サイバーエージェントのネイティブ専門開発チーム“Ameba Native Game Studio”に潜入
2013-12-14 00:01 投稿
後半は『ミリオンチェイン』開発者インタビューをお届け
“Ameba”の運営を行うサイバーエージェントが、ネイティブアプリゲーム専門の開発チーム“Ameba Native Game Studio”を結成。『ガールフレンド(仮)』や『天下統一クロニクル』などの人気ブラウザゲームを配信するサイバーエージェントが、なぜネイティブアプリの専門スタジオを設立することにいたったのか? Ameba Native Game Studioを統括する根岸侑平氏と同スタジオ最新作となる『ミリオンチェイン』のプランナー遠藤国忠氏にお話をうかがってきた。
インタビュー……その前に、お洒落なスタジオをご覧あれ!
市場の変化を見据えて誕生した開発スタジオ
ーーこれまでは“Ameba”というプラットフォームを活かしたブラウザゲームの開発が多かったと思うのですが、ネイティブアプリゲームを本格的に開発していくことになった背景を教えてください。
根岸 じつは、ネイティブアプリゲームの開発自体は2年前から進めていました。“Ameba”としてはブラウザプラットフォーム戦略があったので、ここ1年間くらいはそちらの開発がメインだったのです。しかし、ネイティブアプリゲームの市場が温まってきたこともあり、このタイミングで開発スタジオを設立して、注力していこうと考えました。
ーー市場が温まってきたというのは、どのような点から判断したのでしょうか?
根岸 AppStoreやGooglePlayのトップセールスに上がるゲームって、これまではブラウザゲームを移植したようなゲームばかりだったのですが、それがネイティブアプリにしかできないようなゲームに変わってきたというところからです。
ーーこのスタジオの立ち上げは、根岸さんの発案なのでしょうか?
根岸 立ち上げ自体は社長の藤田の判断でした。僕は藤田から、このスタジオの統括を任される形になりました。
--どうして根岸さんが任されることになったのでしょう?
根岸 “Ameba”で最初のネイティブアプリ『妄想電話』を作ったのが、じつは僕だったんです。それを藤田が憶えていて任された、という感じです。
ーー2013年8月のスタジオ設立時、スタッフはどれくらい集まりましたか? またその時の人選も教えてください。
根岸 8月の設立時点で50人くらいいました。いままで、ネイティブアプリゲームを作ってきたメンバーと、あとはネイティブアプリゲームをやりたいという希望者を募って、スタッフが集まりました。
ーーAmeba Native Game Studioを立ち上げたことで、どんな効果がありましたか?
根岸 週に1回、プロジェクト横断で開発メンバーが集まって、技術を交換したり、ノウハウの共有をしたり、そういうシナジーがあります。あとはプロデューサーから、こっちで試作したものがよかったから、そっちでも使ってみようよとか、技術面での応用というメリットが大きくありますね。
ネイティブアプリゲームとブラウザゲームの違い
ーーネイティブアプリゲームのメリット、デメリットを教えてください。
根岸 月並みですけど、ネイティブアプリゲームのほうがグラフィックや操作性の面でよいものを作れるというのがメリットですね。デメリットは少しの改修などでも各ストアへの申請が必要なことです。ブラウザゲームだと、申請の有無もなく日々改善していけるので、そこはやりやすいですね。
ーーブラウザゲームもクオリティーが上がっていますよね。BGMも普通に聞けますし、ボイスも流れます。ネイティブアプリゲームとの違いがわからない人も多いかと。
遠藤 ブラウザゲームも性能が上がってきているので、基本的にはもうプラットフォームの違いだけかな、と個人的には思います。ネイティブアプリと違って、ブラウザゲームはしっかりしたプラットフォームがないと、集客が難しかったりするんです。ユーザーも「ブラウザゲームをやろう!」という感じじゃなくて、「ストアーからアプリをダウンロードしよう」という意識のほうが強い印象です。なので、どうにか導線を作れるような、プラットフォームがないと、今後のブラウザゲームはきびしいかもしれません。
ーー移り変わりが非常に早いスマホゲーム市場で、Ameba Native Game Studioとしてどんな対応をお考えですか?
根岸 このスタジオで培ったアプリに対するノウハウの蓄積や効率化といった準備は着々と進めています。なので、これから“Ameba”がネイティブアプリゲームにシフトしていくことに対して、スタジオがあることは大きいと思います。ブラウザゲームで学んだ、こうすればユーザーが喜んでくれるという部分のノウハウは、ネイティブアプリゲームになっても変わらないと思いますので。
ーーそんなスタジオが現在開発している新作はどういったものでしょうか?
根岸 いまのブラウザゲーム、たとえばみんなやっているようなカードゲームのノウハウを活かせるようなものを考えていますね。いま動いているのは、ゲームの市場が向かっている方向と逆をついたような、そんな作品です。年明けからは、1ヵ月ごとに新作を提供していきたいと思っています。最近はゲームメーカーもアプリに参入してきて、ものすごくハイスペックなゲームもある時代です。そちらもいいなとは思うんですけど、よりユーザーと近い、シンプルなゲームも出していきたいなとも考えていますね。
Ameba Native Game Studioの第2弾『ミリオンチェイン』
ーー『ウチの姫さまがいちばんカワイイ』に続く、第2弾として配信された『ミリオンチェイン』のコンセプトを教えてください。
遠藤 わかりやすくて気持ちいいパズル+RPGをベースに、世界観を押し出そうと考えていました。企画段階から、パズルというゲーム性はブレなかったのですが、どんなパズルにするかというのは1年前から紆余曲折ありました。
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ーーパズルRPGのジャンルは、いまや群雄割拠の戦国時代だと思います。なぜそこにあえて飛び込もうと思ったのでしょうか?
根岸 企画が立ち上がったころには、まだそこまでの定番ジャンルではなかったんです。我々が開発を進めている間に、あれよあれよと市場が戦国時代になりました(笑)。
遠藤 すぐに、どう差別化しようかって話になりましたね。
ーー戦闘シーンを見たところ、キャラクターは2等身にデフォルメされていますね。これも差別化のためのアイデアだったのでしょうか?
遠藤 当時、カードゲームが流行っていたんですけど、それと同じにはしたくなくて。自分のキャラクターが戦っている感じを出したかったので、ちびキャラになりました。ちびキャラが暴れ回るということもテーマのひとつとして、いまの形にシフトしていきました。それと併せて、ファンタジー系からSF寄りの世界観にイメージが変わっていきました。
ーーそのほかに『ミリオンチェイン』のこだわりのポイントはどこでしょうか?
遠藤 画面下のパネル部分で同じ色のパネルを3つ以上なぞって消すと、ふつうは上から落ちてくるのが一般的なのですが、このゲームは左から補充されます。さらに、一回なぞって消したとしても、左から補充されたパネルで偶発的や意図的に連鎖が起きないようになっています。なので、うまく消していって後半に同じ属性をたくさんつなげてなぞることができれば、大ダメージというような戦略性があるんです。
ーーこれは確かに新しいですね!
遠藤 あとは、ちびキャラの動きですね。たとえば、パネルを6つつなげて消すと、ちびキャラがちゃんと6回攻撃するんですよ。連鎖感というか、長く繋げたほうが気持ちいいようになっています。ひと画面に全部で33パネル表示されているんですけど、全部つなげてやれば33回敵を攻撃します(笑)。
ーー戦闘中のスキル発動時にはリアル頭身のキャライラストもあるんですね。
遠藤 そうです。手に入れたキャラクターのイラストを見て、コイツがちびキャラになったときどうやって動くんだろうと考えてみるのも面白いと思いますよ。変なところからビームが出たり、浮いているキャラもいるんですよ。
ーーいわゆるキャライラストが変化する進化のような要素もあるんでしょうか?
遠藤 はい、あります。“覚醒”と呼んでいるんですけど、イラストも変わってキャラクターによっては、ちびキャラの外見も大きく変化します。ターバンを巻いていたキャラが白髪になったり。とくにレア度の高いキャラクターは大きく変化しますね。
ーーそれでは、最後にメッセージをお願いします。
遠藤 とても戦略性のあるゲームになっているので、最近のゲームはちょっと物足りないぞ、というユーザーにも楽しんでいただけると思います。それでいて、戦略をとくに考えなくても遊べるような取っ付きやすさもあるので、昔のRPGが好きだった人には、ぜひとも触っていただきたいですね。
根岸 世界観がほかのゲームとはちょっと違うので、近未来でメカで……というちょっとしたSF要素が好きな人にも遊んでもらいたいです。これからストーリーだとか、個人対戦といったものも実装していく予定なので、楽しみにしていただきたいです。強敵もどんどん増えていきますよ!
スマートフォンの普及とともに、Amebaがゲームに取り組み始めて早1年。今回の取材で、“アメーバピグ”や“アメーバブログ”といったゲームとは無縁のイメージが強かったAmebaから、改めてAmebaの本気でゲームに取り組む姿勢というものをうかがい知ることができた。プラットフォーマーでありながらも、移り変わりの激しいスマートフォン市場を見据えて、AppStoreやGooglePlayなどで提供するネイティブアプリゲームを専門で扱うチームを立ち上げたのはさすがである。今後、“Ameba Native Game Studio”の動向に期待したい。
ミリオンチェイン
- ジャンル
- RPG
- メーカー
- サイバーエージェント
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- コピーライト
- (C) CyberAgent, Inc. All Rights Reserved.
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