スクエニプロデューサー安藤武博氏のブログ“スマゲ★革命”第十五回 「拡散性プロデューサー集団」

2012-04-02 11:44 投稿

●第十五回 「拡散性プロデューサー集団」


まず、みなさんにお詫びがあります。2012年3月29日(木)めどでサービス開始を予定していた新作『拡散性ミリオンアーサー』の配信が遅れています。3月23日(金)にアプリが完成し、アップル社に審査提出をしました。まだ承認まで行っておらず、はやければ1週間で承認が下りるだろうという此方側の見込みの甘さがありました。新製品(今回の場合はiPad)の発売直後は、バージョンアップ対応を行うアプリが多いために、審査が混みあう傾向があります。推測するに、それもあるのではないかと思います。加えてその後、3月30日(金)にアップルから一度リジェクト(承認却下)の連絡がきたので、その部分を即日直して再提出。現在は再度審査中の状況になっています。いつ承認が下りるか、前述のとおり審査状況がございますので、心苦しくも公式には“Coming Soon”という告知をさせていただきます。個人的には、早ければ今週中には配信できたらいいなと思っています。楽しみにお待ちいただいている皆様には、ご迷惑をおかけしております。申し訳ありません。承認が下りたら速攻でGOしますね!

※『拡散性ミリオンアーサー』の詳細はこちら
 
本作は私のチームに所属している岩野弘明による初単独プロデュース作品。岩野はこれまで僕が手がけた『ケイオスリングス』や『ムーンダイバー』(※詳細はこちら)等のプロデュースを手伝ってくれていた男です。そのほかにも、Wiiウェア『光と闇の姫君と世界征服の塔 ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』やiOS版『ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争』のリメイクなどを手がけてきました。PC 向けネットワークゲーム『コンチェルトゲート』(※詳細はこちら)やアーケードゲーム『ロード オブ ヴァーミリオン』(※詳細はこちら)のサポートをしていた事もあります。『拡散性ミリオンアーサー』は、家庭用ゲーム、ネトゲ、アーケードのカードゲーム、スマゲを経験した彼のノウハウや思いが、徹底的につまった自信作にして、“ゲーム屋が創るカードバトルRPG”になっていると思います。あと彼は、当社きってのアニメ&ラノベ好き。声優とイラストレーターの目利きに才能がある。本作はもちろん、『ケイオスリングス』のボイスキャスティングも全て彼のプロデュースによるものです。それにしても『ミリオンアーサー』はよくぞ、あれだけのキャストを集めたなという豪華布陣です。ゲーム内容とあわせて、そちらもお楽しみください。サービス開始後、もしゲームがつまらなかったら、バンバン要望を言って下さいね。良いところがあったら“たまには”褒めてやってください。運営ものですから彼がどんどん良くしていきます。

また、現在発売中の『ファミ通App iPhone&Android NO.002』で初お披露目された、チーム安藤の隠し玉がもう1作品ありました。それがこの『ガーディアン・クルス』です。

※『ガーディアン・クルス』の詳細はこちら
 
本作は、オリジナルコンセプト・企画原案に、『ファイナルファンタジー』シリーズのアクティブタイムバトルシステムを考案した伊藤裕之。キャラクターデザインに、『ファイナルファンタジーIV ジ・アフター 月の帰還』(※詳細はこちら)や『ファイナルファンタジー レジェンズ』(※詳細はこちら)を担当したオグロアキラ。音楽を、『ファイナルファンタジーXI』や『ファイナルファンタジーXIII-2』を担当した水田直志が手がけているオリジナル作品です。本作は、私のチームに所属している田付信一による、こちらも初単独プロデュース作品。彼は僕と『ナイツオブクリスタル』(※詳細はこちら)を一緒にやってきた人物。GREE版では、多くのカードバトルゲームの模範となった“アリーナシステム”を考案し、GREE Platform Award 2011の優秀賞まで持っていった男です。うちのチームの中でもゲームデザインに目利きがあるので、『ガーディアン・クルス』でも“おもしろさ”の大部分を彼がプロデュースしています。『ナイクリ』はFacebookでも1年半ほど運営をしていましたので、いちはやく世界市場にカードバトルで挑んだ経験がある男でもあります。そんな彼が今回、本作で選んだのが“脱・ガチャ”

そう。『ガーディアン・クルス』はカードバトルなのですが、ガチャが無いのです。世界市場で誰よりも早くカード&ガチャで挑んだ彼が、1年前に「ゲームがガチャばっかりだと、つまらない」、「もっと違う、新しいおもしろさを目指したい」、と標榜して立ち上げたこのプロジェクト。スクエニの本流といってもいいクリエイター達と手がけた本作が、日本だけでなく海外でも、どこまで通用するかとても楽しみにしています。早速『FFXI』と『FFXIV』とのコラボレーションも決まっているようですし、こちらも是非、叱咤激励をよろしくお願いします。配信予定は2012年4月。もう今月ですね!

前述した岩野と田付を含め、僕のチームはおよそ10名によるプロデューサーの集団です。特徴としては、ほとんど全員が、自らの手で作品を手がけ、プロデュースしている事があげられます。ようするにアシスタントがほぼ、存在しない。その代わり、それぞれが相互のプロジェクトを補佐するという仕組みをとっています。昨日、このチーム安藤に“特モバイル二部”という部門名がつきました。部門は事業責任がありますから、お客様に「おもしろい」と言っていただけずに、結果として売り上げが立たなければ“即、終了のおしらせ”となります。いわば、携帯電話のゲームで“おもしろい”ゲームを手がけるために組織された突撃部隊。退却の2文字はなく、負けイコール終了。勝つまで集団で徹底的にチャレンジをして“おもしろい”ゲームを創っていきます。“特”とあるのは、今後プラットフォームの垣根が無くなっていくので、携帯電話以外のものを手がける可能性も大いにあるだろうということで、名づけました。“特モ二部”の手がけるゲームに、あらためてご期待ください。

今回は手前味噌ながら組織のご紹介をしましたが、僕としては、プロデューサーには早く代表作といえるゲームを手がけて、“とっととチームから独立”してもらいたいと思っています。たくさんのお客様に楽しんでいただき、どんどん拡散して行けばいい。そのためには自分の名前を看板に出して、単独プロデュースするのが一番いいと思います。僕の経験から言っても“プロデュースを手がけているのは自分”という状況が、最も真剣に作品とお客様に向き合えますからね。“この作品は僕のもの”感とでも言うのでしょうか。これが“おもしろい”ゲームをプロデュースするときに、すごく大事だと思います。痛みも喜びも主観視点になるから、数値化できない現場の空気も含めて、本当の意味でのノウハウがプロデューサーに貯まる。今回紹介した二人も20代ですし、若いうちの失敗体験は、成功体験と等価値ですから、ビビらずにフルスイングで“おもしろさ”に立ち向かってもらいたいなと思います。最終的にはそれが、皆様に“おもしろい”ゲームをお届けすることになりますからね。

また、独立拡散以外の可能性も出てきていて、夏に発売するオリジナルRPG『星葬ドラグニル』岩野と僕の“共同プロデュース作品”となります。二人で手がけたほうが、得意分野がパータッチされて加速し、より“おもしろさ”に手が行き届くという事もあります。田付と岩野は、すでに次回作の仕込みにも入っているようです。彼らが手がけるプロデュースの色が、より濃くなる作品になりそうな雰囲気がすでに感じられて、楽しみですね。

最近はこういった、“プロデューサーのプロデュース”もスマゲ☆革命の最重要ポイント。“ひとり”より“ふたり”。若さは力。やる気は続ける気持ちにつながり、続けることで“おもしろさ”が産まれます。これらをサポートする気持ちと、プロデューサーとして同じ目線で刺激を与えたいという気持ちが、両方があるかな。スポーツで言えば監督と現役の狭間。今は、「はんぶんオッサン」。「はんぶん不思議」by COCOって感じです。ちなみに、岩野の『拡散性ミリオンアーサー』と田付の『ガーディアン・クルス』は現在、爆発的売れ行きの『ファミ通App iPhone&Android NO.002』 に、めちゃ強いカードのシリアルコードが同梱されていますので、ゲームのスタートダッシュを決めたい方は是非。ちなみに本誌の表紙は、僕と直良でイメージを手がけた『ケイオスリングスII』です。スマゲ☆革命の出張特別版も収録されていますよ。

まだまだ若いモンには負けんよ。それではまた来週。

■追伸
先程(2012年4月2日朝)『拡散性ミリオンアーサー』が再度リジェクトされたようです(涙)。
朝から岩野が飛び回っています。がんばれ岩野。お待ちいただいている皆様のために!

つづく

 

安藤武博
スクウェア・エニックスのゲームプロデューサーにして、同社のスマートフォンアプリ制作の中核を担う人物。早くからスマートフォン事業に携わってきたことから、アプリに対してはすでに確固たる理論を構築している。それでいて、つねに新たなステージへのチャレンジを忘れないスマートフォン業界の革命児。

 

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