個人クリエイター必見『ネコアップ2』開発者にインタビュー! 人気の裏に隠された秘密とは?

2012-06-20 17:15 投稿

●大活躍中のクリエイター、Ryuji Kuwakiさんってどんな人?

ゲームメーカーのタイトルで有料アプリランキングが埋め尽くされる昨今、個人により開発されたゲームアプリがランキング上位に食い込んでいる。そのタイトルこそが『ネコアップ2』だ。前作に続き、人気タイトルを連発するクリエイターとは、どんな人なのか? そして、なぜアプリでゲームを開発しようと思ったのか? 気になるアレコレを残さず聞くために、インタビュー取材を行った。

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『ネコアップ2』開発者
桑木隆治氏

●元ゲームメーカー勤務 有名個人クリエイターの素顔と『ネコアップ2』開発秘話に迫る!

――『ネコアップ2』の反響はいかがですか?

桑木氏(以下、敬称略) 有料アプリのランキングで一瞬1位になって、それはうれしかったですね。でも、ロングランするかは、どうなんでしょうね。わからないです(笑)。1位になったけれど、売上的には「こんなもんか」って感じで。有料アプリのランキング1位のダウンロード数って1日で3000ぐらいなので。いまをトキめくアプリ市場で1位を取ったって言うと大金持ちみたいなイメージがあるかもしれないですけどね(笑)。

――僕もすごく儲かるイメージでした(笑)。

桑木 いまは広告モデルの無料アプリでランキングの上位にくると、それなりに多いと思うんですよ。でも、個人的には有料アプリにこだわってやろうと思っていて。無料アプリはランキングからすぐ流れていってしまうので嫌なんです。ランキングに長く残ってロングランヒットを狙ってやっていきたい。

――いつごろからアプリ開発を始められたんですか?

桑木 以前は、ある家庭用ゲームメーカーに務めていて、そこでゲームの企画をやっていたんですよ。でも、まあ、いろいろあって辞めて(笑)。5年前くらいかな。ひとりで何かできないかなーと思って、Flashゲーム作ったり、いろいろやってたんですけど、なかなかお金にならなくて(笑)。そんなときにiOSを知って、「これは来るな」と思って飛びつきましたね。当時、いまでもそうかもしれませんけど、iOSアプリの開発者って、まだ結構若い人が多かったので。そのときはプログラムとか技術的なスキルは僕もまだまだだったけど、ゲームを構成するスキルとかは持ってたから、結構自信はありました。

――ゲームはおひとりで作っているんですよね?

桑木 絵も音楽もプログラムも、基本的にはひとりです。『ネコアップ2』や、一部のアプリにはお手伝いをお願いした人もいるんだけど。でもやっぱり、ひとりで作れるっていうのは楽。組織だとアイディアをみんなで共有するのに膨大な時間がかかるんです。今までにないアイデアほどそれがより難しくなる。でも、個人だと、アイデアをまとめて、形にするまでが、早いんですよね。

――逆に、ひとりだとこれがツライということはありますか?

桑木 いちばん困るのは、テストプレイですね。バグは何とかつぶせるけど、バランス調整だけはひとりでやるには辛いですね。開発者どうしなら感触がわかるんですけど、ひとりだとどんどん感覚がずれていってしまう。あと、物量勝負になると、どうしても個人では限界がありすね。ほかの個人開発者の方と比べると、物量で勝負しているほうだとは思いますが……。どうにかしないとなとは思ってはいます。もう年なので(笑)。

――起業しようとは思わないんですか?

桑木 とりあえず考えていません。だって、会社ヤダもん(笑)。

――(笑)。そもそも『ネコアップ』のアイデアはどうやって生まれたんですか?

桑木 僕はやり込み系のゲームが好きで、そのころは『geoDefense』にハマっていたんですよ。それで、やり込めてなおかつコンパクト、短時間で遊べるものがいいなと思って、企画を設計しました。ネコを使おうと思ったのは、B3 UNITEDさんの『つみネコ』を見て「こんなに売れてていいなー」、「ネコ使ったら売れるかな」って思って。あざとい理由ですね(笑)。

――1作目のダウンロード数はどれくらいだったんですか?

桑木 セールやったあとにジワジワ売れ始めて、最終的には20万ダウンロードくらいですね。

――続編はいつごろから作ろうと思っていたんですか?

桑木 本当はまったく考えていなかったんです。でも、いろいろあって作ることになって。今年の1月くらいから作り始めて、完成したのがゴールデンウィーク明けくらいだったかな。完成までは4ヵ月くらいですね。個人で作るのは、『ネコアップ2』で限界を感じました。物量的にも、精神的にも(笑)。システムは前作のものを流用したんですが、絵がきつかった(笑)。ネコを何体も書きましたね。でも、音楽はほかの人にお願いしたんですよ。『ネコアップ2』の制作を宣言をしたときに、「僕に音楽をやらせてくれませんか」とTwitterでアプローチしてきてくれて方がいて。この人、僕が知る限り『ネコアップ』ではじめてスコアをカンスト(上限に達すること)した人なんです。

――カンストは凄いですね! ハイスコアを出すコツってあるんですか?

桑木 コンボを重ねて、アイテムはまとめて取るってことだけですかね。でも、アイテムをまとめてとるか、単品でとるかは、そのときの判断によるるので、それを見極めるのが大切かな。

――ちなみに、オススメのUFOは?

桑木 最強はカエルだと言われていますね。ただ、カエルだとビームのタイミングに慣れない人もいるので、そのまえのボムを使うペンギンでもハイスコアを狙いやすいです。

――UFOはみんな生き物の形をしていてユニークなデザインですよね。

桑木 これは、ゲームメーカーでもよく使われる手法なんですけど、こういったものは、人に伝えるときに形容しやすいデザインにしたほうがいいんですよね。そうすると、たとえば「いまどのUFO使ってるの?」という会話があったときに「いまはカエル使ってるー」と伝達が楽になるので、会話が弾みやすくなるんです。それで、ひと目でわかる動物を採用しました。

――なるほど! ほかに『2』を作るにあたって気をつけたことはありましたか?

桑木 『ネコアップ』って、すごく小さなところの遊びからスタートして、最後はスコアアタックでゲーム性が過剰になっていく。それでやり込みが成立していたんですけど、はじめのチマチマした部分が初心者にはツライみたいで。そこらへんを変えるために、UFOを変えられるシステムを載せて、爽快感を大事にしてって作ったのが『ネコアップ2』ですね。強いUFOさえ使えば、なんとでもなるって形になっちゃったから、スコアアタック的な要素は、少し影をひそめちゃったけど。でも、iOSの半分以上はライトユーザーだと思っているので、それはそれでいいかなと。

――レビューとかって気にされます?

桑木 すんごい気にします。この前、「助けられなかったネコたちは、どうなってしまうんですか?」というのがあって(笑)。『ネコアップ』のときに、「ネコをさらうなんてひどい!」って言われることもあったので、『2』では気を使って、ネコを助けるんだよっていうかわいい設定にしたのに(笑)。

――そんな意見もあるんですね(笑)。『ネコアップ』では、エンドレスモードの追加要望が多くあったと思うんですが、『2』でエンドレスモードが追加されることはありますか? 

桑木 そうなんですよねぇ……。『ネコアップ』では、レビューでかなりエンドレスモードの搭載の要望があったんだけど、このゲームは制限時間があるからおもしろいんですよ。「あとチョットだったのに!」ってなるからこそ、また遊びたくなる作りになっているので。なので、ゲーム開発者としては、正直あまり入れたくないんですよね。ただ、『2』では、シビアさはなくしているので、ある意味、UFOを育ててながらダラダラ遊び続けられるようにはなっています。

――最後に、今後のゲーム開発の構想について教えてください。

桑木 構想だけはいっぱいあるんですけど、まだ決まってはないですね。ソーシャルゲームに興味があるから、そういうのをやってみたいかな。個人でゲーム用のサーバを立てられるような環境はないから、Twitterとかを使った、ライトなソーシャルゲームとか。あと、今回『ネコアップ2』でたくさんネコのイラストを描いたので、それを使った無料アプリを作ってみたいですね。

ネコアップ2

メーカー
Ryuji Kuwaki
配信日
配信中
価格
250円[税込]

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