【注目アプリレビュー】リトライ100回は当たり前!『VVVVVV』の激ムズ難度に魅了されまくり

2014-07-19 18:00 投稿

残機増殖に恋焦がれたあのころ

子どものころ、アクションやシューティングゲームの残機数を増殖させる裏ワザが好きだった。代表的な例を挙げれば『スーパーマリオブラザーズ』の無限1UPがあり、またKONAMIの『魂斗羅』では残機数を30に増加させる裏ワザが(一部を除いて)シリーズの定番として存在している。往年のアクション・シューティングゲームの多くはトライ&エラー(死にゲーとも言う)を前提とした高難度の作品が多く、どうしてもクリアーできない人への救済策としてそういった残基数増殖の裏ワザは非常に役立ったものだ。実際筆者も『魂斗羅』シリーズでは大変お世話になった記憶がある。しかし、残基数増殖の裏ワザが好きだった理由はソコではない残りの機数を気にすることなく雑にプレイできる感覚がどうにも好きだったのだ。

『スーパーマリオブラザーズ』であれば、穴が多いステージをBダッシュでノンストップに駆け抜けることに挑戦し、『沙羅曼蛇』(残機を255機にする裏ワザがあった)では能力アップを一切行わずにステージを進めるといったことをした。ときには『ロックマン』シリーズのように、残機数増殖の裏ワザは存在しないが時間をかければ残機を増やせる作品で、延々と敵を倒し続けたこともある。

なぜ当時の筆者はあそこまで、雑なプレイに固執していたのだろうか。いま改めてその理由を考えてみると、カッコいいプレイの追求にあった気がする。流れるようなマリオの走り、最弱装備で強敵を撃破するビックバイパーの勇姿を見たいがために、(攻略の定石に則らないという意味での)雑なプレイに没頭していたのだ。そういう意味では、残基数増殖の裏ワザはゲームの楽しみ方のひとつと捉えてもいいのでは、と個人的には思っている。

悶絶する高難度、しかし達成感は格別!

今回ご紹介するTerry CavanaghがiOSとAndroid向けに配信している『VVVVVV』(正式な読みかたは決まっていないようなので、筆者は勝手に「ブイシックス」と読んでいる)は、そんな筆者の“雑なプレイ”欲求を存分に満たしてくれるアクションゲームだった。

ファミコンからさらに遡って、カセットビジョンかと見紛うレトロなビジュアルだけでも十分に印象的な本作だが、いざプレイすると想像を絶する難度に面食らうことだろう。ルールは極めてシンプルで、プレイヤーができるのは左右の移動と重力を反転させるアクションのふたつだけ。“重力を反転”と言ってもなんのことやらかと思うので、もう少し詳しく説明すると、地面に立っている状態で重力反転を行うと、プレイヤーキャラクターが“ひょい”と浮き上がり逆さまの状態で天井に引っ付く、というアクションのこと。たとえば地面に障害物があって通れないときは、重力反転で天井を歩いてやり過ごす……といった具合に活用するのだ。

ちなみにゲーム中に敵キャラは存在せず、プレイヤーの行く手を阻むのはトゲの床(天井、壁)奇妙奇天烈なデザインの動く障害物のみ。いずれも触れた瞬間に即死だ

▲エゲつないほどにトゲ!

上記の説明だけでは、筆者の訴える“想像を絶する難度”を読み取ることはできないかもしれない。だが、よく想像してみてほしい。重力反転後の着地点である天井は、同じ画面内にあるとは限らないのだ。両脇がトゲの壁になっている狭く曲がりくねった長い通路を抜けた先に着地点があるかもしれない。あるいは、着地できる場所が数ドット分しか用意されていないケースもある。ときには、スピーディーに動く足場をテンポよく飛び移る必要もあるだろう。

実際筆者は当初、重力反転というルールから「パズル要素が強い、考える系のアクションかな?」という想像をしていたのだが、開始数分でその考えを改めることになった。上で説明したような理由でとにかく死ぬ、死にまくるのだ。重力反転で画面スクロールした先がトゲの天井で死ぬ強制スクロールで下から迫ってきたトゲで死ぬトゲの壁に挟まれた通路を(重力反転で)上昇しているとき不意に襲ってきた急カーブにぶつかって死ぬ何も考えずに動く足場に乗って死ぬ。まったく、何度スマホをぶん投げそうになったことか……。

そんなトライ&エラー精神の塊のような作品なので、リトライは極めて軽快に行われる。ステージ内のいたるところに「C」と書かれたリスタートポイントが設けられており、事前に通過しておけば、ミスした瞬間にそこから復活しするとが可能だ。もちろん残機なんてものは想像しない。10回だろうが50回だろうが、納得いくまで思う存分リトライすることができる

とにかく死にまくる高難度な本作だが、それだけにトラップを回避できたときの達成感は格別だ。某エリアで延々とミスをくり返しリトライが100回を超えたあたりでトラップを切り抜けられたときは、スマホの小さな画面に向かって思わずガッツポーズ&咆哮してしまったほどである。

雑なプレイが突破口になる瞬間

とは言え、何十回もリトライをくりかえしてくるとさすがに気持ちが萎えてしまうこともある。そんなとき筆者は、幼少のころ夢中になった“雑なプレイ”に走るのだ。

シビアなタイミング調整、繊細なキャラ操作といった『VVVVVV』攻略のセオリーは完全に無視して、まるでリズムゲーを遊ぶように「ポン、ポン、ポン」と軽快にボタンを押してトラップに挑む。そんなプレイでは当然ミスすることのほうが多いのだが、時折“それが正解”な瞬間も出てくるからたまらない。たとえば、動く足場を連続で移動するシーン。

本来であればタイミングを見極めて慎重にキャラを動かすのが正しい攻略法だが、『VVVVVV』の8bitなサウンドにノリながら感覚的にアクションを起こすと、不思議と足場が自分の元に吸い寄せられるような感覚で進めてしまったりするのだ。その瞬間にキャラクターが見せる、流れるような動きのカッコよさときたら! これこそ筆者が幼少のころに憧れていた雑なプレイの理想型だ。もし本作にリプレイモードが搭載されていれば、10回は見返してしまうこと間違いないだろう。

▲ちなみに筆者は、ここのエリアがいくらやってもクリアーできない。開発者のプレイ映像ではすごく簡単に見えるが……。

「それはオマエの勝手な思い込みだろ」という指摘もあると思うが、いやいや、開発者も意外とまんざらではないはず、と筆者は“思い込んでいる”。と言うのも、本作には流れるようなプレイを前提とした“time trials”モードがしっかりと盛り込まれているのだから。好タイムを目指すのに慎重なプレイが必要だろうか? 『マリオカート』でカーブのたびにブレーキボタンを押す人がいないように、『VVVVVV』もノンストップで走り抜けるのが正しい遊びかたであると、筆者は断言する! 実際、タイムトライアルモードではステージごとに規定タイムが設定されているのだが、これがけっこうシビアで、考えている&死んでいるヒマはない。開発者からの「おまえの流れるようなプレイを見せてみろよ」という挑戦状以外のなにものでもないだろう。

そんなわけで筆者は今日も、美しいひと筆書きのようなプレイを目指して、『VVVVVV』を雑にプレイし続けているのである。いまのところは悶絶することのほうが圧倒的に多いけど。

▲本編にはちゃんとストーリーがある。日本語化されていないのでよくわからないが、散り散りになった仲間を助けるというなかなかにアツい展開だ。

(キモ次郎)

VVVVVV

メーカー
Terry Cavanagh
配信日
配信中
価格
300円[税込み](iOS版)、399円[税込み](Android版)
対応機種
iOS 4.3 以降。iPhone、iPad および iPod touch 対応。 iPhone 5 用に最適化済み Android 要件 2.2 以上

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