新情報が続々!『INGRESS』生みの親 ジョン・ハンケ氏に突撃インタビュー

2014-12-15 18:37 投稿

そもそも『INGRESS』って何さ

『INGRESS』とは、スマートフォンのGPS情報による位置情報を駆使したリアルタイム・オンラインゲームのこと。”レジスタンス”と”エンライテンド”というふたつの勢力のいずれかに所属し、地球規模でいわゆる”陣取りゲーム”を行っていくというもの。Googleの社内スタートアップ“ナイアンティック・ラボ”が開発・運営している。

AR(拡張現実)的な味付けが印象的で、世の中に実存するランドマーク(駅や郵便局、彫像、記念碑など)を”ポータル”として設定し、世界中のプレイヤーがそれぞれの陣営の勢力拡大のために、ポータルを奪い合う。これまでのゲームのように屋内でプレイするのではなく、実際に屋外に出て陣取りを楽しめちゃうという、とんでもない作品なのだ。

本作の詳しいルールは、幅 朝徳さんの「ひらけ!ブラックボックス」を参照してね!

史上最大規模のイベントでジョンとコンタクト

さて、そんな『INGRESS』史上最大規模のイベント“Darsana Tokyo”が、2014年12月13日に実施された。

指定された地域を舞台に、“レジスタンス“と“エンライテンド”両陣営が、ポータルと呼ばれるポイントの争奪戦を行い、全4戦から勝敗を決める大きなイベントで、『INGRESS』の人口が多い東京に世界中のエージェントが集まることから、史上最大規模のイベントになると予想されていた。

今回は、そんな世界規模な『INGRESS』のエージェントである深津庵が、本作の生みの親であり、“神”とも言われるジョン・ハンケ氏に、ファミ通Appを代表してインタビューを決行。

そのすべてをリポートするぞ!

[これはダルサナ東京が開始されたあと、午後2時45分から始まる]

ジョンはエンライテンド側だった

深津庵 開幕からズバリ伺います。イベント会場では中立だと語っていましたが、レジスタンスとエンライテンド、実際はどちら側でプレイされていますか? ちなみに私はレジスタンスです。

ジョン (何も言わず、ニヤリと笑ってテーブルの緑の手袋に触れる)

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▲さりげなく置かれていたので気づかなかった。「この場は穏やかにいきましょう」と深津。

深津庵 ふだん、どのくらいエージェントとして活動されていますか?

ジョン おもな活動は通勤中です。サンフランシスコの東側のほうに住んでいるので、自宅から自転車でフェリー乗り場まで行って、そこからフェリーでサンフランシスコの街へ。会社までの通勤移動中にずっと活動しています。

深津庵 フェリーでの通勤中、印象的なポータルはありますか?

ジョン 非常に気に入っているポータルはあります。水中にあるポータルなんですが、フェリーに乗らない限りそこになかなかアクセスできない。だから毎朝通勤途中のフェリーを使って巡っているんです。

深津庵 水中にあるポータルというのは実際にはどういう?

ジョン 水中というか実際にはその、海岸沿いにあるクレーンですね。船に荷を積み込む大きなクレーンのある波止場があって、そこに近づけるのがフェリーなのです。

深津庵 活動は通勤途中だけですか?

ジョン 毎日ではないですがランチ休憩中にも活動します。ちなみに、今回のダルサナのような大きなイベントには、みなさんと同じ立場のエージェントとして参加していますよ。

新たなメダルを見せてもらった!

深津庵 今後、新しいメダルを追加する予定はありますか?

ジョン YES! じつは来週の月曜日に新しく3つのメダルを発表する予定です。もしよければその情報をお見せしましょう!

深津庵 い、いいんですか!?

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▲発表前のメダルをお披露目してくれた川島さん。

深津庵 あ、これ! じつは、今日お聞きしたかったことのなかに、“総移動距離”とか、大きいコントロールフィールド(3つのポータルで結んだ領域)を取ったときに得られるメダルがあったらいいなと思って、提案しようと考えていたんですけど、まさか……。

ジョン そうです。これ、名前がTrekker(トラッカー)というもので、歩いた距離に基いて授与されるメダルです。

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▲これで歩く意欲が2倍、3倍に。思いがけない形で欲しかったものが飛び出した!

ジョン あとそれ以外にもうふたつ。ポータルに対してMOD(ポータルを守るアイテム)を適用しする場合に授与されるEngineer(エンジニア)。

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ジョン そして、MISSION(エージェント自身が作成できるミニゲーム)を達成したときに授与されるSpec Ops(スペックアップ)というメダルです。

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ジョン MISSIONに関しては私自身も非常に興味を持っています。MISSIONを作るとプレイヤーの方々がクリエイティブな形で、いろいろな場所に足を運んでくれますよね。
ふだんとは違う感覚でそういった場所に行き、クリアーを目指しながら現実世界を楽しんでもらえているということで、非常に嬉しく思っています。

深津庵 MISSIONの数もどんどん増えていますよね。

ジョン 東京にあるMISSIONはおそらく世界でも最多だと思います。

『INGRESS』初のポータルとその出会い

深津庵 私自身、『INGRESS』をプレイすることで、これまで気づかなかったオブジェや公園などたくさんの発見があり、世界の見え方が大きく変わりました。ジョンさんも日々のエージェント活動のなかで新たな発見、出会いなどはありますか?

ジョン 『INGRESS』を作った当時。ゲームとして位置情報をベースにしても、どういったゲームになるかはっきりとは決まっていませんでした。いろいろと考えていたのですが、いいものが浮かばないなか、サンフランシスコや、オフィスの周りを歩いてみることがあったんですね。

そのとき、あるオフィス街のビルの間に小さな公園を見つけたんです。偶然訪れたのですが、この公園には芸術作品が展示されていた。知っていなければ、なかなか訪れることはないかもしれないですよね。そこで、その芸術作品の写真を撮影しました。これが『INGRESS』として、初めてのポータルになり、当時のプロトタイプとなったのです。

ちなみに、オフィスビルを建築をするとき、少しの面積だけ公園を作らなければならないという規制がサンフランシスコにはあるのですが、作る側は必ずしも使って欲しくはないという事情もあり、ちょっと見つけにくい場所に作られることも多い。そういった意味で非常に貴重なものを発見できる、ひとつのきっかけになっていると思います。

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▲『INGRESS』が動き出したその瞬間を丁寧に語ってくれた。

ジョン あともうひとつ、印象に残った出会いがあります。私の家の近所に、小川のある公園があって、『INGRESS』をプレイしながら写真を撮ったりしたのですが、公園のなかに標識みたいなサインがあるのに気づいたんです。その標識には写真がついていて、Mark Twain(『トム・ソーヤーの冒険』の著者)のことが書かれていたんですね。

彼は有名なアメリカの小説家ですが、20世紀初頭に彼がその公園に来ていて、まったく同じスポットを私自身が立っていることが非常におもしろいな、と。

宇宙旅行ができるようになれば!?

深津庵 さきほど通勤途中にある波止場近くのポータルについて伺いました。“手に届きにくい場所”ということで突拍子もない質問ですが、今後、月や太陽など、いつかひとが行くかもしれない場所にポータルを立てることはできるのでしょうか?

ジョン あははっ! そうですね。いつか火星に引っ越したらぜひ、ポータルができることを希望しています(笑)

噂の真相を聞いてみた

深津庵 ストーリーについての質問です。エンライテンドのリーダー、ローランド・ジャービスは暗殺されたあと、オリバーリントンウルフ博士の手によって13のパーツにされ、ポータルネットワーク内を彷徨いました。その後、エンライテンドのエージェントが破片を回収。肉体を持って復活を果たしますが、髪の破片はレジスタンスに奪われたためハゲている。そんな噂もありますが、将来、ストーリー的に彼は髪を取り戻すことはあるのでしょうか?

ジョン (大爆笑)ちょっと、どの部分のピースが欠けるかっていうのは不明ですが、13のうち8個しか回収できないんです。なので、髪の毛だけでなくほかの部分もきっと欠けているだろうと思いますので、ポータルでぜひ、ジャービスに聞いてみてください(笑)。

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▲とても個人的な疑問にも優しく解答してくれたジョン氏。

今後も企業との連動はあるのか?

深津庵 ローソンと共同プロモーションとして、日本中のローソンにポータルが立ちました。今後もこのような形で企業と連動した新しい動きはあるのでしょうか?

ジョン アメリカでいうとジップカーとか、ジャンバ・ジュース。ドイツですとボーダフォンとの共同プロモーションを行ってきました。今後も、ゲームとしてうまくフィットするものであれば、十分にそういったスポンサーとの連動はあると思います。

ローカライズはされないのか?

深津庵 『INGRESS』の世界観を考えると、基本設計は現状のままでいいと思うのですが、設定メニューだけでも日本語化してもらえると、これから始める新人のエージェントはより遊びやすくなると思うのです。いずれはローカライズの予定はありますか?

ジョン チュートリアルやユーザーインターフェースの部分に関するローカライズのフェーズ1は完了しています。今後、フェーズ2の段階で、メニューもローカライズしますよ。さらにフェーズ3も予定していて、ローカライズはそこで完了します。また、コミックブックのバックストーリーもローカライズしまして、Google PlayやKindleストアで入手可能ですし、小説も翻訳する予定しています。

深津庵 ローカライズが進んでいるとわかれば、いまは尻込みしているプレイヤーや、始めたもののルールがわからないエージェントも安心して遊べますね。

ジョン 楽しみにしていてください!

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インタビュー:深津庵(ライター)
撮影:あしたづひむ(マンガ家・イラストレーター)

Ingress

メーカー
Google, Inc.
配信日
配信中
価格
無料
対応機種
iOS 7.0 以降。iPhone、iPad および iPod touch 対応。 この App は iPhone 5、iPhone 6 および iPhone 6 Plus に最適化されています。Android 2.3 以上

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