『DQM スーパーライト』プロデューサー激白!あの顛末から今後の展望まで(前編)
2014-02-20 10:00 投稿
舞台裏の衝撃の事実が明らかに
2014年1月23日に、iPhone、Android向けに配信されたスクウェア・エニックス(開発・運営はCygames(サイゲームス))の新作RPG『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト』(以下、『DQM SL』)。2月17日には300万ダウンロードを突破するなどの好調ぶりを見せる本作だが、“まほうの地図ふくびき”の仕様に関して、ネット上などで取り沙汰され、スクウェア・エニックスからサービス向上のための施策が発表される事態もあった。
その背景にはいったい何が? そして今後、具体的にどのようにシステムが生まれ変わっていくのか? 本作のプロデューサーの柴貴正氏と、『DQM』シリーズプロデューサーの犬塚太一氏に話を訊いた。
注:インタビューはスクウェア・エニックスにて2月13日に実施。本インタビュー(前編)は週刊ファミ通3月6日号(2月20日発売号)に掲載されている内容と同じものです
想定以上のスタートダッシュ
──『DQM SL』は配信開始4日間で100万ダウンロード突破、11日間で200万ダウンロードと驚異的なスタートとなっています。絶好の滑り出しとなったことについては、どう分析されていますか?
柴貴正氏(以下、柴):驚いている、というのが素直な気持ちです。スマホユーザーで、『DQ』シリーズが好き、もしくは興味を持ってくださっている方がこれほどいるとは、正直思いませんでした。
犬塚太一氏(以下、犬塚):作品としては、おもしろくなったという手応えはありましたけれど、それがスマホユーザーにどれだけ受け入れられるかは、我々にとっても未知数でしたね。
柴:犬塚とは、1ヵ月目は30万ダウンロードくらい達成できればいいね、と話していたくらいです。
──『DQM2 イルとルカの不思議なふしぎな鍵』の発売(ニンテンドー3DS用ソフト。2月6日発売)と、ほぼ同時期での配信となりましたが、同作と差別化した部分と、『DQM』シリーズとして踏襲した部分を教えていただけますか?
柴:『DQM SL』はスマホのゲー ムですので、移動中やちょっとした空き時間にプレイされるであろうという想定で、バトルやダンジョンの長さなどスマホユーザーを意識したシステムにしています。変えていないところは、ダンジョンをクリアーするまでのHP、MPのマネジメントをどうするか、といった『DQ』シリーズのおもしろさの部分です。
犬塚:『DQ』シリーズならではの“戦闘の感覚”ですね。
柴:開発当初にCygamesさんからあがってきたものは、従来のスマホ向けゲームのように、もっとサクサク進むものだったのですが、「『DQ』らしくないな」と。
――かなり手を入れられた?
柴:はい。同様に、いわゆるSレアアイテムが出たらサクサク進める、といった従来のフリー・トゥ・プレイ(以下、F2P)のバランスにもしたくありませんでした。これは、Sランクモンスターが弱くてもいい、というのではなく、成長させ甲斐があるものはSランクにしよう、という考えです。ゲームをふつうにプレイする分には、CランクやDランクのモンスターのパーティでもクリアーできる、有償ジェムで“地図ふくびき”を引かなくても、十分に楽しめるようなゲームデザインにしています。
一連の騒動の裏側
──“地図ふくびき”というワードが出たところで、うかがいます。“まほうの地図ふくびき”に関する一連の騒動がありましたが、スクウェア・エニックスとしてはどういった認識だったのですか?
柴:“まほうの地図ふくびき”の仕組み、提供割合などに関しては運営・開発を担当し、F2Pのノウハ ウも蓄積されているCygamesさんにお任せしていました。地図の提供割合に関しても、一般的なF2Pに倣ったものということでした。ただ、F2Pのゲームをプレイしたことはないけれど、「『DQ』シリーズなら」ということで、多くのF2P初心者の方に遊んでいただいた形になりました。そういった『DQ』ファンの方々の感覚としては、一般のF2Pの提供割合は納得できないものだったのだと思います。
また、“金の地図ふくびき” についてさまざまなご意見をいただいている中で、その絵柄だけをCygamesさんの判断でアナウンスなく変えてしまったことも、不信感を増幅させる結果になったと認識しています。
犬塚:“金の地図ふくびき”の提供割合の表示は、サービス開始時から入れる予定だったのですが、直前になってさまざまな問題が発生し、やむを得ず表示を見送ることになってしまったんです。
──では、当初は配信開始時から表示する予定だったのですか?
犬塚:はい。配信開始のギリギリまで問題がいろいろと発生したため、細かいところの調整が後手に回ってしまいました。
柴:やはり先ほどの『DQ』ファンの目線からすると、提供割合の表示があるだけでも判断の基準になったと思いますので、表示することを押し通すべきだったと反省しています。結果、混乱を招いてしまって、プレイヤーの方々にはたいへん申し訳なく思っています。
──真偽のほどはわかりませんが、AppleとGoogleがユーザ ーからの返金要求に応じた、という報告がネットでは話題になっていましたが、実際はどうだったのですか?
柴:我々からは確認できませんし、返金があったかどうかもわからない、というのが事実です。
思い切った対応策で信頼を回復
──ただ、そういった問題が話題になった後、すぐにプロデューサ ーレターで対応策をアナウンスするなど、対応は迅速でした。
柴:関係各所に確認を取らなければならず、その分、時間が取られましたので、あれでも僕の感覚では遅いくらいでした。また、社内で対応策を検討しているときに、たまたま堀井(雄二 )さんがスクウェア・エニックスに来社されており、すぐに意見をうかがうことができたのも不幸中の幸いでしたね。
――その対応策の中で、“金の地図ふくびき”で消費したジェムを利用したユーザー(ID)へ贈る、というのはかなり思い切った対応だったと思うのですが……。
柴:Cygamesさんと話し合った結果、そういう対応をとろうという話になりました。私は、アーケ ードタイトルやPCゲームの運営などもやっていた経験があって、ユーザーの熱量というものを肌で感じていました。ですので、そういったユーザーの方に対して、「公平性を期すために“金の地図ふくびき”で消費したジェムを全部プレゼントしよう」と決めました。
犬塚:中途半端な対応はやめて、最大限の誠意を見せよう、と。
柴:社内でもいろいろな意見が出ましたが、三宅(三宅有氏。『DQ』シリーズのエグゼクティブ・プロデューサー)が後押ししてくれたので、素早い対応ができました。
──対応のスピードという点でもそうですが、ユーザー目線の対応という点でも、『DQ』らしさを感じました。
柴:Cygamesの渡邊耕一社長も、理解があり、迅速な決断、対応をしてくださいました。
『DQ』ファン目線の運営を目指す
──今後の運営・開発方針については、どのようにお考えですか?
柴:ゲームについては、有償ジェムを利用しなくても楽しめるコンテンツの拡充に、もっと力を入れたいなと思っています。地図ふくびきを引くために有償ジェムを購入しなくてもモンスターが育ち、楽しめる。具体的には、ほぼすべてのモンスターを“転生”できるようにして、たとえば、SランクのモンスターもAランクやBランクなどのモンスターから転生して、入手できるようにするとか。
犬塚:もちろん、課金してくださる方に対しても、納得していただける仕様にはしていきます。
柴:F2Pのゲームには、時間を使うかお金を使うか、という側面があると思うのですが、どちらにカロリーを使っていただいても満足していただけるゲームデザインにしていくつもりです。
──運営面ではいかがですか?
柴:先ほども言った通り、F2PのノウハウはCygamesさんがお持ちですが、『DQ』ファン目線というところを我々がさらに踏み込んで指摘する必要があると感じました。細かいところでは、メンテ ナンス日時や更新内容のアナウンスなどもこまめにお知らせする、ということもそのひとつです。これは『DQⅩ』の運営が参考になっています。
これまでは、Cygamesさんにお任せしていた部分が多かったのですが、我々ももっと関わっていく。これは、一般的なF2Pのノウハウのいい部分に加え、『DQ』ファンに合う部分と、『DQ』を作ってきた我々の感覚、つまり双方のいいところを持ち寄って運営していくということです。
──有償ジェムを利用しなくても楽しめるコンテンツの拡充や、F2Pに慣れていない『DQ』ファンにも納得してもらえる運営など、 今回、お話をうかがうと、これまでのF2Pとは一線を画す、『DQ』ならではのF2Pになりそうですね。
柴:『DQM SL』は、スマホ向けのF2Pでありながら、コンシューマー(家庭用)ゲームの『DQ』ファンにも、楽しんでもらえるようなゲームにすることがコンセプトのひとつです。
※金の地図……ゲーム内ショップにある“まほうの地図ふくびき”からジェムを消費して購入することができる。ここから入手した、まほうの地図で冒険すると、ランクD以上のレアモンスターと出会うことができ、倒すと仲間にすることが可能。(ファミ通App編集部補足:現在は金の地図→地図ふくびきスーパーに名称を変更)
(後編に続く)
▲攻略まとめはこちら▲ |
ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト
- ジャンル
- RPG
- メーカー
- スクウェア・エニックス
- 配信日
- 配信中
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- 対応機種
- iOS6.0以降、Android OS4.0以降
- コピーライト
- (C) 2014 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved. Developed by Cygames, Inc
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