね。ところで、ロビオでは、各国からこのように企画案が上がってくるということはよくあるんでしょうか?

及川 いま、さまざまなパートナーさんたちと開発を進めているところですが、ご提案はいっぱいいただいています。

コンベンションなどで、「このゲームを見てくれないか」とお話いただくことはたくさんありますね。その中でビジネスとして成立するというのは、限られていますが……。

『アングリーバード・ファイト!』の施策は、『パズドラ』の登場によって海外から日本のゲーム市場への注目度が上がっていたところでした。先ほど日下部さんが話されましたが、ロビオはそこへどうやって入っていくかと、戦略的に考えていたというのがありますね。

弊社としても、いままではグローバルでひとつのタイトルを展開していましたが、これからはジオグラフィックというんでしょうか、地理的に、アジア、日本にある独特のモバイルゲームの文化にフォーカスする必要があるかと。

ユーザーさんに共感を得るには、すでに日本で実績があるKITERETSUさんのような企業と組ませていただくというのが、戦略的にも合致していた部分だと思います。

――両想いだったと。

及川 ええ、日本発のゲームですが、グローバルに展開するにあたって、弊社の持っているユーザーさんにどう受け入れられるかが、個人的にも楽しみでチャレンジでもあるんです。

―本作で、日本とほかの地域で大きく違う部分はありますか?

日下部 いまのところはゲーム自体も同じですし、どの国でも同じ形でイベントをやっていくことを想定しています。

違う部分としては、通信環境ですね。本作はリアルタイムで対戦するので……。

日本ではWi-Fi環境や3G回線もしっかりしているのですが、ほかの地域では通信環境が貧しかったり、キャリア決済でなく、プリペイドカードしかなかったりと条件が違ってきます。

これからやってみて、わかることも出てくるかと思います。

――通信環境は地域でバラバラですよね。ところで、『アングリーバード』はスリングショットゲームでしたが、パズルとなった『ファイト』は各国で受け入れられそうでしょうか?

DING KITERETSUさんの『ズーキーパー』を見て、すごく特徴的だなと思ったのが、やはりリアルタイム対戦というところです。

ユーザーとユーザーの直接交流を通じて、強い感情が生まれるゲームなので、受け入れてもらえるのではと思います。

日下部 マッチスリーのゲーム自体はポピュラーになってきているので、ハードルは高くないと思いますが、そこへ育成やガチャの要素が入ったときに、楽しみかたを知ってもらうにはどうするか、また1日で何回くらい接続させるかなど、データを見ながら検討しています。

アジア地域の人と、北米の人、ヨーロッパの人と、時差もありますし、どんな感じでオペレーションするのがベストなのかは、やりながら調整していくことになるかと思います。

『ファイト』ならではの個性を出す

――今回、これまでロビオで培われたノウハウを活かしたところはありますか?

DING 自分としては、アニメーションの部分ですね。

『アングリーバード』は、キャラクターありきのブランドでもあります。本社には“トゥーンズ”というチームがあり、つねに新しいアニメーションエピソードを作っているんですよ。

彼らが作っているキャラクターの動きかたの定義や、新しい素材を活かして、ゲームの中のキャラクターの表現をリッチにしています。ほかと比べて、個性を持って自己表現をしているキャラクターだなと思っています。

――確かに、バードたちが本当に生き生きと動いていますよね。

DING 本社では、ほかの『アングリーバード』のプロジェクトがたくさん同時に走っています。そこでキャラクターに統一性がないと、皆さんに同じキャラクターとして認知してもらえないですから。

でも、統一とはいっても、作品ごとに特有のテイストというかクセがないと、全部同じになってつまらないですからね。その模索のプロセスがおもしろかったです。

日下部 KITERETSUからも提案させていただくこともあります。スーパーバイザーとしてロビオの方に入ってもらって、みんなでディスカッションしながら進めてきました。

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お互いのコト、どう思っているの?

――両社はクリエイターが中心のメーカーという印象ですが、お互いで共通するところ、新たに発見したところなどはありますか?

及川 KITERETSUさんは、「とにかく速い」という印象があります。弊社だと、本社とのやり取り時に時差の関係もあり、たまにフラストレーションがあるんです(笑)。

でも、KITERETSUさんに伺うと、その場で判断や指示をしていだけますから、そういった意味でのスピード感がありますね。クリエイティブなアイデアもすぐ出していただけますし。すごいな、というのが正直なところです。

日下部 ロビオさんは、エンターテインメントを作っている会社だなという印象が大きいです。グッズも含めて、いろいろな展開をされていて。

自分たちで判断してすべてをやられているというところで、ゲームだけ作っているほかの会社さんとはまた違いますよね。うちもゲームやアニメーションを作っていますので、これは私たちも目指すところです。

フィンランドに伺ったとき、制作の環境とか、役割の明確化とかもそうなんですが、なるべくクリエイトする環境をよくしようとされているなと感じました。意見も、立場の上下関係なくみんなで出しあえるようにしていて、見習わなければと思いましたね。

裁量をなるべく現場に与えているというのを感じました。

DING KITERETSUさんの、このプロジェクトに関わられているメンバーは、ひとりひとりが情熱を持っています。仕事に対して、プライベート的なパッションを持っているというか。

妥協せず、おもしろいことを前提として考えていらっしゃって、コスト重視というよりは、少しでもおもしろくしたいという気持ちを感じました。その考えかたは、自分ともマッチしていて。

また、意思決定のプロセスの中でもロジカルで、決定しやすい組織という印象です。

リリース後はどうなる!?

――本作の今後の展開をお聞かせください。

及川 まず日本を含めたアジアパシフィックでロンチし、そこからグローバルに配信していきます。

ロビオが日本で共同開発した初めてのゲームなので、日本での『アングリーバード』の認知度や、キャラクターブランドとしての魅力度を上げていきたいなと思っています。

いままでの『アングリーバード』と違って、ちょっとやんちゃな“日本発”というところを出していきたいですね。

日下部 ゲームの中ではイベントの企画がいくつかありまして、それをやりながら、ユーザーさんの声を聞きつつブラッシュアップさせていきます。日本式というかレイドバトル的なイベントも、グローバルでいろいろな人が楽しめるものにしていきたいですね。

DING 東南アジア、オーストラリア、ニュージーランドなどでのソフトロンチでは、イベントを開催してからかなりハマっているユーザーがたくさんいらっしゃるようなんです。

及川 私もずっとプレイしていますけど、自分で言うのも変ですが、思った以上にハマっちゃうというか熱くなるんですよね。“ファイト”というコンセプトにマッチしていると思います。

いい意味で奇妙で、いままでとは違う面が出ていると思います。これまでのユーザー層とはまた違った方たちもプレイされているようです。

――最後に、読者にメッセージをお願いいたします。

及川 日本らしいコミュニケーションを含め、ゲーム内のイベント、臨場感のある対人戦、世界を相手にファイトするというリアル感を、『アングリーバード』の解釈でやったらこうなりました。おもしろくでき上がったと思いますので、多くの人にプレイしていただきたいなと思います。

日下部 モチベーションが高いまま遊べて、かつ長く愛されるものにして、イベントや新しい機能をどんどん入れていきたいと、開発スタッフが全力で取り組んでいます。やはり、たくさんの人に遊んでいただきたいですね。

DING 誰でも気軽に対戦を楽しめるので、多くのユーザーさんに対戦の楽しさ、勝ったときの喜びを再発見してもらえたらいいなと思います。

※『アングリーバード・ファイト!』のことをよく知りたい人はこちら

アングリーバード・ファイト!

メーカー
ロビオ
配信日
2015年5月7日予定
価格
基本無料(アイテム課金制)
対応機種
Android、iPhone

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