【CEDEC 2014】世界を牽引する日本のゲームアプリ市場 GooglePlayの売上は米国の2倍

2014-09-02 22:56 投稿

日本市場の特異性と海外市場との差異

CEDEC会場でApp Annieの桑水悠治氏が「日本と海外のモバイルアプリ、ゲームのトレンド」というテーマで講演。日本国内市場とグローバル市場とのデータを比較し、現在市場がどのような動きを見せているかを解説した。

▲App Annieの桑水氏。AppAnnieは、アプリのマーケットデータを分析しその情報をまとめる事業を行っている。

本講演では、おもにApp StoreとGoogle Playにおけるマーケット事情、および国内外のマーケット事情の比較が行われた。最初に提示されたマーケットデータではiOS(App Store)、Android(Google Play等)と区分され、2013年、2014年の売上が比較されていた。その比較によると、App Storeの売上の伸びは前年比1.7倍、GooglePlayの伸びは2.5倍となっており、これまでほぼ独走を決めていたApp Storeの売上に、GooglePlayの売上が迫ってきたことが判明。

▲Androidがはやり始めた当初こそ「Androidは収益モデルが成り立ちにくい」とも言われていたが、キャリア決済の採用などを機にAndroidでも収益が形を成してきた。

ちなみに、これら売り上げの8割はゲームアプリであり、ゲーム市場が純粋に拡大していることが明らかになった。なお、日本ではアプリによる売り上げの9割以上をゲームアプリが占めており、その市場の規模の大きさを改めて見せつける形となった。

▲全アプリ中ゲームアプリがダウンロードされている割合は世界規模と日本規模でも大差ないが、ゲームアプリからの収率には10%ほどの差異がみられる。
▲世界規模でみるとAndroid OSアプリからの収益はさほど多くないが、日本国内だけに焦点を絞ると、Android OSアプリからの収益がiOSを上回るほどの規模になっている。これはAndroidスマートフォンがキャリア決済に対応したことが要因とみられる。

また、現在は売り上げのほとんどがアプリ内課金となっており、有料アプリ購入による売り上げは、全体の1割にも満たないという興味深いデータも。なお、この傾向はGoogle Playのほうがより顕著となっており、Google Playでの有料アプリ購入者は、相対的な数値上ほぼゼロといっても過言ではないそうだ。

▲IAP(In App Purchase:アプリ内課金)が登場して以降、日本での収益形態はほとんどそれを利用したものになっているようだ。

日本市場と国外市場との比較も行われた。ゲームアプリのダウンロード数比較では、App Store、Google Playともにアメリカが1位を獲得。こちらもApp Store、Google Playともに日本はアメリカの4分の1ほどの数値を示し6位という結果になっていた。その一方、Google Playではゲームアプリの売上は日本が米国に2倍以上の差をつけて1位に。日本市場が、ゲームアプリに投じる課金額が多さが浮き彫りになった。

▲なにより、多国とではAndroidでの収益に大きな差がみられる。日本のスマートフォンゲーム市場が世界一になった背景には、Androidの躍進があるようだ。

また、おもしろい結果として、アメリカにおけるiOSアプリのダウンロード数の30%はiPadからによるもので、タブレット市場がまだ成長していない日本の市場とはその性質から異なることも判明した。

▲日本でのタブレットの位置付けはビジネスツールという色が強いが、海外ではエンターテイメントツールとしても活躍をしているようだ。

開発会社に焦点を当てて市場を見てみるとやはりLINEが世界的にも強く、全世界累計のゲームアプリダウンロードランキングで7位にランクイン。しかしダウンロード数ではランキングに乗らなかったものの、売上ランキングでは、ガンホー、mixi、コロプラ、LINE、バンダイナムコゲームスと5社もランクイン。ゲーム大国の意地を見せつける結果となった。日本メーカーが売上で上位入賞した背景には、日本国内では海外メーカーより日本メーカーのアプリのほうが好まれる傾向にあり、それら日本メーカーが世界最大の日本市場をけん引していることにある。

これに関連したランキングとして、国外における日本のトップパブリッシャーも発表された。その中には、GREEやDeNAといったソーシャルゲームの火付け役や、スクウェア・エニックス、バンダイナムコゲームスなど、日本の巨大パブリッシャーに肩を並べ、昨年『ブレイブ フロンティア』で世界的ヒットを遂げgumi(日本ではエイリムが配信元)もランクイン。同タイトルの強さを見せつける結果となった。

▲海外メーカーは口をそろえて「日本という市場は特殊で難しい」と語るが、それがここまではっきりデータとして示されると驚きを隠せない。

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