【大塚角満の熱血パズドラ部!】第363回『健康診断という名のダンジョン』

2014-09-09 15:28 投稿

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健康診断という名のダンジョン

前回の続き……を書く前に、パズドラにまったく関係のないホットなニュース(?)をお届けしたい。ところどころにパズドラ用語が出てくるだけで恐ろしいくらいゲームとは関係ないのだが、時期を逸すると絶対に書かない話題だと思うので、今回だけお付き合いくださいな。

さて。

現在、世の企業は健康診断シーズンの真っ只中ということで、多くの人が採血やらレントゲン撮影やらを行って一喜一憂していると思う。我がエンターブレインもその例に漏れず、先週あたりから1週間のロングスパンで、社員が健康チェックを行っているのだ。

俺も昨日、一念発起して、健康診断に挑んできた。

“挑んできた”なんて書くと降臨ダンジョンでゼウス・ヴァルカンに挑戦するかのような勢いだが、病院&検査が大嫌いな俺にとって健康診断とは、サタンやサンダルフォンに匹敵する強敵中の強敵なのである。「できることなら避けたい……!」、「悲惨な結果になるのが怖い……!!」ってんでなるべくお近づきになりたくないのだが、受けないでいるといろんな人に怒られるので(人事部とか)、決死の覚悟で臨んだ次第だ。

中目黒目黒といっしょに検診用の部屋に入り、まずは担当の人に書類と、検尿キットを手渡す。このとき、なんとなく自分の排出した液体を見られるのが気恥ずかしく、手のひらで隠すようにコソコソとしてしまう。というのも、(俺の、なんか色が濃い気がする!)、(量を多くしすぎた気もする!!)と余計なことを考えてしまい、他人の目から隠したくなってしまったのだ。乙女か俺は。

検尿キットという難関を突破したあとも、苦難は続く。おつぎは、重力影響測定器に乗って、オノレの身体が地球の重力にどれほどさらされているかを計るという、屈辱の作業をやらされた。まあ要するに、体重を測定されたわけですな。

でも俺はこの日のために、週末には数十キロも自転車に乗り、夕食の炭水化物を極力抜くというダイエットを行ってきた。自宅の体重計によれば、最盛期と比べて4キロほども体重が落ちているはずなのである。ここのところ深夜のラーメンが復活してしまって怖くて体重計に乗れていないのだが(オイ)、なあに、順調に減っていることだろう。そこで俺は自信満々で体重計に近づき、そのくせスマホ、社員証、ポケットの中の小銭、さらにほぼ重量ゼロのハンカチとティッシュまでポケットから出して計測に臨んだ。す、すると……。

「うおおおおおおおおおおっ!!!!!」

地軸のズレの影響か、どうやら著しい重力のひずみが生まれてしまっているようだ。体重にしておおよそ、1.5キロ分くらい……。うなだれる俺の後ろで体重計に乗った目黒も、「あんぎゃああああああ!!!!!」と断末魔の悲鳴を上げていたので、重力のひずみは世界規模で起こっているらしい。恐ろしい世の中になったものである。

採血、身長体重測定、目の検査などを終えたあとに待っていたのは、腹部エコー検査(?)であった。特殊な機械を腹にあててゴリゴリなぞることで、内臓の様子がモニターに映し出されるという恐るべき検査である。

技師の方に言われるまま、息を吸っては吐いてをくり返す。その間、機械の端末が腹の上を這い回り、その様子が逐一上映されているようだ。されるがままに呼吸をしながら、ついつい余計なことを考える。

(あの機械で照らすと、下にあるものが見えてしまうのか)

(……てことは、敵にドロップを黒く塗りつぶされても、こいつがあれば鬼に金棒!)

そんなことを妄想しているうちに検査は終了。ほかの人よりも非常に時間がかかったように感じたが、たぶん気のせいだろう。

そしてこの後、ペルセポネを思わせる先生(顔の8割はマスクで覆われていたけど)の問診を受けたあと、いよいよこの日のクライマックス、バリウムを飲んでの胃の検査に臨むこととなった。

事前に、俺は後輩の女尻笠井からこんなことを聞かされていた。

「今回、バリウムの検査のときに立て続けにゲップをしてしまい、3杯もおかわりしちゃいましたよ……」

つまり笠井は、“3コンの末になんとかクリアーした”というわけである。俺は震え上がった。過去、俺はこの検査でコンティニューをしたことはないが、やってみるまで何が起こるかわかったものではない。あんなものを、3杯も飲むなんてまっぴらゴメンだ……! 3コンなんてしたらたいへんなことになってしまう!!! そんな悲壮感にも似た思いを抱いて、俺はレントゲン車に入っていった。

検査用の服に着替えて技師のもとにいくと、さっそく渡されましたよ粉末の炭酸と水を!! ぶっちゃけ、この検査の最大の障壁は圧倒的に炭酸にあり、こいつを飲んだ上でゲップを我慢するとか無理ゲーもいいところなのである。破壊力抜群の粉末が胃の中で水と化学反応を起こし、プチプチと爆ぜてシュワシュワの泡となる。発生する空気……。膨れ上がる胃……。行き場をなくして外に出たがる化学反応の生成物……!(ゲップのことね) でもゲップをしたら、待っているのはおかわりだけ。

(開幕で先制の致命ダメージを負って、HPが残り1ミリになったようなもんじゃねえか!!)

膨れる胸を押さえながら、涙ながらに俺は思った。

涙目の炭酸男は技師に促されるまま、例のグルグル回るアーケード筺体のような機械の上に通される。そこで手渡される、タプタプの硝酸バリウム……。容量的には、牛乳瓶1本くらいだろうか? でも、胸が苦しくてたまらない思春期の少年のような俺には、2リットルにも3リットルにも見えた。こいつを、グビグビと飲まないといけない。しかもゲップをせずに、だ。

無事にバリウムを飲めたところで、検査は終わりではない。ここから技師の言う通りに、マシンの上で身体を動かさないといけないのだ。

「ハイ! そこで360度回ってー! いいよいいよ! 慌てず! もっとゆっくり!」

動くってことは胃も刺激されるってことで、そのたびに喉元に空気がこみ上げてくる。嗚呼……。この苦しみから解放されたい……。いっそのこと、

「ガイアブレスッッッ!!!!」

とヤケクソに叫んで、豪快に空気を放出してくれようか……。そう思わなくもなかったが、

スッキリ=バリウムおかわり

なので、涙ながらに俺は耐えた。わずか2、3分の検査だったと思うが、俺には1時間にも2時間にも感じられたよ……。

しかし、我慢の甲斐あって、なんとか無事に検査は終了! 見事、ノーコンティニューで健康診断という名のダンジョンをクリアーしたのでありました。

「お疲れ様でした~。こちら、下剤になります」

魔法石ならぬ下剤を2錠もらい、俺は「やった……! やってやった……!><」と感動しながら自席に戻ったのであった。

……でもこれで再検査とかになったら、それこそコンティニューなんだけどな。

……ね、ホントにパズドラと関係なかったでしょ。

大塚角満Twitterアカウント→@otsuka_kadoman

大塚角満(おおつか・かどまん)……週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。編集業務のかたわら、執筆活動を精力的にこなしており、多数の連載記事を持つ。著書に、『モンスターハンター』シリーズのプレイ日記をまとめた『逆鱗日和』シリーズが9作、『ダークソウル』のプレイ日記をまとめた『折れてたまるか!』シリーズなど。ファミ通Appでは、“熱血パズドラ部!”を始めとするスマホゲームの執筆活動も行っている。

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