
RovioとKingのCEOも語った! 新経済サミット2015のモバイルゲームセッションをリポート
2015-04-09 00:08 投稿
モバイルゲーム市場は世界的に増々広がる
2015年4月8日、ホテルニューオータニにて開催された新経済サミット2015にて、Session11”進化し続けるゲーム業界、モバイルゲームはこの先どうなるのか?”という講演が行われた。本記事では、この講演についてのリポート記事をお届けする。
講演のパネラーとして、Rovio Entertainment Ltd. CEO ペッカ・ランタラ氏、グリー株式会社 代表取締役会長兼社長 田中 良和氏、King CEO リカルド・ザッコーニ氏が登壇。モデレーターは、KLab株式会社 代表取締役社長CEO / 新経済連盟 幹事 真田 哲弥氏が務めた。
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各テーマのディスカッションに入る前に、新経済サミット2015に来ている多くの分野の方々に向けて、現在のモバイルゲームマーケットの全体像についての解説が行われた。
その内容は、
・ゲームの歴史はゲーム専用機とともに幕開けし、その後、リッチなビジュアルを追及するコンソールマシンとモバイルの方向性に進んだ携帯機に枝分かれ。そこから、ゲーム以外にも用途があるスマートフォンやタブレットにも普及。また、ゲーム専用機は遊ぶ前にゲームを購入するプリペイド方式であるのに対し、スマホゲームはダウンロードは無料で遊んだあとに必要に応じて課金するポストペイド方式という違いある。
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・モバイルゲーム市場がコンソールゲーム市場を上回り、さらに売上を上げていること。
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・エリア別のマーケット状況から、日本は市場の成長が伸び悩む可能性があるが、海外での売上は今後もますます伸びていき、期待が持てる市場であること。
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・ARPU、MAUなどから現在のモバイルゲームには、カジュアル、コア、ミッドコアという棲み分けを行えること。その中でも、日本で展開されている人気アプリなどはミッドコアに分類されるものが多いこと。
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・日本、韓国、中国、欧米で人気のあるゲームジャンルのトレンドが異なっていること。日本ではRPGがダントツ人気。中国・韓国はオンラインゲーム、欧米はカジノゲーム、シミュレーション、パズルなどのカジュアルゲームが支持されている。
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そしてここからいよいよ本題へ。
テーマ1:Rovio、Kingが世界で成功することができたのはなぜか?
■Rovioの場合
ペッカ氏は、「まずは、素晴らしいゲームを作り出すことにある。これが無ければ始まらないし、終われない。しかし、力を入れたタイトルが果たして成功するタイトルと言えるのか? そこに大きな問題がある。」と説明。「とくにApp Storeでは、72時間に1本のペースで新作がドンドン出てくる中で、成功するタイトルを生み出すのは厳しい状況である」と現在の市場の難しさを述べた。
そこで、Rovioが注力したのがブランド力の向上。素晴らしいゲームを作りだすことができたとき、そこから別IPのライセンスを獲得し、”アングリーバード”ブランドとして展開した。代表的なものとしては、『スター・ウォーズ』のキャラクターになりきった『Angry Birds Star Wars』や、『トランスフォーマー』のキャラクターになりきった『Angry Birds Transformers』など。このようなコラボタイトルにより”アングリーバード”の認知度がより上昇し、ブランドとして展開しやすくなっているとのこと。
いまではさらなる展開としてクロスメディアを進めている。本、アニメ以外にも、いちばん大きいクロスメディアの動きとして、長編アニメ映画を予定している。
そのほかにもブランド力を上げるため、さまざまなゲームジャンルにも足を踏み入れているとのこと。中でもアングリーバードのレースゲーム『Angry Birds Go!』 は、1年間で1億2千万ダウンロードを達成。上記のようなブランド展開によって成功したと言えると語っていた。
■Kingの場合
「Rovioと同じく、クオリティの高い素晴らしいゲームを持つことが大事」と語るリカルド氏。しかし、それを生み出すのは難しいことも把握していたという。ではなぜここまでヒットするタイトルを生み出すことができたのか。その理由を「開発するタイトルをカジュアルゲームに絞ったことが結果に繋がった」と語る。
ではなぜカジュアルに絞ることができたのか? Kingは創業から12年のあいだに200本のゲームを制作。web上にテスト環境を構築し、1チーム3人体制で、低コスト、短期間でいくつものゲームを作ってきた。
その中で、生まれたのが『キャンディークラッシュ』。生み出した後は、成功例にしたがってゲームを作り続けたとのこと。それにより、ヒット作を生み出すことができたという。つまり、成功するモデルを作り、モデルに沿って作品を生み出してきたことがいまのKingに繋がっていると語った。
テーマ2:日本市場にどのように対応していったのか?
■Rovioの場合
CEOのペッカ氏は、Rovioの前は海外大手携帯電話会社NOKIAのマーケティングを担当しており、日本市場への参入の難しさを理解していた。日本人に共感してもらえる作品をどう作ればいいのか? そのためには、絶対に現地企業とパートナーシップを結ぶ必要があると語る。実際にパートナー企業がローカライズを行った『Angry Birds Fight!』という新タイトルを2015年9月頃に展開予定とのこと。
■Kingの場合
「日本はゲーム市場がもっとも進んでおり、プレイヤーの質も高い。現状、日本市場向けマーケティングチームによる市場調査で、ミッドコア、コアを含み、男性をターゲットにしたゲームが数多く展開されており、カジュアルはそこそこといった様子」と語るリカルド氏。
その市場背景ならば、自分たちのカジュアルゲームを提供することで、男性はもちろん、女性にも楽しんでもらえると確信したという。実際、『キャンディークラッシュ』で遊んでいる男女比の内訳は50:50と説明。戦略どおりの結果となった。
さらに、日本向けの施策として、短いスパンで多くのイベントを展開させるライブオペレーションを行っている。こちらも、日本のプレイヤーにしっかり刺さっているとのこと。
テーマ3:日本国内で、ゲームを開発することをどう考えているか?
■Rovioの場合
「日本での開発にはすごく興味がある」というペッカ氏。前述の『Angry Birds Fight!』も日本で開発が進められているという。「日本のプレイヤーは奥深く、そして複雑なゲームを望んでいるようにも思えるので、そういったゲームも作れたらと考えている」とも語った。
■Kingの場合
Kingは、日本国内でゲームを開発する経緯があったとしても、あくまでグローバル展開に重きを置いている。そのため、優れた開発力があるスタジオを求めており、「日本でも協力体制が結べる会社があれば、つながっていきたい」と述べた。
テーマ4:日本企業が世界で成功するには
ここでは、日本企業が世界で戦うために必要なことを、グリーの田中氏、Klabの真田氏がそれぞれの考えを語った。
■グリーの世界向け戦略
田中氏は、「いまがんばっているところなので、あまり偉そうなことは言えませんが(笑)」と前置きしたうえで、「北米、ヨーロッパ向けのタイトルは、北米で開発している」と説明。日本から海外へ、海外から日本へというゲームを開発した経験もあるが、文化の違いがあり、企画のモチーフをひとつとっても、日本からに北米、ヨーロッパ向けのタイトルを作るのは難しいという。そのため、アメリカの会社2社を買収して、300人ほどのスタジオを作り、グローバル展開の下地を作った。人員も現地の人を中心とし、ローカルオペレーションを行っていることを説明した。
最近は韓国のマーケットが日本のマーケットに近づきつつあることから、日本と韓国のスタジオで共同開発も進めているという。
■Klabの世界向け戦略
Klabは、世界を欧米、中韓、日本の3つに分け、それぞれのエリアに適した企画を走らせているとのこと。中韓と日本は同じアジアでも、好まれるゲーム性がまったく異なり、別のゲーム性でないと当たらないということから、このようなブロック分けを行っているそうだ。
しかし、開発をそれぞれの国で行うと、ノウハウの共有が難しいという。そこで、開発は日本を中心に、フィリピン、中国、韓国に絞って行っていると説明。その一例として、北米で流行っているIPであるテレビドラマ『glee』をモチーフに使い、日本のエンジンを使って開発しているとも付け加えた。
テーマ5:今後の市場変化とそれに対する対応について
最後に、今後のモバイルゲームのマーケットはどのように変化していくか? その変化にどのように対応していくかについて3社がそれぞれの考えを語った。
■Rovioの場合
市場の未来は非常に明るいと考えており、開発者のレベル向上、ユーザーの課金に対するハードルの低下、ネットワーク環境の向上など、市場が成長する複数の条件が揃っており、まだまだ大きな産業になると説明。今後はマルチプレイ機能が備わっているタイトルが伸びてくるだろうとも語った。Rovioでも、マルチに対応したゲームの展開も考えているようだ。
そのほかにもクロスメディア展開のほうも引き続き行い、ブランドをより広めていきたいとも説明した。
■グリーの場合
Rovioと同様に、「ゲーム産業はこれから何年かで、さらに大きな成長産業になる」と田中氏。直近では最初の資料にあった通り、中国の市場が伸び、「そのあとはクルマや食品がそうであったように、インド、南米、東南アジアが延びるのは自明の理」と語った。
さらに、スマートフォンはゲーム専用機と異なり、ゲームを遊ぶための敷居は低く、そういった意味でもマーケットは拡大していくと説明。「いまどうするかではなく、10年後を見据えることで会社として、しておくべきこと、作るべきゲーム、費用感なども変わってくる」と述べた。
■Kingの場合
リカルド氏は、「エンターテイメント全体に視野を広げてみてみると、テレビに費やす時間の次にモバイルゲームに費やす時間が多いという検証結果が出ている」と説明し、これは、テレビの視聴時間が減ったのではなく、モバイルゲームに割く時間が増えているのだと分析。
その要因は、モバイルゲームが隙間時間を有効に活用している点にある。モバイルゲームは通勤時間やバスの待ち時間、テレビを見ながらなど、これまで使われなかった時間が使うことで、生活に浸透してきた。
つまり、今後の市場としては、”数分でゲームを遊べて、そして楽しめるモノ”が求められているという。そして、そうしたタイトルは存続し続けて、どんなデバイスでも楽しめる必要がある。「何を、誰と、どこでやるのか? という考えをもって我々にしかできないブランドを今後も展開したい」と締めくくった。
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