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突如発表された『拡散性ミリオンアーサー』 サービス終了の真相を訊く

2014-12-26 17:30 投稿

ファン驚愕の急展開、その真意とは!?

本日(2014年12月26日)に突如発表された、iPhone、Android版『拡散性ミリオンアーサー』(以下、『拡散性』)サービス終了の一報。

スマートフォンのゲームアプリを代表する人気作である『拡散性』。一時期はセールスランキングの上位に居続け、ここ数カ月は順位を落としていたものの、なぜこんなにも急な配信終了発表となったのか。

本作のキーマンであるスクウェア・エニックスの安藤武博氏、岩野弘明氏のふたりに直撃した。

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――まず、『拡散性』が終了することになった率直な理由を教えて下さい。

岩野弘明氏(以下、岩野) いまだからお伝えすると、もともと『拡散性』を配信する前後で、とあるどうしようもない事情からコアスタッフが抜けたんです。その状態で運営を続けていき、ありがたいことにヒットはしていたのですが、それ以降に新しい展開や盛り上げ施策を行おうとしても、うまく運営ができずにいました。

――そんなことがあったのですか。

岩野 コアスタッフが抜けてしまったがゆえに、核となるプログラム部分がブラックボックスのようなものになってしまい、それを手探り状態で更新していたんです。それをなんとか打破しようと考え、運営1年後のタイミングでいまの運営会社に移管をしました。そのタイミングでプログラムを1から作り直そうという話もあったんですが、通常の運営をしながら並行して新規でプログラムを作るのは思った以上の難易度で、想定していた作りにはなりませんでした。結果、運営のしやすさはさほど変わらない状態で、新しい仕組みを取り入れることも難しくなっていました。そのような大きな壁にぶつかったことが、ひとつの要因です。

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▲スクウェア・エニックス 第10ビジネス・ディビジョン プロデューサー 岩野弘明氏

――”ひとつ”ということは、そのほかにも原因があったと?

岩野 もうひとつは、そんな状態がゆえに運営の体力も厳しいものになっていたことです。もともと『拡散性』はいわゆる旧来のカードソーシャルがベースのゲームで、加えてアプリだったためイベントの多彩さやスピードを出しづらいゲームでした。そこに最新型のタイトルがどんどん出てくるなかで、それらについていくための運営体制を保てず、『拡散性』の勢いがどんどん下がっていた。ちょうどサービス開始から2年目あたりに、そういう現象が顕著に出始めていました。さらに、先月(2014年11月)配信した『乖離性ミリオンアーサー』に対する『拡散性』のお客様の反応が、ありがたいことに想像以上によくて、それを見たとき、いい区切りなんじゃないかと最終決断をしました。

――実際、『拡散性』のユーザーが『乖離性』に流れることはありましたか?

岩野 かなり多いように思います。数字だけ見ていると当初想定していた以上でした。

安藤武博氏(以下、安藤) ただ、ひとつお伝えしておきたいのが、本来『乖離性』が出たからと言って、スマートフォン版の『拡散性』を終わらせる予定はまったくなく、このような形、タイミングで終わるということは想定していませんでした。完全に誤算です。言い訳がましくなってしまいますが、想定していたのなら、拡散性をベースにしたドラマの『実在性ミリオンアーサー』を仕掛けることもないですから。

――直近では10月の3DS版や11月のAmazon版などの展開もありましたよね。

安藤 我々としては、スマートフォンゲーム業界で誰もが成し遂げていない“シリーズタイトルの1と2を平行運用する”ことを目指していました。例えば、『リネージュ』や『ディアブロ』、『ファイナルファンタジーXI』と『ファイナルファンタジーXIV』のような形で、両作を続けて行きたかった。

――先ほどの岩野さんのお話にあったように、『乖離性』が配信されることで、『拡散性』ユーザーが『乖離性』に流れることは想定されていましたか?

安藤 もちろん『乖離性』が出ることで、『拡散性』のお客様が徐々に『乖離性』へ移行していき、将来的に『拡散性』が発展的なクローズをしていく……という流れは想定していました。ですが、今回のタイミングでのサービス終了は私の力不足による自爆みたいなもので、“両方やりたかった”というのが前提にあったことは事実です。

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▲スクウェア・エニックス 第10ビジネス・ディビジョン(特モバイル二部) ディビジョン・エグゼクティブ兼プロデューサー 安藤武博氏。

――ということは、『乖離性』が『拡散性』の受け皿のような存在になる構想はあったのですね。

安藤 将来的にというレベルでした。そもそも『乖離性』は『拡散性』の運営で学んだ教訓を活かして作った作品なので、かなり自信を持ってリリースしています。『拡散性』で一回信用をなくしてしまっているので、今回も駄目かもしれない。そんな想いもあったのですが、こうして『乖離性』が支持されている現状をとてもうれしく感じています。

――同じシリーズ作で前作が不評だと、ふつうは不信感を抱きますよね。

安藤 一回まずいものを食わされた店に、進んで二度も行かないですよね。それでも今回はお客様が足を運んでくださった。みなさんの温かさに支えられて盛り返せたこともまた、ひとつの予想外というか、お客様に救われたところです。

岩野 もともと“『拡散性』の運営はクソだ”という評判があったんですよ。それがどんどん伝播していって、多くの方の中に悪いイメージが植え付いてしまっていた。そんな状態で『乖離性』をスタートさせてみたら、「あれ? 運営いいじゃん」って雰囲気になっていて。お恥ずかしいお話ですが、そこも予想外に救われた部分です。

――ユーザーの中で運営に対するハードルが下がっていた、と。

岩野 そうですね。『乖離性』の運営に不満を持たれている方に対して、もともと『拡散性』を遊んでくださっていたお客様が「なに言ってるの? 『拡散性』に比べたらスゲェいいよ」って諭されているのもネットの書き込みなどで見つけました。本来なら不満が出ないようにしなくてはいけないのですが、リリース間もないこともあり不具合も多く……。ただ、マイナスからスタートして、そのギャップでお客様が来てくださった部分もあると思いますので、そこは素直にありがたいと思っています。

安藤 フラッグシップとして存在するスマホ版で多くのことを学んだので、その後続くPS Vita版や3DS版、『乖離性』では、同じようなプロジェクトの中止を考えるほどの重篤なトラブルは起きていません。むしろとても好調で、本当にありがたいと思っています。スマホ版の『拡散性』は、最後の最後までプロデュースの力不足で挽回できなかった。その場その場ではベストな選択をしたつもりだったのですが、いま思うと悪い部分も多かったです。

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――悪い部分とは、具体的にどのような部分でしょうか?

安藤 大きなところとしては、移りゆくトレンドの中で生まれた”こだわり”が自分の首を絞めていたのだと思います。『拡散性』をリリースした頃は、まだまだスマゲ自体の制作、運営方法が一通り確立されておらず「ここはこうだろ!」っていう主観や気持ちで熱くなる部分がありました。それはランキングトップのタイトルを作り出す人たちから対談などを通して受けた影響や、自身の経験をもとに形成された”こだわり”が大きく起因している意見です。そのこだわりが判断を鈍らせ、結果足元をすくわれてしまった。 もっとフラットな目でタイトルやお客様に向き合うべきでした。

――自分の中にあるこだわりによって視野が狭まっていた、といったところでしょうか。

安藤 そうですね。あと僕が特モバイル二部という部署を立ち上げたときに掲げたスローガンで、“FAST ONLY ONE, MOST”というものがあります。これは、“誰よりも速く、誰もが作ったことがないものを、誰よりもたくさんつくる”というものです。『拡散性』が売れた2012年くらいの頃は、多産多死がありえた時代でした。これに則ってチャレンジし続ければ、そのなかからヒットもでるだろう、と。思い返せば、そのときに多産多死を選ばなかった人たちが勝ち残ったわけなんですよね。

――1作品に集中すべきだったということですね。

安藤 はい。この2年間で、とくに岩野は『オカルトメイデン』や『唯一性ミリオンアーサー』などを出しています。『拡散性』のマルチプラットフォーム展開も含めると、ひとりで10本くらい作る状況になっていた。その一方で、ガンホーの山本(大介)さんがなにをしていたかというと、ずっと『パズル&ドラゴンズ』を作られていた。スマホはもちろん、コンソールやアーケードなど着々とIPとしての地固めと広がりをつくりながら。選択集中の部分で明暗がわかれたんですよ。

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――多産多死も辞さない方針に舵を切ったことで、どのようなことが起こったのでしょうか?

安藤 かつてKONAMIの兼吉(完聡)さんとのインタビュー(※ファミ通App NO.007 Android、ファミ通App NO.008 iPhoneに掲載)で、「『拡散性』で売れた分のお金は新作に回してます」と言ったとき、お客様からの反感を物凄く買いました。あれはすごく不用意な発言だったと反省しています。で、『拡散性』の売り上げで新作を作った結果どうなったかというと、『拡散性』はもともと手負いだったのにさらに薄くなっていき、時間のリソースも割くことになってしまった。いいことが全然ないんです。『拡散性』で稼いだお金は『拡散性』に還元するべきだったんです。

――なるほど。そのあたりの組織体系の改善などは既に行われているのでしょうか?

安藤 現在は岩野も『乖離性』一本に絞っていて、スピード感を持って動けるよう多くの人員も割いています。PS Vita版や3DS版の『拡散性』もそれぞれプロデューサーを立てて、万全の体制で運営しています。

――スマホ版がサービス終了になることを受けて、PS Vitaと3DSも終了になる可能性はあるのでしょうか?

安藤 やめません。いずれも相当数のお客様がいらっしゃいます。スマホ版は想定外の形でサービス終了となってしまいますが、先ほどお話したように”シリーズタイトルの1と2を平行運用する”という前提は変わりません。

――ちなみに、サービスの終了自体はいつ頃を予定されているのでしょうか?

岩野 2015年3月末です。それに向けて2014年12月27日(土)からサービスの一時停止と、メンテナンスを行います。その後、2015年1月19日(月)にサービスを再開します。具体的にどうというのは決まっていないのですが、お金を使わなくてもいままでの”拡散性ワールド”を楽しんでもらえるイベントを投入する予定です。また、2015年1月30日(金)にミリコインの販売も終了します。そこから2ヶ月間は手放しで遊べるようになっていき、ベストなフィナーレを作り上げていこうと考えています。

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――これまでのユーザーに対するサポートはどのようなものを予定されていますか?

岩野 『拡散性』のお客様の多くに『乖離性』も遊んでいただけているので、『拡散性』で積み上げてきたものに応じて、『乖離性』で活用できるアイテムなどをプレゼントしようと思っています。また、PS Vita版、3DS版、Amazon版の『拡散性ミリオンアーサー』で新たにプレイしたいという方向けにも、なんらかの特典を差し上げるべく検討中です。

――具体的にはどういったものになるのでしょうか?

岩野 『乖離性』についてはおもにカードですね。例えば絵的に反映しやすいものです。キャラクターは『拡散性』のメインどころを考えています。

――それだと「『拡散性』をプレイしていた人だけが得をしている」と、『乖離性』ユーザーから意見が出そうですが?

岩野 そうならないように、“先行でプレゼント”という形にします。つまり、あとから『乖離性』のゲーム内に登場するけれど、『拡散性』のプレイヤーには先に差し上げます、という。

――なるほど。コアな現役プレイヤーに向けて、今回の結果に至ってしまったことについてコメントをお願いできますか?

岩野 今回の決断を下すにあたって、“ミリオンアーサーワールドを100%、120%と、より濃い味で味わってもらいたい”という想いが前提にあります。そんな想いから、『乖離性』1本にしようと決めました。『拡散性』、『乖離性』の2本に分けてしまったことが、『拡散性』の落ち込みにもつながったと思っていますので、このまま続けてしまうことは、いま熱心にプレイしていただいている方に失礼だと思ったんですね。これはあくまでも僕の気持ちなんですが、僕としては100%のミリオンアーサーをお届けしたかった。ならば、『乖離性』1本に絞って、そこで十分に楽しんでもらえるものを作りたい、と。

――ユーザーは別のタイトルで同じゲーム体験ができるか不安に感じていると思います。そのあたりはいかがでしょうか?

岩野 タイトルは変わりましたが、『拡散性』のキャラクターを登場させたいと思っていますし、今後はメインキャラクターたちとの絡みも出てくるような展開にしたいと考えています。場所は変わりますが、『拡散性』のお客様が同じ世界観を楽しんでいるんだと実感できる空気作りを、『乖離性』で目指していきます。

――『乖離性』から”ミリオンアーサーワールド”に入ったユーザーも『拡散性』を楽しめるものが出ると?

岩野 『乖離性』にはサブストーリーの仕組みもあるので、アプリ内スピンオフじゃないですが、『拡散性』のキャラクターを主人公に据えたお話を『乖離性』で展開できないかと考えています

安藤 イメージ的にはそうなんです。ストーリーとしてのつながりもありますし、世界観を連動できるものが必要だと思います。

――”ミリオンアーサーワールド”の拡張という点では、『拡散性』のサービス終了とともに開発中止が発表された『デッキメイクミリオンアーサー』(以下、『デッキメイク』)についてもお伺いしたいです。こちらはどういった経緯で開発中止になったのでしょうか?

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▲『デッキメイク』発表時のロゴ。

安藤 『デッキメイク』でやりたかったことは『乖離性』にほぼ集約することができて、存在意義がなくなってしまった。それが最大の理由です。そもそも“往年のソーシャルカードゲームの様式を採った『拡散性』をベースに、戦略性の高いTCGのようなカードゲームを作る”というコンセプトは、『デッキメイク』も『乖離性』も同じでした。『乖離性』のクオリティを上げていくなかで、『デッキメイク』でやりたいと思っていたことが『乖離性』にすべて内包されてしまった。そのため開発中止というニュアンスよりは、吸収合併のようなイメージです。

岩野 キャラクターはとてもいいし、声優の方々にも素晴らしい演技をしていただけていたので、『乖離性』のどこかで『デッキメイク』のキャラクターは出したいと思っています。『ミリオンアーサー』シリーズ作品はすべて同じ時系列にあるので、『拡散性』の今後の展開同様、アプリ内スピンオフで出せればと。

安藤 そうした意味でもフラッグシップ(=『乖離性』)にまとめてしまおうという考えですね。

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▲『デッキメイク』に登場予定となっていたキャラクター。

――細かいところですが、『デッキメイク』が発表された際に主題歌も発表されていましたよね。あれはどこかで使われる予定はあるのでしょうか?

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岩野 『乖離性』でアプリ内スピンオフを行う場合、サブストーリー的な見え方とはいえ、『乖離性』とは違う主人公のお話になります。なのでクエスト中や戦闘中の盛り上げ曲として使いたいなと思っています。KOTOKOさんの歌がボス戦などで流れるような仕掛けも作りたいですね。

――ちなみに、もともとiPhoneでプレイをしていて、PS Vitaや3DS、Android端末を持っていない人は、今後『拡散性』のメインストーリーを読みたいと思ったら、新たにデバイスを購入する以外、道はないのでしょうか?

岩野 その点は既に検討しています。『乖離性』から公式Webサイトに飛べるようにして、そこに掲載するのがいちばん見やすいかなと考えています。『拡散性』でやっている『弱酸性ミリオンアーサー』のような入口を作って公開したいですね

安藤  『拡散性』のアプリ内でお客様にご覧いただいた寸劇と、まったく同じ動きで観れるといいよね

岩野 それはできますね。

安藤 じゃあ、それはやろう!

『乖離性』に秘められた進化に今後も期待

突然のサービス終了に多くのユーザーが衝撃を受けたのは事実。とくにいまも『拡散性』を熱心にプレイしているユーザーにとっては寝耳に水。そのショックは計り知れない。

今回のインタビューを踏まえ、今後どのような形で『拡散性』のユーザーをフォローしたうえで、『乖離性』がどのような進化を遂げ、従来の『拡散性』ユーザーを満足させてくれるのか。

カウントダウンが始まった『拡散性』の結末と、『乖離性』の展開に期待したいところだ。

文:深津庵

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乖離性ミリオンアーサー

メーカー
スクウェア・エニックス
配信日
配信中
価格
無料(アプリ内課金あり)

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