開発者向けイベントリポート①:『ブレフロ』×『ログレス』~3桁万DLを超えた後のアプリ展開~
2015-01-21 11:50 投稿
2015年1月15日(木)、新宿・住友不動産グランドタワーで、メタップス主催によるセミナー“Native Gaming Summit 2015 January”が開催された。本セミナーは、マーケット最前線で戦うTOPデベロッパーや、海外展開中のデベロッパーなどが一同に介し、突っ込んだ話をしてもらうという趣旨。
本セミナーは3部に分かれ、第1部では『ブレイブ フロンティア(以下、ブレフロ)』を生んだAlim代表取締役COO、高橋英士氏、『剣と魔法のログレス(以下、ログレス)』のAiming取締役、萩原和之(デベロッパー)、マーベラス取締役、三枝明大(プロモーション)両氏といった、いずれも500万DL超の作品に携わる豪華メンバーが登壇。“『ブレフロ』×『ログレス』~3桁万DLを超えた後のアプリ展開~”のテーマの元、それぞれのマーケティング施策やTVCM、コラボイベント等について語ってくれた。本記事では、第1部の模様をお届けする。
大きかったのは“テレビCM”
ダウンロード数が3桁万台に伸びた理由とは?
まず、この年末年始で国内累計500万DL、世界ユーザー2000万人を突破した『ログレス』の三枝氏に、なぜそこまでDL数が伸びているのかさっそく質問が飛んだ。
三枝氏によると、リリース当初は、スマホゲームとしては新しいジャンルである“MMORPG”である同作を、“取っ付きにくい”と感じるユーザーが少なくなく、DL数が伸び悩んだそうだ。しかしリリース約3ヵ月後の100万DLあたりから、徐々にコミュニティが広がり、PC等で同ジャンルのゲームをプレイしていたユーザーが入ってきて、そこからDL数が上昇。
ネットワークやリワード(注:成功報酬型広告)によるプロモーションもコツコツ続けてきたが、「いちばん伸びたのが、やはりTVCMです。ここが非常に大きかったところ」と三枝氏。2~300万DLを過ぎたあたりを漠然としたタイミングとして想定し、そこでタイミングを逃さずにTVCMによる広告をかけたところ、それまでの伸び率が2~30%だったのが、ほぼ直角になり、現在の人気につながったのだそうだ。
一方の高橋氏もプロモーションの重要性を強調。ビッグプロモーションであるTVCMをかけるタイミングについては、“適切にリワード広告を打ち、タイトルがつねにファストビューにい続けられている時点”とのこと。両社とも、広告効果としてTVCMがもっとも大きかったという点で一致した。
また、そこまでコストをかけずに、通常のプロモーション手法で100~200万DLを“自浄作用”で突破できるコンテンツは「大きくプロモーションをかけていっても、そんなにハズれずに伸びる」と高橋氏。最低限のプロモーションで100~200万DLを超えることができるコンテンツこそ、より大きなプロモーションで勝負をかける価値があるということだ。
『ログレス』、『ブレフロ』両作とも、リリース後1年を超える作品になっている。新規ユーザーの獲得状況については、TVCM等、露出がある期間とそうでない期間の差は歴然で、何かしらアクションを起こさないと、ユーザー数をなかなか獲得できないと両者口をそろえた。
『ブレフロ』×『ログレス』
タイアップ企画による両作への影響効果は?
続いて、昨年末に実施された両作のタイアップ企画による効果の話へ。
萩原氏によると、“MMORPG”というジャンルこそ共通していても、ユーザーベースとしては両作とも関わりあいがなかったため、良い形でユーザーの交換ができ、両者“win-win”の格好となったとのこと。
これに対し、高橋氏はこれまで、タイアップ企画をビジネス的なものととらえておらず、『ブレフロ』内で相手側のシリアルコードを配布したり、コラボガチャを実施するといった、ユーザー流入の施策を実施したことが一度もなかったそうだ。
そんな中で、昨年末に『ログレス』とコラボを実施。上記のシリアルコード配布を初めて行ってみたところ、思いのほか反響が大きく、新規流入のユーザーが倍増といってもいいくらいに増加したそうだ。「やっぱりそういうやり方をすれば、顧客の流入というのは大きいと感じます。やり方次第だと思います」(高橋氏)。
“win-win”の結果になったと両者口をそろえた。
プロモーションは“一度にまとめて”
人気を知って復帰するユーザーも
最後に、TVCMや交通広告等、WEB広告以外での効果について。
萩原氏は、交通広告、WEB広告、リワード、さらにTVCMと、それぞれを小出しにするのではなく、予算があるうちは、一度に全てを出し“みんなでやってる感”を演出することが重要だと語る。ただし、それもタイミングが大切で、ある一定の“期待値”を超えたら、勝負をかけようという約束事がAiming・マーベラス両社にはあったそうだ。
そしてその期待値を超えたら一気に勝負をかける“覚悟”もとても重要だと語る。結果、『ブレフロ』は500万DLを突破。新規ユーザーはもちろんのこと、“TVCMをやるほど有名になったのか”と、かつて同作を遊んでいたユーザーが“復帰”することも少なくないのだとか。
「DAU(注:その日にアプリを起動したユーザー数)のペースが新規が入ってきた以上に上がっているというのは、復帰が多かったんだろうなと思います」(萩原氏)。
第1部の締めくくりには質疑応答の場が設けられた。ビッグプロモーションをかけるタイミングについての質問では、具体的なKPI等は企業秘密としながらも、ガラケー、スマホ、コンシューマーと全てにおいて指標を持っていると三枝氏。
具体的な数字を聞かれると、「何か聞こえましたか?」(三枝氏)と周囲を見渡し、会場は笑いに包まれながら第1部は幕を閉じた。次回は、“日本ゲーム企業の海外展開について”がテーマの第3部の模様をお届けしたい。
(斎藤えいこう)
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