【ひらブラ vol.42】Google社のゲーム「イングレス」でダイエットしてみた(その1)

2014-11-07 12:00 投稿

もう11月、さすがに朝晩の冷え込みが気になってきたので、クローゼットの奥から薄手のコートを引っ張りだしてきました。気温や空調と相談しながら体感気温をコントロールするのはけっこう難しいものです。体調を崩している方も多いようですので、読者の皆さんもどうかお気をつけ下さい。

先週までは2週にわたり「ボルテージ取材スペシャル」でお送りしてきた ”ひらブラ” ですが、今週から再び通常営業に戻ります。

さて今回は、ボクがいまハマっているゲーム「Ingress(イングレス)」について触れてみたいと思います。

Ingress_icon
▲Google社「イングレス」のアプリアイコン

Ingress、ご存じですか?

ファミ通Appの記事を検索してみても、ほとんど関連記事がなかったので(小宮元年さんがココで少し触れています)、ひらブラで紹介してみようと思い立ちました。

Ingressは、Google社の社内スタートアップ・プロジェクトであるNiantic Labsが開発運営するスマホ向けのゲーム。当初はAndroidのみ対応でしたが、今はiPhoneアプリもリリースされています。この11月で、サービス開始からちょうど2年目を迎えます(ベータ期間を含む)。…わりと歴史のあるゲームなんですが、実はボクも最近まで知りませんでした。

ひとことでは説明しにくいゲームなのですが…

簡単に言うと、スマホのGPS情報による位置情報を駆使したリアルタイム・オンラインゲームです。AR(拡張現実)的な味付けがポイントで、世の中に実存するランドマーク(駅や郵便局、彫像、記念碑など)を「ポータル」として設定し、世界中のプレイヤーが「レジスタンス」と「エンライテンド」という2つの勢力のいずれかに所属しながら、いわゆる”陣取りゲーム”を行うというものです。

ゲームの最大の特徴は、スマホを片手に「実際にポータルのある場所まで行かなければならない」ということ。

こうしたコンセプトのゲームですぐに思い出すのは、日本が誇る”位置ゲー”の「コロニーな生活(株式会社コロプラ)」です。同作で培った位置ゲーに特化した技術やノウハウを標準化し、オープンプラットフォームとして提供したことでも話題になりました。

コロプラ

メーカー
COLOPL, Inc.
配信日
配信中
価格
基本無料(アイテム課金制)
対応機種
iOS 4.3 以降。 iPhone、iPad Wi-Fi + 3G、iPad 2 Wi-Fi + 3G、iPad Wi-Fi + Cellular(第3世代)、iPad Wi-Fi + Cellular (第 4 世代)、iPad mini Wi-Fi + Cellular、iPad Air Wi-Fi + Cellular、iPad mini 2 Wi-Fi + Cellular、iPad Air 2 Wi-Fi + Cellular、およびiPad mini 3 Wi-Fi + Cellular に対応。 この App は iPhone 5 に最適化されています。 Android 要件 2.2 以上

以前、ひらブラでも「ストリートビューの斜め上」というエントリで、Google Mapを使ったゲーム“的”な体験について少しご紹介しましたが、この「Ingress」はまさにGoogle Mapを擁するGoogle社によるゲームそのものとなっています。

提供企業がGoogleということで、お察しのとおり、現時点では「完全無料」で遊ぶことができます(この点にはまた後で触れます)。

ボクとIngressとの出会い

そもそも、ボクがIngressに興味をもったのは、たまたま目にしたこのニュース記事がきっかけでした。

岩手県のIngress活用、第1弾は11月9日に「街歩きイベント」を実施
日経NETWORK 2014/10/24掲載(ITpro by 日経コンピュータ)

この記事を読んだときのボクの正直な感想は「まったく意味がわからない…」でした。

「市内にポータルを増やすために活動」
「ポータルの数が多いほどゲームの面白さは増す」
「観光振興などに活用するには(盛岡市内はポータルの数が)心もとない」
「ゲームを楽しみつつ、ポータル申請などの活動をする」
※上記記事内での一節(カッコ内は筆者による補足)

岩手県が町おこしのためにIngressというゲームを活用する、という大局は分かるのですが、記事に書かれていることの大半が理解できません(汗)。

Ingressをある程度理解している今は、このイベントの狙いや記事の内容がよく解るのですが、当時はまったく意味が分かりませんでした。

そして、自分の身近な知人にもIngressを楽しんでいる人が増えてきたので、ダウンロードして遊んでみることにしました。

でも、アプリをインストールして立ち上げてみても、何をしたらいいのやらサッパリ理解できません。チュートリアルもあるのですが、かなり分かりにくい(あえて狙っている部分もあるのだと思います)。

そんなときに、Ingressを理解するうえでとても役に立ったのが、下記のムービーでした。

たった6分ほどのムービーですが、Ingressのほぼ全てのルールと遊び方が集約されています。

野外で地図上に記された目印をたよりに各地点を巡っていく。なんとなく懐かしい感覚だと思ったら、「オリエンテーリング」とすごく似ている遊びであることに気付きました。両者の違いといえば、Ingressには明示的なゴールが存在しないことや、2大勢力に分かれての陣地取りという要素が付加されていることでしょう。

オリエンテーリングでは、紙の地図とホンモノの方位磁石(コンパス)を持参しますが、もはやこの2つはスマホの標準機能となっていることは皆さんも御存知のとおりです。歴史と定評のあるとてもプリミティブな「遊び」を、GISとクラウドとモバイルで実現したというわけです。

実際にIngressの開発者に聞いたわけではありませんが、Ingressのゲーム画面が非常にシンプルでサイバーで必要最小限なのは、オリエンテーリングにおける「必要最小限の地図とコンパス」というコンセプトへのオマージュではないかと思っています。

そして、一見不親切にも見えるそのゲーム画面は、「スキャナー端末である」というIngress上の”ゲーム設定”によって補足説明されており、ゲームの世界観を盛り上げることにも一役買っています。そもそも、一目見ただけでドラゴンボールに出てくる「ドラゴンレーダー」を想起した方は、きっとボクだけではないと思います(笑)。

ingress_shot_01
▲岩手県同様にボクの住んでいる地域もポータルが不足気味…(涙

おっと、Ingressとは何なのかを紹介するのが今回のエントリの狙いではないので、ビビっと来た方は、ぜひインストールして試してもらえればと思います。百聞は一見にしかず(記事の最後にダウンロードリンクを用意しておきました)。

ただ、その際は家やオフィスで寛いでいるときではなく、すぐにでも散歩にでかけられる状態で起動することをオススメします(身動きできないと、本当に何もできないアプリなのでw)。

驚くべき“実益”の伴う、Ingressゲーム体験

先述のとおり、リアルワールドとの連動がキモであるIngressですが、10日間ほどプレイしてみて、驚くべき「副効能」があることが分かりました。

それは、ずばり、ダイエット(減量効果)です。

ジョギングやウォーキングの場合、その継続時間が重要になります。運動負荷にもよりますが、継続時間が長ければ長いほど、消費カロリーも増加します。

でも、厄介なのが、モチベーションコントロールと習慣化の問題。かなり意志が強くないと、一定の負荷量を継続的に続けるのは困難です。ダイエットに失敗したり挫折したりする人が多いのも、やはり運動そのものが「苦しい」体験だと捉えられてしまうからです。

diet_measure
▲楽しく、遊び感覚で、いつのまにかダイエットができたら…

最近、ウェアラブル系のビジネスを推進するべく、自分自身もさまざまなウェアラブルデバイスやサービスを試すようにしています。

24時間、スマートウォッチ(Android Wear など)や活動計バンド(Jawbone UP など)を装着し、さらに、食べたものを逐一ロギングすることで、一日のカロリーの「消費」と「摂取」のバランスをチェックしています。

今までは「体重」という一義的であり結果論的な“指標”のみに注目してきたことに比べると、その“原因”に直結するカロリーの「出と入り」を見える化することで、ダイエットの進捗はより確実なものになりました(ボクの実体験として)。

ただ、こうしたウェアラブルデバイスを駆使したとしても、今はまだ「モチベーションコントロール」の問題はあまり解決されません。

とはいえ、ウェアラブルデバイスによって収集されたデータはクラウド上で解析され、プッシュ通知などで的確なアドバイスをタイムリーに届けたりしてくれるので、ある程度の励みにはなるのですが…。やはりダイエットは苦行であり続けることには変わりなく「最後はアナタ次第ですよ!」という究極のダメ押しを食らって、めげてしまうこともありえます。

健康診断の結果や活動計によるデータの「数値」は、シビアな現実をまざまざと「見える化」してくれます。そうした危機感から突き動かされる生活改善への行動は、強い決意を促してはくれるものの、それはあくまで強迫観念からくるものです。

苦しくて求道的なダイエットよりも、楽しくて自発的なダイエットのほうが、いいですよね?

後者のダイエットを実現してくれるのが、まさにIngressでした。

ボクは、実体験でIngressがダイエットに有効であることを体感しましたが、「ダイエット + Ingress」でググると、山のようにヒットします。ボクのように、ダイエット目的(あくまで副次目的ですが…)でIngressをプレイしている仲間が多いと知り、心強く感じました(笑)。

search_diet_ingress
▲なんと10万件以上!やはりIngressはダイエットに有効なようですw

盛り上がってきたところですが(笑)、今回のひらブラはここまで。次号もIngressについて引き続きお届けしたいと思います。

次号では、

・Ingressがダイエットに効く「ひみつ」
・ボクのIngressプレイスタイル

について、具体的にご紹介していきたいと思います。
それでは、また次回の更新でお会いしましょう。

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※【ひらブラ vol.40】『ゴシップライター〜消えたアイドルを救え!〜』ボルテージ開発秘話(その1)

※【ひらブラ vol.39】ストリートビューの「斜め上」

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※【ひらブラ vol.2】 LEDで無重力をつくる話

※vol.1-4:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは

※vol.1-3:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは

※vol.1-2:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは

※vol.1-1:福袋も飛行機もゲームも?ゲーム開発を支える”黒い箱”とは

※vol.0:創刊準備号ということでジコショーカイ

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幅朝徳(はば とものり) 株式会社CRI・ミドルウェア 商品戦略室 室長、CRIWAREエヴァンジェリスト。学習院大学卒業後、CRIの前身である株式会社CSK総合研究所に入社。ゲームプランニングやマーケティング業務を経て、現CRIのミドルウェア事業立ち上げに創業期から参画。セガサターンやドリームキャストをきっかけに産声を上げたミドルウェア技術を、任天堂・ソニー・マイクロソフトが展開するすべての家庭用ゲーム機に展開。その後、モバイル事業の責任者として初代iPhone発売当時からミドルウェアのスマートフォン対応を積極推進。GREE社やnhn社といった企業とのコラボでミドルウェアの特性を活かしたアプリのプロデュースも行う。近年は、ゲームで培った技術やノウハウの異業種展開として、メガファーマと呼ばれる大手製薬会社のMR(医療情報担当者)向けのiPadを使ったSFAシステムを開発、製薬業界シェアNo.1を獲得しゲーミフィケーションやゲームニクスの事業化を手掛ける。現在、さらなる新規の事業開拓や未来のサービス開発を担当する傍ら、ますます本格化するスマホゲームのリッチ化を支援するためにモバイルゲーム開発者におけるミドルウェア技術の認知向上のためエヴァンジェリストとしての活動に注力中。

趣味は、映画鑑賞とドライブ、クロースアップマジック、デジスコによる野鳥撮影、コンパニオンバードの飼育、そしてもちろん、ゲーム。

CRI・ミドルウェア ウェブサイト

http://www.cri-mw.co.jp/

Ingress

メーカー
Google, Inc.
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iOS 7.0 以降。iPhone、iPad および iPod touch 対応。  Android 要件 2.3 以上

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