『拡散性ミリオンアーサー』にグループチャットシステム“ナカマップ”導入!……っていったいどういうこと?

2012-06-19 19:23 投稿

●カヤックの開発した“ナカマップ”とは!? 進化を続ける『拡散性ミリオンアーサー』

スクウェア・エニックスの提供するスマートフォン専用オンラインカードゲーム『拡散性ミリオンアーサー』(以下、『ミリオンアーサー』)が新たなるシステムを導入すると聞き、“スマゲ★革命”でおなじみの安藤武博氏、『ミリオンアーサー』プロデューサーの岩野弘明氏、“ナカマップ”開発に携わったカヤックの片岡巧氏と渕上伸吾氏の4名にインタビューを敢行。思わぬつながりで出会った『ミリオンアーサー』と“ナカマップ”の合体秘話に大注目。このほか、『ミリオンアーサー』最新アップデート内容についても話を聞くことができたので、最後までしっかりとご覧あれ。

※【まとめ】『拡散性ミリオンアーサー』総合ページ

スクウェア・エニックス
安藤武博氏(左)
スクウェア・エニックス
岩野弘明氏(右)

 

カヤック
片岡巧氏(左)
カヤック
渕上伸吾氏(右)

――いきなりなんですが、新しく『ミリオンアーサー』に実装される、“ナカマップ”っていったいなんなのでしょうか?

片岡 もともとiPhone/iPod Touch、Android、携帯をつなぐグループチャット機能をサービスとして提供しているアプリです。当初の目標としては、リアルタイムのコミュニケーションが取れることと、位置情報機能をつけてどこにいるのかを聞かなくてもナカマップを見たら伝わるようにしたかったんですが、自分の位置情報を伝える機能よりも、どちらかというとメッセージのやり取りについての問い合わせが多かったので、位置情報よりもメッセージ機能周辺を強化していくことにしました。

――リリース自体はいつごろの話だったんですか?

片岡 2010年の12月ですね。

――なるほど。1年半以上かけていろいろと変えてきたわけですね。そのグループチャット機能が今回SDK(Software Development Kit)で色々なゲームに組み込まれるということなんですが、そもそもそういった広がりかたは開発時から考えてらっしゃったんですか?

片岡 いえ、最初はSDKを用意することは考えてなかったんです。グループチャットを楽しめる最大人数が20人と、基本的に少人数で会話ができる様に設計していたんですよ。しかし、あるときユーザーさんから「100人規模まで可能にしてください」という声が届いたことをきっかけに改良がスタートして、いまでは最大2000人のグループチャットがあるんです。

――2000人ですか……。すごい大人数ですね。

片岡 じゃあそれをどういう場で利用されているのかと尋ねてみると、ゲームで使っているという返答が多かったんです。たとえばゲーム内で自分がどういうアイテムを持っているかを“ナカマップ”で配信すると、グループチャットでつながっているゲームユーザー全員に届くし、ほかにも時間を決めて仲間と大きなボスを倒しにいくなどの、コミュニケーションに役立てているそうです。そういった使い方もあるんだと気付き、そこから“ナカマップ”をユーザーの求める方向にシフトして開発を進めていきました。最初の時点では、ただグループチャットの上限人数を増やしていく考えだったんですが、そうではなくてナカマップのグループチャット機能そのものを切り出して他のアプリケーションコンテンツに提供しようと動き出しました。それが春先に1ヵ月ぐらいかけて開発して完成したというわけです。

●キーマンは『カイブツクロニクル』のあの男だった

――『ミリオンアーサー』では今後コミュニケーション要素を強化したいということでしたが、こういったものを自社で開発する予定はなかったのですか?

岩野 はい。もともとこちらで作ろうかという話はありました。ただ、さすがにいまからそのシステムを作って、なるべく早く組み込もうと考えたら、どうやってもスケジュール的に厳しかったんです。それを考えるとカヤックさんとコラボレーションしたほうが、お互いにおもしろいことができるんじゃないかと思ったわけです。

安藤 もっと詳しく言うと、もともとグループチャットを入れることは決まっていて、どうしようか考えていたときにアドウェイズで『カイブツクロニクル』を作った桑田さん(アドウェイズ 桑田一生氏)と話す機会があったんです。そこで桑田さんに“ナカマップ”のよさを教えてもらったんですよ。岩野もグループチャットを作ろうとしていて、開発会社にお願いしに行ったら困惑されたらしくて(笑)。滑らかな大人数でのグループチャットを維持するとなれば相当な技術とテクニックが必要になってくる。そうなってくると餅は餅屋へという流れでカヤックさんに話を持ち込んだんです。実際に“ナカマップ”を見せてもらうと、本当に滑らかに動いていて驚きました。本当に偶然でしたけど、桑田さんがキーマンでしたね(笑)。

片岡 もっと言うと安藤さんが“スマゲ★革命”で、これからのバージョンアップでこういったコンセプトのチャット機能を開発すると触れられていたんですよ。その時、ちょうど桑田さん上海にいってらっしゃったんですが(笑)、「ミリオンアーサーチームに会いたいです!」と連絡してました。ちょうどその頃、社内では渕上を中心に『ミリオンアーサー』を流行らせていて。これは運命かもしれない!と(笑)。

渕上 もう配信日からずっと遊んでいます(笑)。

安藤 なるほど、じゃあ順番を整頓すると、“岩野がグループチャットを思い付いて”“スマゲ★革命にそのことを書いて”“それをカヤックさんがやりたいと言っていて”“桑田さんに相談して”、その後“僕が桑田さんと話して”つながった訳だね! そうやってつながっていることがわかると最初からなんとなく相思相愛だった理由も説明がつくね。

――なるほど! その流れの中に僕らも入っていたというのはうれしいなあ(笑)。では実際にナカマップの入った『ミリオンアーサー』ではどういったことができるようになるのでしょうか?

岩野 アップデートすると、右に並ぶショートカットにチャットが表示されるようになります。チャットのグループ部屋は自分で立ちあげることもできるんですが、初心者部屋や攻略情報などをデフォルトでいれています。何か知りたいことがあれば質問部屋に書き込むと誰かから返答がくるといったように盛り上がってくれるといいですね。

ここでナカマップを実装した開発版の『ミリオンアーサー』が動作しているところを岩野氏に見せてもらう取材陣

※画像は開発中のものです。

 

――うわ……、本当にすごく滑らかに動きますね。

安藤 これはさすがにすぐには作れないですよ。

片岡 こういった流れが大規模な人数でグルーピングできるので、ゲーム内でやるチャットとしてはかなり楽しいものになるのではないでしょうか。

――このグループチャットを利用する際には“ナカマップ”の登録が必要になるのですか?

片岡  ナカマップはFaceBookやTwitterのアカウントを利用して遊ぶことが可能ですから、特に個人情報の登録は必要がないんです。ミリオンアーサー以外にもナカマップSDKに対応するゲームアプリは続々登場してきますので、異なるゲーム毎にユーザーとつながることもできますし、ゲーム間を超えてユーザーがつながることも可能です。ゲームを通じておもしろいつながりができてくるのも魅力ですね。

安藤 逆に別ゲームからつながれば『ミリオンアーサー』の輪も広がりますし、そういうのも今時のソーシャルネットワークと言えるんじゃないですかね。

――『ミリオンアーサー』で“ナカマップ”が使えるのは非常にいいと思いますが、スクウェア・エニックスのほかのゲームで搭載される予定はないのですか?

安藤 カヤックさんとはここでうまくいけばほかのゲームにも横展開していこうかと話していますが、まずは『ミリオンアーサー』で試すのが、いちばんリアルに使い方を想像できるので、そこで向き不向きを確認しようと考えています。ここで“ナカマップ”を立ちあげてゲームの一部として機能するかを『ミリオンアーサー』でベンチマークしていきます。

――なるほど。では実際に“ナカマップ”が実装されるのはいつごろになりますか?

片岡 リリースは早ければ6月中旬位になります。

安藤 早いですね! カヤックさんに話を持ち込んだのっていつでしたっけ?

片岡 5月上旬ですね。これをやろうと話したのは1ヵ月前ですから。

――すごいスピード感ですね。なにか不都合や問題が発生したりしなかったのですか?

片岡 問題はとくにはなかったのですが、どちらかというと岩野さん、安藤さんにたくさん協力していただきまして(笑)。ギルドシステムが始まるということは伺っていましたので、ソーシャルゲームのユースシチュエーションを想定しながらカスタマイズしていきました。

――ではゲームについてお聞きしたいのですが、いままでほとんどコミュニケーション要素がなかった中でこういった“ナカマップ”を搭載することでユーザーさんの反応が気になるかと思います。そのあたりはどのように考えていらっしゃいますか?

岩野 チャットって、始めるとおもしろいんですが、意外と敷居は高いですよね。ですから、互いに絆ポイントが貰える”いいね!”ボタンのところに、メッセージを送れたり、自己紹介文を見れるような機能も同時に追加します。あまりチャットに入りたくない人向けの最低限のコミュニケーション要素といったところです。後はチャットもやりたいけれど文字打ちが遅かったりして素早く感情表現ができない人もたくさんいると思います。密なコミュニケーションが求められるのはギルドバトルだと思うので、そこにむけてスタンプ機能も追加しようと思っています。スタンプなら、一枚で状況に応じた自分の表現を簡単に送れますから。

安藤 いま『ミリオンアーサー』のスタンプチームが結成されて作成してる途中なんですよ(笑)。

――そりゃすごい。何種類ほど作成していらっしゃるんですか?

岩野 いまのところ150種類以上は用意しようと思っています。そのあともガンガン増やしていくつもりです。最初の150種類のスタンプも段階に分けて配信していくんですが、とりあえずそれくらいのボリュームは確保しています。

――無料ですか?

岩野 もちろん無料です。

片岡 このスタンプはミリオンアーサーをプレイしていないと手に入らない限定スタンプになるんですよ。たとえばゲームをプレイしている僕とプレイしていない渕上がグループチャットで会話しているときに、ぼくが『ミリオンアーサー』のスタンプを表示しちゃうんです。そうすると、渕上は「これ何?」となると思うんです。そこでそのスタンプをきっかけに『ミリオンアーサー』を知ってもらう。広告というよりもコミュニケーションを通して自然にSDKを組み込んでいただいたアプリが広がっていくということが僕たちが提供していきたいプランです。円滑なグループチャット機能とそれと並行してさらにSDKを組み込むメリットは何があるかを常に考えています。

――しっかりした期間をかけてここまで作り上げてきたナカマップですが、今後も機能追加はされていくのでしょうか?

片岡 もちろんそのつもりです。まだ発表はしていないんですが、『ミリオンアーサー』とやっていく中で、いわゆるソーシャルゲームにどういったチャット機能を加えていけばいいのかということがかなり明確になってきたんです。ゲームをやっている人とやっていない人をつなげるチャットを構築する事で、アプリケーションのポテンシャルを引き出し、同時に複数のタイトルの違うゲームをコミュニケーションを通じてもっと楽しんでいけるようになるという機能を提供していこうと思ってます。

渕上 プロフィールも充実させたいですね。自分がこのゲームを遊んでいるということをフレンドに公開できて、お互いにこのゲームがおもしろかったと言い合えるような環境を生み出していきたいです。

片岡 基本はコミュニケーションエンジンの提供を考えていますので、どんどん意見を反映させて機能を発展させていきます。

●そして『ミリオンアーサー』の今後は……?

――かなり楽しみですね。ちなみに『ミリオンアーサー』の今後も気になるんですが、ギルドバトルは6月中に実装される予定と考えていいんでしょうか?

岩野 今月中にはちょっと難しいかもですね。本当にスムーズに進んで7月末で、おそらくは8月上旬になるのではないかなと思います。ただ、それよりさきにデッキの改修をナカマップと同タイミングで行います。

安藤 デッキ画面は一新されていて、本当に使いやすくなってますよ。

岩野 やれること自体も増えます。まず、いまの戦闘だとランダムに3枚のカードが選ばれて攻撃が行われていますが、デッキの改修後はカードの出る順番を自分で指定できるようになるんですよ。

――じゃあより戦略性の高いデッキが作れちゃうわけですね!

岩野 どんなコンボが発動するかもひと目で確認できて、なおかつ簡単に入れ替えができるので編集のしやすさと戦略性は格段にアップしますね。

安藤 デッキ編集がめんどくさい人はおまかせ編集なんてのもあるんで、それを使ってもいいですね。あとおもしろいのは自分のデッキのランクが表示されるようになるんですよ。最大ランクのSSSデッキを目指して構築していく楽しみも増えます。ちなみに、この新しいデッキ編集画面は『ファイナルファンタジー』シリーズに関わったプランナーといっしょに開発したんですよ。もうスクウェア・エニックスの技術が遺憾なく発揮されてるって感じですね!

▲デッキを構成するカードだけでなく、このデッキで発生するコンボも表示されるようになった。しかも1STアタック、2NDアタックと攻撃順にセットできるようになっている。これはデッキいじりが楽しくなりそう。

――うーん、今回のアップデートでかなり広がりますね!

岩野 そうなんですよ。でももう一つやりたいアップデートがあります。いま、かなり進んでいるユーザーさんはやることがなくなってきていまして、そういうユーザーにもっと楽しんでもらうために定期的なイベントを入れられるようなシステムにしていこうと考えています。以前行ったゴールデンウイークイベントみたいなものが連続的に入るとイメージしてください。具体的に報酬でレアカードがもらえるだけでなく、参加するだけでも貰えるようなメダルをあげて、それを継続して集めるとアイテムと交換できるというような感じになる予定です。

――キャラクターボイスはどうなりますか?

岩野 ボイスは8月まで持ち越しだと思います。ボイスはあると当然いいんですが、まずは触って楽しいと思えるゲーム性を作ることが第一だと思っています。ボイスが入ることによるよさは当然あるとおもうんですが、やっぱりゲーム自体がおもしろくないとせっかくのボイスの魅力が半減してしまうと思うんです。

安藤 ほかにも『ミリオンアーサー』を、“ヤングガンガン”の作家さん5人にオリジナルカードイラストを書いてもらうといった広がりも考えています。

――コラボ系、どんどん増えてくるとアツイですね! ちなみにカヤックさんはこれからどういった動きをしていくのですか?

片岡 SDKの特徴として法人も個人も誰もが利用できるという所があります。スマートフォンのアプリケーションはどんどん増えていくと思いますので、簡単にチャットシステムを提供できる環境を用意します。リリースを皮切りにPR活動を行い、たくさんのアプリケーションクリエイターの方にご利用いただければと思います。

――わかりました。こちらも期待してます! 本日はありがとうございました。

安藤岩野 あ、まだいまは秘密ですけど、ほかにもいろいろ楽しいことを仕込んでいますので、みなさん楽しみにしていてください!

●取材を終えて…

このアップデートで『ミリオンアーサー』は格段におもしろさを増すと断言します! 配信から1ヵ月かけて細かい調整を重ねてきた本作ですが、今回はそのなかでも最大のものと言っていいでしょう。グループチャットの真価が発揮されるのはギルドバトル実装以降になるのかもしれないけど、それまでにユーザー独自の使い方で思わぬ盛り上がりを見せるのではないかなと予想しています。そして何よりも現役プレイヤーがうれしいのがデッキUIの変更。いじれるところが増えるということは戦術にもこだわれるということです。それはつまり、戦術を担うカードの収集にもさらに熱が入るということに繋がります。どちらもゲーム自体の盛り上がりを助長してくれそうないいアップデートですね。インタビューは写真撮影で幕引きとなりましたが、安藤氏恒例の決めポーズをほかの皆さんが少し照れながらも決めてくれました。ナカマップSDK、『ミリオンアーサー』両者の今後の活躍に期待が高まるインタビューとなりました。(飯田ヘンリー和倫)

※【まとめ】『拡散性ミリオンアーサー』総合ページ


拡散性ミリオンアーサー

メーカー
スクウェア・エニックス
配信日
配信中
価格
無料(アプリ内課金あり)
対応機種
iPhone、iPod touch、Android

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