日本の売上は世界2位! ゲームエンジンUnityがAndroidを席巻

2012-03-24 19:12 投稿

●売上は世界で2位!

2012年3月24日、東京大学でAndroid Bazaar and Conference 2012 Springが開催された。日本Androidの会が主催するこのイベントは、Android関連の技術情報を交流・蓄積し、Android開発者の養成と教育支援を行って、Android関連ビジネスの活性化を目指すというもの。オープンプラットフォームであるAndroid OSの現状とこれからを、ゲーム、ミドルウェア、ビジネス、メディア、ユーザーなど、多角的な視点から各分野の専門家が講演を行った。

ここでは、ゲームエンジン”Unity”を提供するユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの講演の模様をお届けする。

”大前広樹”氏

講師として登壇したのは、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社 日本担当ディレクター”大前広樹”氏。一般来場者が多いとあって、Unityの基本的な解説が講演の主軸となった。

大前氏によれば、Unityは、「2週間かけてプログラミングしてやったとできたことを、チェックボックスひとつでいかにできるようにするか」ということにもっとも情熱を注いでいるエンジンだという。通常、ゲームエンジンというのは、まず特定のゲームを作るための開発環境が作られて、それを別のゲームでも応用して使っていくことが多いそうだが、Unityは「誰でも3Dのゲームを作れる」ことを目標としており、この点がほかのエンジンとは大きく違うという。エディターの使い勝手のよさも特徴のひとつで、エディター上で実際にゲームを実行しながらコンテンツを作っていくことが可能になっており、チーム開発も想定して作られている。機能拡張もゲーム開発のスクリプトと同じ感覚で行えるそうだ。また、マルチプラットフォームに対応しており、ハードに合わせてゲームの開発手順を変えなくても、ビルドするプラットフォームを選択するだけで、簡単にそれぞれのハードに対応したコンテンツを作成できるのも強みとのことだった。

▲iPhone/iPod Touch/iPad、Mac、PC、Web、Wii、Xbox360、Android、プレイステーション3など、対応プラットフォームが充実。

 

現在、Unityは世界で80万人が利用しており、「ゲーム開発者の人生が楽になることならなんでもやろう」という発想のもと、世界中の開発者が開発したモデルやテクスチャーを販売する”Unity Asset Store”を立ち上げたという。プログラミングができなくてもプログラムのロジックをグラフィカルに組めるアセットやダンジョンのモデルをセットしたアセットなど、多彩なアセットがラインアップされており、その数は2000以上。売上のレベニューは70%が開発者、30%がユニティという比率になっている。

▲これは『Cave Creator』というアセット。40ドルで購入できる。

日本でもすでに300社以上がUnityを導入しており、利用人口は8000人を超えるという。日本の売上は現在世界2位となっており、昨年と比較すると成長率は驚きの1500%! 非公式ではあるがFacebookのユーザーコミュニティーも1000人近くなっており、情報交換の場も広がっているという。

Unityでは、リッチなゲームもシンプルなゲームもどちらも作成可能だが、とくに向いているのはグラフィックがリッチでユーザー・エクスペリエンスにこだわったアプリだという。開発初期の制作スピードも使うと使わないとでは10倍近く違うため、ひと通り作ったあとの要素の見直しやバランス調整に多くの時間を割けるようなり、ゲームの完成度を高めるうえでも非常に有効だ。また、デバイスの性能も向上しており、一昔前はiOSのほうがデバイスの性能として優れていだが、最近ではiOSデバイスの性能を超えるAndroid端末が登場しており、作ったあとにiOSでは動かなかったという事例も出てきている。ただし、垂直統合モデルのiOSデバイスに比べ、Androidの機種対応はかなり大変とのこと。Unityで開発されたゲームは、Android 2.0+ARM7+OpenGL ES2.0対応の端末なら基本動作はするそうだが、実際はそのスペックでは快適とはいえず、まともに動作するのはAndroid 2.2世代以降のハードになる。

Unityは、個人やスタートアップ企業には、web、Mac/Windows用のものを無料で公開しており、商用のコンテンツも作成可能で、ロイヤリティも発生しない。Android/iOS向けのアプリ開発には基本ライセンスが必要となるのだが、通常各34000円のところ、2012年4月8日までは無料で発売されている。また、商用のクオリティーを前提としたUnity Proもあり、プロファイラやネイティブコード連携など、全機能を利用できる。

▲Unityで変わることもあれば、変わらないことも。技術だけではゲームは作れません!

講演の最後には、ファミ通Appでも何度も取り上げたUnity製のTPS『SHADOWGUN』のデータが本日より公開されたことが発表。モバイル端末でハイクオリティーなゲームを作るには、端末仕様の熟知はもちろん職人的な技も必要とのこと。『SHADOWGUN』のデータには、モバイルゲームのノウハウがたっぷりと詰まっているそうなので、若きクリエーターの方はぜひ参考にしてみてほしい。

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