グリー田中社長が講演、GREEの海外戦略に大きな手応え【GREE Platform Summer Conference 2012】
2012-08-03 13:53 投稿
●海外展開には大きな意識改革が必要
GREEのプラットフォームでアプリを提供するメーカーを対象に、技術交流や情報交換などを目的として実施される“GREE Platform Summer Conference 2012”が、2012年8月3日に都内にて行われた。半期に1度開催され、今回で4回目の実施となるこちらのカンファレンスでは、グリーの関係者による講演会や開発会社によるパネルディスカッションなどが行われ、GREEというプラットフォームの現状をうかがう上で、絶好の機会となっている。
カンファレンスは、いつものように、グリー代表取締役社長、田中良和氏のあいさつからスタート。田中氏は、前回の開催からの半年間のGREEの歩みを振り返った。この半年の大きなトピックと言えば、やはりコンプガチャ問題。田中氏は「ソーシャルゲームが世に出て5年くらい経ちますが、より多くの方に使っていただけるようになりました。大きな存在になったことを受けて、社会の要請に応えられるような取り組みを今後も継続したいと思っています」として、ソーシャルゲーム利用環境整備協議会(仮称)に向けた設立準備委員会の設立など、引き続き利用環境向上に真摯に取り組んでいくことを明確にした。
また、GREE Platformのグローバル展開がスタートしたのも、この半年の大きなトピック。田中氏は、米国開発会社Funzioの買収やE3、チャイナジョイなどへの出展といったこの半年の海外からみのトピックを紹介。さらに、カナダ・バンクーバーに、世界で11ヵ所めのオフィスを設立し、これで世界10ヵ国で拠点ができたことを明らかにし、この半年間も着実に海外展開が進められていることをうかがわせた。「着実に種まきをしています」と田中氏。現在、ワンプラットフォームで、最大169カ国のユーザーにアプリを配信することが可能なGREE Platformだが、言語対応にも積極的。この9月にも、現在サポートしている日本語、英語に加え、全部で14カ国語に対応予定とのことで(日本語、英語、中国語、スペイン語、ポルトガル語、ドイツ語、韓国語、フランス語、イタリア語、ロシア語、アラビア語、インドネシア語、タイ語、トルコ語)、海外展開は急務と言えるのだろう。
バンダイナムコゲームスと提携しての、6月の『NARUTO-ナルト-忍マスターズ』の配信開始や、『BLEACH』の8月末配信予定、さらにはフジテレビやNCSoftとの業務提携など、魅力的なコンテンツを提供するための取り組みも見逃せない。今後GREEでは、7~9月で約60タイトル、12月末までに数百タイトルを順次リリースする予定とのことだ。グローバルプラットフォームを展開して、現在日本のやりかたとアメリカのやりかたをチューニングしているという田中氏。まさに、海外展開に向けてのノウハウを着々と貯めているといったところだが、「大切なのは会社で働いているさまざまな人の意識を変えること」(田中)と断言。たとえば、Excelでのデータ管理にしても、いままでは“性別”、“年齢”etc……だったものが、最初に“国別”を持ってこないといけなくなる。業務オペレーションや意思決定のフローも変えないといけないというのだ。逆に言えば、それだけ大きな意識改革をしないと、“グローバル展開”を成功させるのは難しいということなのだろう。とはいえ田中氏の講演からは、海外展開に対して大きな手ごたえを感じていることをうかがわせた。
田中氏のあいさつについで行われたのは、グリー執行役員 マーケティング事業本部長 小竹讃久氏による講演“プラットフォーム事業に関する戦略・施策について”。「世界に向けたアプリのリリース支援を着々と進めています」と、まずはGREE Platformのグローバル展開に触れた小竹氏は、続いて国内市場における各タイトルへの施策に言及。GREEのプラットフォームにおいては、カード、シミュレーション、恋愛が3つの主要ジャンルであり、それぞれに特性が異なると説明。さらに、各ジャンルにはそれぞれ課題があり(カードゲームは継続率、シミュレーションは消費率、恋愛はARPU※)、各モデルによって解決方法は異なるとした。
※ARPU:利用者ひとりあたりの売上を表す数字
そこで小竹氏は、具体例を引いて、いかに改善していったかを説明。たとえば、『A』というカードバトルアプリでは、1日後の継続利用率が低いという結果が報告。それに対して「インセンティブが魅力的ではないのでは?」、「ゲームバランスが快適ではないのでは?」、「UI(ユーザーインターフェス)が迷いやすいのでは?」といった仮説を立て、上位タイトルや自社タイトルとの比較で検証、データ分析を経て、「ログイン後の離脱が多い」、「インセンティブが少ない」、「UIが悪い」といった改善ポイントを抽出。新規ユーザーの優遇やインセンティブ付与、ページ遷移改善などの施策に取り組み、180%の改善率を果たしたという。そこにあるのは、“仮説設定”に“データ分析”を施し“施策実施”をするという改善のプロセスだ。「改善していくことが、市場を拡大していくなかで重要。KPI※の改善で、ユーザー満足度は大きく変わります。今後もグリーはパートナー様アプリの分析を支援して参ります」と小竹氏は語る。つまり、グリーはパートナー企業に向けて最大限の支援を惜しまないということだ。サポート体制の万全ぶりをアピールした小竹氏の講演だった。
※KPI:業務の達成度を定量的に把握するための指標のこと。
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