今年最大の問題作『Plague Inc.-伝染病株式会社-』開発者に接触成功

2013-11-28 12:00 投稿

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経営コンサルタントから転身しゲーム制作に着手

伝染病を世界中に拡散させて人類を滅亡させることが目的。なんとも衝撃的な『Plague Inc.』は、何がきっかけで作られることとなったのか。ファミ通Appでは、アプリを配信するイギリスのNdemic Creations社に取材を敢行。制作者のJames Vaughan氏との直撃インタビューが実現した。

・ゲームを作るのは『Plague Inc.』がはじめて
・本業は経営コンサルタント
・開発費は5000ドル(約50万円)
・サポートスタッフはそれぞれ別の国に在住

など、驚きの事実が明かされる。いまもたったひとりきりの会社で、孤軍奮闘の毎日というJames氏が、つぎに目指すものとは?


——まずは日本のファンのために、あなたご自身のことを教えてください。

James Vaughan(以下、James) ボクはロンドンに住んでいる26歳のイギリス人です。ノッティンガム大学で経済学を学んで、卒業後4年間、経営コンサルタントとして仕事をしていました。ただ、その仕事をしながらも、つねにもっと何かクリエイティブな事業を起こしたいと考えていました。でも、なかなか実行できなかったんです。

——そんな中で『Plague Inc.』を制作することになったきっかけは何だったのでしょう。

James 2011年にクリエイティブな挑戦をしてみたいと強く思ったんです。自分自身が誇りに思えて、かつ、人々が楽しめるようなものを作り出すことができるんだと証明してみたいと。いくつかの事業を考えた末、モバイル向けの、知的で洗練されたストラテジーゲームを作ろうと決心しました。

——『Plague Inc.』のアイデアはどこから?

James もともとは『Pandemic 2』※という、2008年に出たフラッシュゲームからインスピレーションを得ました。ボクはこのゲームをずっとプレイしていて、楽しんでいたのです。ただ一方で、ボクはつねづね、このゲームはもっとよいものになるはずだ、たくさんの新しいアイデアをここに追加したいと感じていたんです。

そういったアイデア、よりリアリティーのあるゲーム性、より深い戦略性、より豊かな物語性、よりカスタマイズ可能なオプション、より緻密なデータなどを、ボクの頭の中に留めておくよりも、それを実行し、僕自身がプレイしたいと思うゲームを作ることに決めました。

もちろんゲームを制作するうえで、そのほかのさまざまな要素、たとえば『コンテイジョン』※や『12モンキーズ』※といった映画や、『草の死』※のような小説なども『Plague Inc.』影響を及ぼしています。また、近年世界中で実際に起こっている事件にも関心を持っています。現実世界にはゲーム制作に有益な素材がたくさんありますから!

——実際、『Plague Inc.』制作にはどのくらいの時間がかかったのでしょう?

James 『Plague Inc.』制作時はまだ経営コンサルタントの仕事をしていましたので、実作業は週末の夜しかできなかったんです。ですから、制作開始からリリースまでおよそ1年かかりました。そんな仕事漬けの毎日に対して、ボクのガールフレンドはとても理解があり、寛容だったことはラッキーでしたね :P ※

▲ポケットゲーマーアワードの授賞式。中央で微笑んでいる男性がJames。

国境を越えてクリエイターたちが集結した

——開発自体はどのように行われたんですか?

James 『Plague Inc.』の開発はまさに、それはもう本当に挑戦でした。なぜなら、ボクはそれまでゲームを作ったことなどなかったんですから。とにかくいろいろなことを学ばなければなりませんでした。

また、そもそもボクはこれを趣味というか、個人的な楽しみで作っていたので、多額のお金をかけることもできなかったんです。開発費は5000ドルくらいですね。自分でできないことは3人のフリーランサーに手伝ってもらいました。プログラミングはMario、グラフィックはSofia、サウンドはJoshuaです。

じつは彼らはそれぞれ異なる国に住んでいるため、実際に会ったことはないんです。でも、インターネットのおかげで、彼らと離れながらにしてすばらしいゲームを作り出すことができました。ゲームに対してボクが抱いているビジョンがゆっくりと現実化していくのはとてもやりがいのあることでしたね。『Plague Inc.』の世界をよりよくするために、ゲームの複雑なアルゴリズムを手直ししながら徹夜したこともしばしばです。

▲オフィスを移転したばかりだとか。荷物が運び入れられていないので、モデルルームのよう。

——そもそもどのようなゲームが好みなんですか?

James ジャンルでいえば、やはりプレイヤーに思考を要求するストラテジーや、シミュレーションゲームが好きですね。でも、それ以外のゲームも同じように好きなんです。基本的にはパソコンのゲームがメインなんですけど、ニンテンドー64は持っていましたよ。『シヴィライゼーション』※、『スーパーマリオ64』※、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』※、『Supreme Commander』※、『Starcraft』※、『Age Of Wonders』※、『Red Alert』※……挙げ出すときりがないですね :)

——新しいコンテンツであるMutation1.7のリリースはいつごろになりそうでしょうか。

James Mutation1.7ではゲームにシナリオを追加しました。iPhoneは11月、Androidは12月リリースで順調に進んでいます。内容には僕自身とても満足していますし、プレイヤーのみなさんにもとても楽しんでもらえると思いますよ。
(編註:iPhone版は11月26日にアップデート済み)

——マルチプレイに対応する予定はありますか?

James いつかぜひやりたいと思っています。ですが、それはもうとんでもないくらい複雑なんです。現在、Ndemic Creationsはボクひとりしかいませんから、同時にひとつのことしかできないんですよね。もちろん、もっと人を雇おうとは思っているのですが。

——日本の『Plague Inc.』ファンに何かメッセージがあればお願いします。

James 『Plague Inc.』が日本で1位になるなんで夢にも思っていなかったので、とても光栄に思っています。『Plague Inc.』を友だちに”感染”させて楽しんでくれて、本当にありがとうございます :) 近々もっとエキサイティングなコンテンツをお届けしますから、見逃さないでくださいね! 何か将来的なアップデートでリクエストがあれば遠慮せずにどんどんメールしてください! あ、でもボクは日本語はわからないので、そのへんはご容赦ください。完璧な人間なんていないということで :P

攻略まとめページはこちら!

※『Pandemic 2』
Dark Realm Studiosによるフラッシュゲーム。病原体を進化させて世界中に感染させるシミュレーション作品。2008年登場。続編的な位置づけにある『Pandemic 2.5』は現在、App Storeで100円で購入可能。

▲『Plague Inc.』を作るにあたって、もっとも影響を受けたという『Pandemic 2』。

※『コンテイジョン』
感染症の恐怖を描いたアメリカ映画。2011年公開。

※『12モンキーズ』
ウイルスによって全人類の99%が死滅した世界を舞台とするSF映画。1995年公開。アメリカ。

※『草の死』
イギリスのSF作家、ジョン・クリストファーによる小説。新種のウイルスで世界中の草が絶滅。食料不足が深刻化するなか、イギリス政府は口減らしのために水爆投下を決定するも、事前に情報が漏れてしまい、世界が破滅していく恐怖が描かれる。

※『シヴィライゼーション』
文明の発展をテーマとしたターン制ストラテジーゲーム。シリーズ化されており、複数のメーカーからさまざまなプラットフォームで発売されている。

※『スーパーマリオ64』
マリオを主人公とした任天堂のアクションゲーム。1996年発売。

※『ゼルダの伝説 時のオカリナ』
リンクを主人公とした任天堂のアクションRPG。1998年発売。

※『Supreme Commander』
Gas Powered Gamesによる遠い未来を舞台としたリアルタイムストラテジー。2007年発売。

※『Starcraft』
Blizzard Entertainment発、宇宙での3種族間の戦争をテーマとするリアルタイムストラテジー。1998年発売。

※『Age Of Wonders』
Triumph Studiosによる、ターン制ストラテジーゲームとRPGを融合した作品。1999年発売。

※『Red Alert』
Westwood Studioが制作したリアルタイムストラテジー、『Command & Conquer』シリーズの外伝的作品。1996年発売。

※ :P :)
海外の顔文字。コロンが目、Pや)が口を表している。顔を左に90度傾けて見ればわかるはず。ほかにも :D :-) :( :S などがよく使われる。

Plague Inc. -伝染病株式会社-

ジャンル
シミュレーション
メーカー
Ndemic Creations
配信日
配信中
価格
100円[税込]
対応機種
iOS 4.3 以降。iPhone、iPad および iPod touch 対応。 iPhone 5 用に最適化済み。Android 2.2 以上

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